女優で歌手のRiRiKAが、ミニアルバム『toc-toc』をリリースした。テレビ東京の番組の「THEカラオケ★バトル」で6回も頂点に立った彼女。声量を活かしたパワフルな歌唱力が特徴だが、今回はボサノヴァアレンジで、Kiroroの「未来へ」などをしっとりと歌い上げた。幼少期から歌手に憧れ、宝塚歌劇団在籍中もその夢が諦めきれなかったという。退団後はミュージカルで主に活躍するなかで、路上ライブも続けてきたという。圧巻の歌唱力も魅力だが、笑みが絶えない人柄もファンから慕われている。目標は“女性版さだまさし”という彼女の軌跡、そして、ボサノヴァになぜ挑戦したのか、話を聞いた。【取材・撮影=木村陽仁】

きっかけは「THEカラオケ★バトル」

「あと何分喋れる? アハハ」
「喋りたいことがいっぱいあるから…質問コーナーにしましょうか? アハハ」
「あ! もう時間がない。改めて喋る機会を設けましょうね。アハハ」

 矢継ぎ早に繰り出される言葉に、会場は笑いが絶えなかった。サービス精神旺盛。しかし、ひとたび歌えば圧巻の歌唱力で惹きこむ。まさに息を呑むほどの歌声だ。ボサノヴァの陽気なリズムにのって届けられる歌は、南国の爽やかな風が吹きこむような感覚さえ覚えた。

 その“声”の主はRiRiKA(りりか)。宝塚歌劇団出身のミュージカル女優であり、シンガーだ。この日は、自身のミニアルバム『toc-toc』の発売を記念して、都内のレコードショップでトーク&ライブイベントをおこなっていた。

歌唱するRiRiKA

 RiRiKAは昨年から、テレビ東京系音楽バラエティ番組『THEカラオケ★バトル』に出演。カラオケの点数を競うこの番組で驚異の100点を叩き出した。強豪がひしめく中で、頂点に立った回数はなんと6回。まさにカラオケの女王だ。

 そんな彼女の持ち味は、絶対的な安定感と声量を活かしたパワフルな歌声だ。しかし、今回のアルバムでは趣を変え、しっとりと歌い上げている。「新しい出会いを求めた。新しい扉をノックしてみようという思いをアルバムのタイトルに込めた」というが、それはなぜだろうか。

 きっかけはその“カラオケバトル”での敗北だった。

 「ライブには、カラオケバトルをご覧になって来てくださるお客様が多かったので、パワフルめな曲を中心に選曲していました。もともとは色んなジャンルの音楽を歌える歌手になりたいと思っていました。でも“RiRiKA”という色を考えた時に、皆さんが求めているのがパワフルな歌。ですので、それを追及する2年でした。ただ、負けたことをきっかけに、自分が今後どういう方向性でやっていくのか、いろんなことを見つめ直したいと思いました」

 そこで考えたのが、ファンと直接触れて意見を聞きたいということだった。

 「自分のなかで知らない人に聴いてもらい“どう思われているのか“ということを知りたい。そういう探求心は常日頃からあって、この時も、“生の声を聞きたい”、“新しい可能性も見たい”という思いがありました」

 番組出演する前までは路上ライブを不定期でおこない、ファンの生の声に触れてブラッシュアップしてきた。しかし、当時と今とでは環境も違う。テレビ出演などの影響もあって路上ライブをやれば混乱を招くことも考えられる。路上ライブに代わる場所を考えていたところ、「マネージャーが素敵な場所を探して来て」カフェでライブをおこなうことになった。

 「カフェという場に合うような曲が良いと思いました。皆さんが知っている曲を、アコースティックギター1本でボサノヴァアレンジでカバーしたら、皆さんも心地良いのではないか。私もカフェに行ったときにボサノヴァを聴くのが好き。そういう時間になったら、皆さんのカフェタイムも豊かになるのではないか、と思いました。それで既存の曲をアレンジしてもらって、5曲ぐらいでスタートしました」

インタビューに応じるRiRiKA

 『「une nouvelle rencontre dans“REFECTOIRE”」と題して今年2月に始まったカフェライブ。当初は事前告知して来店を呼びかけたが、ファンが押し寄せ満席となったため、2回目からはシークレットでおこない、5月からは日比谷シャンテにオープンした『Le Petitmec』でも開催することになった。以降、毎月2会場で開催。そのカフェでのライブが彼女に新しい扉を開けさせた。

 「歌い方もそれまでとは異なりしっとりにしました。それが思ったよりも反響が良くて、アハハ。『そっちもいいね』という声も沢山いただきました。私自身も『これ合うかも』と手応えを感じていました、アハハ。ただ、それが最終的にアルバムという形になるとは思ってもいませんでした。あくまでも挑戦という思いがありましたので」

 カフェでのライブが好評で、それをアルバムとして形にすることになった。それが今作だ。今井美樹の「瞳がほほえむから」や、小沢健二「ぼくらが旅に出る理由」、Kiroro「未来へ」、NOKKO「人魚」、そして、THE BOOM「風になりたい」の5曲をカバーした。

 「ファンの方に言われましたが、目を輝かせるように(この作品を)勧めていたようです。自分自身では気付いていませんが、やっぱり相当自信があるんだろうなと思います、アハハ。自分でも言うのもあれですが本当に良いと思っています。シンガーとして恥ずかしくない作品になったと思います」

 前記のカラオケバトルなどで披露したパワフルな歌声とは一線を画す、しっとりした歌声。新たな魅力が表れているが、「あれも私、これも私」と笑顔をのぞかせる。

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