「詐欺メイク」で注目を集めている芸人がいる、お笑いユニット「ゆにばーす」のはらだ。「コンプレックスは個性」と語る彼女は、それを受け入れながら新たな魅力を引き出すためのメイク術を見出した。それが「詐欺メイク」。プロ顔負けのメイク術は若い女性中心に好評を集め、女性ファッション誌にも取り上げられたほど。そのメイク術を公開した自身初の著書『欠点の数ほど美人になれる!ゆにばーすはらの#詐欺メイク』も先日発売された。ゆずの大ファンというはら。人生を変えた「詐欺メイク」誕生の経緯と、大舞台の前に必ず聴いているというゆずの音楽への想いを聞いた。【取材・撮影=木村陽仁】

コンプレックスは個性

 ゆにばーすは、2017年に『M-1グランプリ』で決勝8位になり、2018年には『第3回上方漫才協会大賞』で新人賞を受賞した注目株。そのなかでボケを担当するはらは個性的なキャラクターで今、にわかに人気を集める。そのはらは別の顔も持ち合わせている。“詐欺メイク”と言われるプロ顔負けのメイク術を有する一面だ。

ゆにばーす・はらのビフォー・アフター(世界文化社)

 数年前からインスタグラムに上げていた自撮り写真。そのなかにあった、メイクをびしっと決めた写真が、本人とは見分けがつかない「詐欺レベル」の変身ぶりだとして話題を集め、女性ファッション誌『CanCam』でも取り上げられた。そんな彼女がメイクを始めたきっかけは高校卒業時。モテたいという一心だったという。

 「始めたきっかけは高校を卒業した時期でした。友達は彼氏が出来始めていましたが、私はなかなか出来なくて…悔しくて…。それで会わずにモテる方法はないかと考えて、出会い系サイトを使うことにしました。相手を惹きつける、とっておきの写真を載せたらいいじゃないかと。そのためにメイクを始めて。それで載せたら結構反響があったんですよ。掲載してからたった5分で80件ぐらい、好意を寄せた人からメッセージが来て。それから趣味のような感覚でメイクをやるようになりました。もうメイク歴は8年ぐらいですね。芸歴よりも長いです」

 そのメイク技術が好評を得て最近では、番組の企画などで「ものまねメイク」を依頼されることもあるようだ。そのなかには期待の女優・桜井日奈子もいる。

 「桜井日奈子さんが映画『ママレード・ボーイ』で主演されていて、配信番組に告知にいらっしゃるということになりました。そこでスタッフさんから『桜井日奈子さんのメイクできないですかね?』と言われて…むちゃくちゃだなと思いましたけど(笑)やってみたらそれが結構似ていると好評で。ご本人からも『私かと思いました』と公認を頂きました」

欠点の数ほど美人になれる!ゆにばーすはらの#詐欺メイク(世界文化社)

 8月8日から発売中の『欠点の数ほど美人になれる! ゆにばーす はらの#詐欺メイク』(世界文化社)では、そのメイク術を披露している。30分から60分で完成する「きれいなお姉さん」「モード風」「女子高生」「海外セレブ」「和服美人」「花嫁」「女優風」とタイプに合わせたメイクを実践。「私の顔のコンプレックスを紹介して、それを解消する方法を紹介しています」という。なかでも「海外セレブ」ははらの“原型”が分からないぐらいの変身ようだが、これを実現するために様々な工夫をしたようだ。

 「そもそも日本人と欧米人の顔の作りが違うということもありますが、特に鼻筋や唇は難しかったです。アイシャドウについては、目尻からこめかみぐらいのところにテープを貼ります。その上にアイシャドウを塗ってグラデーションを作ってテープを剥がすと綺麗に出来ます。これはあまり知られていない方法なんですよ。また、目頭にゴールドのラメを入れて綺麗なグラデーションを作るのも、眉毛のバランスもあり難しいんです。時間がかかりました」

 「私の眉毛は結構上の方にあるんですけど、セレブっぽい顔にしようとしたら、目がぱっちりしていて顔立ちがはっきりさせないといけないんです。眉とまぶたの間が広いと格好が悪くなってしまう。目を大きくするために眉毛の位置を下げて、その位置に調節して上の眉毛を消して両方整える。あんまり色が濃くならないようにして…。それを剃らないでやります。それと唇にぽってり感を出すのに、2種類の口紅を使ったり、ブラシも駆使してやりました」

 著書にも記載の鼻の小穴メイクは、自身が編み出したメイク術だが、それも偶然生まれたという。

 「鼻の穴を小さく見えさせる方法は、穴に出来る影も肌色で塗ってなるべく明るく見せて、鼻を大きくさせないようにするものです。この方法はたまたま見つけたんですよ。メイクをしている時に左の穴に指を突っ込んでしまったんです。その時は『うわ!』となりましたが、『あれ、右よりも穴が小さい』となって。『これは凄い、小鼻効果がある!』と。失敗から生まれることもあるんですね(笑)」

 そんなはらは、タブレット端末ぐらいの大きさの裁縫箱2つを所有。季節や髪型、服装に応じてメイク道具を選び、施していく。まさにプロ顔負けだが、本人は「いや、プロじゃないです、若手芸人です(笑)」と謙遜する。

メイクしたゆにばーす・はら(世界文化社)

 世間では最近、美容整形も気軽におこなえるようになってきた。しかし、はらは「個性」である「コンプレックス」と上手に付き合う、バランスを整える方法としてメイクを活用して欲しいとしている。

 「コンプレックスは個性だと思うんです。誰にも真似することのできない、生まれ持った顔。整形が悪いとかそういう話ではないですが、整形をしなくても綺麗に見える方法はあります。その一つがメイクだと思っています。最近は似たような顔の人が沢山見かけますし、誰が誰だか分からない。メイクでも変われますよ、ということは一番言いたいです。コンプレックスは唯一無二の個性。個性を知っているからこそ、どうしたらいいかという改善も見つかると思います。だから私もここまで出来たんだと思います」

 そうした想いを今回の著書に込めた。

 「本はもう自分の全てというか、分身です。自分の脳みそが一冊になったような本になりました。綺麗になりたい、可愛くなりたいという女性の願望が詰め込まれています。手に取って詐欺メイクの謎を見るような、そんな解体書みたいなものです。コンプレックスを持っている人はこれを励みに、私でも出来るから頑張りましょうということを伝えたいですね」

 そして、男性にも見てもらいたいという。

 「女性は30分から60分かけて化粧します。その時のシチュエーションなども考えて手間暇をかけています。男性には綺麗になる女性の努力を見てほしいです」

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