あんにゅと小幡康裕による音楽ユニットのコアラモード.が8月4日、横浜 はまぎんホールヴィアマーレで全国ツアー『THIS IS COALAMODE.!!2018 ~街風泥棒ツアー~』のファイナル公演をおこなった。ツアーは5月30日にリリースされた2ndアルバム『COALAMODE.2~街風泥棒~』を引っさげて全国6公演を回るというもの。「花鳥風月」などニューアルバムの楽曲を中心にアンコール含め全20曲を披露した。ワンマンならではの小芝居など2人のキャラクターも存分に発揮したライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

今日を迎えられて嬉しい

あんにゅ(撮影=新倉映見)

 ステージにはレンガの壁や街灯のオブジェが置かれ、横浜の街を彷彿とさせるステージセット。これから始まるライブへの期待感で満ちるなか開演時刻を少々過ぎたところで会場は暗転。まずは小幡康裕(Key)とコアラモード. と馴染みの深いパーソナリティーである甘崎くみ子との影アナウンスによる前説が繰り広げられた。早くもそのユーモアのあるやりとりで会場は笑顔に包まれた。

 そして、甘崎による「準備は良いですか?」の声を合図にSEが流れるなか伊吹文裕(Dr)、高木大輔(Gt)、林あぐり(Ba)、高橋結子(Perc)とサポートメンバーが定位置へ、続いて小幡、あんにゅ(Vo、Gt)の順でステージに登場。ニューアルバムでもオープニングを飾る「トライアゲイン」でツアーファイナルの幕は開けた。あんにゅのハツラツとした歌声、観客も手拍子と勢いを感じさせるなか「Dan Dan Dan」へと流れ込んだ。

 3曲目の「∞(無限)」ではシリアスな冒頭から広がりのあるサビへの展開がドラマチック。ライティングも楽曲に込められた心情を表現するかのように楽曲を盛り立てていたのが印象的だった。あんにゅは「今日を迎えられて嬉しい」と喜びの声を上げ、ニューアルバムから「バードマン」を披露。力強さと繊細さが宿る歌声の微妙なバランス感覚で聴かせ、間奏のあんにゅによる口笛も高らかに響き渡っていた。

 5曲目には沢山の動物たちが登場する子供たちにも人気のナンバー「気球にのって」。<ワンワンワン ニャンニャンニャン>と動物の鳴き声を取り入れた歌詞とキャッチーなメロディで楽しませ、小幡のジャズブルース的なピアノのフレーズから「ごらんください」へ。地元横浜のガイドブックのような歌詞は情景を鮮明に映し出していた。あんにゅも散歩をするかのようにステージを歩き、<星空の下でShall we dance>という歌詞部分では、ステージ後方に星をイメージしたライトが美しく輝くなかのパフォーマンス。

 MCではあんにゅと小幡のトークで和やかな雰囲気に。あんにゅから「横浜の好きなところは?」尋ねられた小幡は「空気感が好き」と回答。あんにゅは「いつ来ても休日みたいな感じで好き」だと答え、地元ならではのトークで楽しませた。

 続いてインディーズ時代からの人気曲「雨のち晴れのちスマイリー」で、キュートな振り付けを観客と一緒におこない一体感のある空間を作り上げると、内面から奮い立たせてくれるかのような力強さを感じさせた「Hurray! (フレー!)」に続いて、あんにゅが「今までにない曲が出来た」と話す壮大なスケール感を持つバラードナンバー「花鳥風月」を届けた。あんにゅはマイクに「花鳥風月」をイメージしたヴェールを付け情感を込め熱唱。感情を揺さぶり掛ける歌声で魅了した。その余韻を残した中での「ダンデライオン」はオリジナルよりもさらに深さを感じさせ、新たな一面を映し出すというセットリストの妙も感じさせた。

 ここからは「ノンストップで行きます!」と宣言し、あんにゅは金色のポンポンを手に取ると始まったのは「ホップステップジャンプ」。リズミカルなあんにゅの動きと軽快な楽曲によって会場はノリノリ。その勢いのまま「Dive!」と観客を扇情させていく。ポンポンからハートが目を惹く定規にチェンジし「恋愛定規」を披露。わくわくするようなポップサウンドでハートフルな空間を作り上げていく。あんにゅは時折、定規の先端を観客にタッチさせコミュニケーションを測っていく。

 そして、小幡がエレキギターを弾くことが多い「位置エネルギー」では、今回はギターを使用せずキーボードで演奏することによってまた違った趣を見せ、続いて昨年リリースした「大旋風」とテンションが上がるロックチューンでさらなる盛り上がりを見せる。客席は回転するタオルで旋風を巻き起こすような勢いをみせ、鋭い爪を持ったコアラモード.を垣間見せた。ドラマー伊吹の高揚させるフィルにあんにゅは「バンドって楽しいね! ニヤニヤしちゃった」と満面の笑みを見せた。

地元でのファイナルは幸せ

小幡康裕(撮影=新倉映見)

 「ここに辿り着くまでも、この曲がなかったら辿りつくことが出来なかったんじゃないかな」としみじみと語り届けられたのはメジャーデビュー曲「七色シンフォニー」。メジャー感あふれる響きはここまでの軌跡を感じさせるパフォーマンスで魅了した。本編ラストはデビュー前から歌っていた「僕に足りないものは」を披露。ステージセットの街灯が優しく包み込むなか、丁寧に紡いでいく。みんなでこの曲を歌うのが念願だったというエンディングのシンガロングが盛大に響き渡り、ステージを後にした。

 アンコールではネコ耳に尻尾、唐草模様の風呂敷を背負ったあんにゅがステージに。まさに泥棒猫といった出で立ちで登場。持っていた風呂敷の中身はツアーグッズと小幡の私物。小幡は私物を公開される度に「やめて...」と悲痛な言葉。コミカルな小芝居を挟み「どろぼう猫」を届けた。どこかミュージカルを観ているかのような雰囲気も醸し出していた。演奏が終わり尻尾を外そうとするが、自力で外せないというアクシデント。パーカッションの高橋に外してもらう姿をみて小幡は「なんか毛繕いみたい...」と形容し笑いを誘う。

 あんにゅは「地元でのファイナルは幸せ」と喜びを告げる。決意と感謝を込め「目標に向かっているあなたに届けたい」とバラードナンバー「未来」を歌唱。コアラモード.から放たれる真っ直ぐな想いを真摯に受け止める観客たちの姿がそこにはあった。ラストは「セキララ☆キラキラ」。サビでのワイパーのように規則正しく振られる観客の腕が壮観な光景を打ち出し、あんにゅも小幡もこのツアーを噛みしめるかのように歌い演奏。次へと続くようなキラキラとしたエネルギーを振りまきながら、『THIS IS COALAMODE.!!2018 ~街風泥棒ツアー~』は大団円を迎えた。

 より音楽の力が増している感覚を得たステージだった。全力でステージを楽しむあんにゅの姿、全体を俯瞰しながらも繊細さと力強さを見せる小幡のプレイ、そしてほっこりとさせながらもキレのあるトークと隙のないライブ。この経験を経ての作品やライブにも期待が高まった一夜だった。

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