故郷へ錦を飾る――。TOKIOの城島茂が先日、出身地の奈良県で開催された『東京2020 オリンピック・パラリンピック フラッグツアー』の歓迎イベントに出席した。およそ900人の来場者の前で、2020年へ向けて一緒に盛り上げていこうと呼びかけた。

 城島の登場は、数々の神話の残る深い歴史をもつ奈良県らしい演出だった。桜の名所として名高い吉野山・金峯山寺の山伏が先頭に立ってホラ貝を鳴らした。

 パラリンピックフラッグを持ち、笑顔を見せる城島。その後ろからホッケーで2度のオリンピックに出場した上田さかえさんが続く。厳かな空気感に、落ち着いた低音と力強い個性を主張するホラ貝の音色は、城島の人柄そのもののようだ。

 壇上の城島からは人の良さが伝わる。やわらかい口調、やさしい笑顔。会場となった奈良県文化会館の外には、観光地として有名な奈良公園が広がり、強烈な日光が降り注ぐ。

 「今日も暑いですけど、2年後にはもっともっと熱い世界の祭典がこの日本にやってきます」

 力強いメッセージだった。

TOKIO城島茂と上田さかえさん

 城島のオリンピック・パラリンピックを盛り上げたいとする情熱は、きわめて熱い。それは、まとわりつくような湿気を感じさせない、カラッとした熱さが印象的だ。TOKIOのリーダーは、テレビの前で魅せるひょうきんな一面をこのステージ上でも見せていた。

 上田さんとのトークショーでは、単刀直入に質問をぶつける。用意されたスティックとボールでホッケーを体感すると、司会者からは「さすが」の声。ところが、城島は「「いやいや、よう言いますわ。転がしてるだけですやん」とツッコミ。スティックの値段まで尋ねる城島に、会場は大きく盛り上がる。そして、城島は来場者に万感の思いを伝えた。

 「奈良県は自分自身の地元なので、出身地の人間としましてもこの2つのフラッグをもってこれたことは光栄です。奈良に恩返しできたっていう感じがしています」

 奈良県知事の荒井正吾氏は、五輪と奈良県の国際性に共通性が見られることを語ったが、そこには絶えず革新性を求め続けたという共通点もあるだろう。それは、アイドルでありながらその垣根を越え、確かなキャラクターで視聴者を楽しませる城島の姿に重なる。

 地元凱旋は、城島にとっても感慨深いところがあった。「今日は町の風景も楽しみながらここまで来ました。この2年、どうやって盛り上げていくのか。皆さんにも熱いエールをいただければ」との言葉には、奈良の人たちと熱量やベクトルをそろえたいとする、城島の熱意が穏やかにも込められていた。

 「故郷へ錦を飾る」の“錦”とは、色鮮やかな糸で模様を描いた絹織物のことを指し、その故事は成功した者が故郷に凱旋することを意味する。

 TOKIOというグループのリーダーを務め、スペシャルアンバサダーとしての仕事をこなす城島。その肩書は十分に“錦”だが、長年にわたるエンターテイナーとしての仕事の中で磨き上げてきたキャラクターこそが、城島がまとった最大の“錦”に他ならないだろう。

 故郷に錦を飾った城島。通過点であり、出発点となる奈良県でのフラッグツアーは、2年を切った五輪本番へ向けて、自分自身が強い英気を養う大切な時間となったに違いない。【小野眞三】

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