顔は強張っていないか? 緊張している? 7月31日に兵庫県神戸市でおこなわれた、五輪旗が全国を巡るフラッグツアーの歓迎イベント。会場に姿を現したTOKIOの長瀬智也は、壇上で照れたような笑みを浮かべた。

 小池百合子・東京都知事に続いて、挨拶に立った長瀬。その第一声は「こんにちは」。それも腹の底から出すような力強い大声で、一般来場者およそ500人に挨拶した。「大きな声を出してみました」。久しぶりの舞台でもあり、いらぬ緊張感をすべて取っ払ってしまおうかという意思のこもった挨拶だった。

 さらに続けて、長瀬はスタンドマイクの高さを調節する。小池都知事と比べて身長が高い長瀬。「マイクを上げさせていただきます」と柔らかい笑みを寄せると、観客はドッと沸く。張り詰めたような空気が包む兵庫県公館の一室は、このひと言で和んだように見えた。ほんの些細なコミュニケーションに、長瀬が観客と良い時間を過ごそうという気持ちがにじんだ。

 長瀬が観客に強く訴えたのは、東京オリンピック・パラリンピックを一緒に盛り上げていきたいということだった。

 「いつも泣いてしまうんですよね。選手の姿を見て色々考えたり、選手と一緒に戦っている人達だったり、監督であったり、そのやり取りもそうです」

 さらに、長瀬は会場でエールを送り、テレビの前で見守り、声援を送る人の“声”がとても大切だと感じている。

 「声を選手に向けて精一杯送ってあげて、その場にはいなくてもきっと何かが届いていると僕は信じてますし、何かそういうものが輝くイベント、大会だと思っている」

 その姿は見えなくても、支えてくれる多くの人の存在が戦う者を後押しする。役者、ミュージシャン…様々なステージで挑戦を続ける長瀬は自らの姿と重ね合わせたのかもしれない。だからこそ、その言葉には説得力が備わっていた。

 イベント後の記者会見で、小池都知事は「今日は久しぶりにTOKIOの長瀬君がスペシャルアンバサダーとしてまた顔を出してくれました」と、一緒に“戦う仲間”との再会に頬を緩ませた。

 持ち前のワイルドさは抑え気味。それでも随所に観客を楽しませようとコミュニケーションを図った長瀬。エンターテイナーの奮闘は穏やかでも、五輪を盛り上げたいというその意思は力強く伝わっていた。【小野眞三】

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