THE ALFEEの高見沢俊彦によるソロプロジェクト「Takamiy」が3年ぶりにニューシングル「薔薇と月と太陽~The Legend of Versailles」をリリースした。指揮者・西本智実とのクラシックコンサート『INNOVATION CLASSICS』以降、クラシカルな要素がより際立ち、それはTHE ALFEEの楽曲「あなたに贈る愛の歌」にも表れている。今作はそれを更に進化させたものと言え、ハードロックに、楽曲の舞台にもなっている中世ヨーロッパのバロック音楽を感じさせるクラシカルなストリングスが印象的だ。7月には自身初となる小説『音叉』も刊行。ギターを筆に置き換え表現したものとは何か。両作について話を聞いた。【取材=木村陽仁】

様式美とは…

 高見沢俊彦が美しいメロディにこだわる理由が垣間見えた気がした。高見沢は先日おこなったライブで観客に次の言葉を贈った。

 「皆の青春を預かった身としては責任を果たさないといけない。みんなの青春を終わらせない」

 青春を蘇らせてくれるのはその時の記憶や香り、そして音楽がある。その音楽には物語を克明に描き出す、表せる力がある。それは美しいメロディや音、歌詞がそうさせる。高見沢は常々「美しいメロディが好き」と話している。

 それはなぜだろうか。その答えを見た気がした。「青春を終わらせない」それはすなわち「色褪せない」。Takamiyの楽曲は今後も進化をし続けるということを意味するのではないか。それは、歌詞であり、音やメロディであり、そしてビジュアルでもある。

 これまでの脈絡を感じさせる新曲、そして、小説。Takamiyの様式美はそうしたところにあるような気がした。

禁断の愛、バロック時代

――3年ぶりの新曲となりますが、表題曲「薔薇と月と太陽~The Legend of Versailles」のテーマは何でしょうか。

 僕は、ルイ14世の時代が結構好きで、ヴェルサイユ宮殿はルイ14世が建造したものですけども、あの時代の空気感が好きですね。ちょっと調べてみると、ルイ14世は毎晩、饗宴という仮面舞踏会を毎晩繰り広げていて、その時の貴族たちの恋愛観というのは、やっぱりちょっと変わっていると言えば変わっている。当時の貴族は、女性は結婚するまで自由がなかったらしくて、結婚してから自由になる。だから王様の愛人というのはだいたい“何とか夫人”が多い。夫人ですよ、それはいけないだろ! というね(笑)。今の時代とは逆だよね。禁断の恋だらけでしょ、あの時代は(笑)。

 まあ、それはね、貴族の世界の話ですけど、男と女がいて、恋があるというのは、あの頃もそして今も変わらないし、やっぱり人間はなぜか危険な恋に憧れるところもある。だから曲のテーマとしては、当時のヴェルサイユ宮殿で繰り広げられていた禁断の恋と現代の…まあ誰しもとは言わないけど、惹かれる危険な恋と禁断の恋、それをうまく時空を超えてリンクさせたような歌、ラブソングにしようと思いました。

「薔薇と月と太陽~TheLegend of Versailles」通常盤

「薔薇と月と太陽~TheLegend of Versailles」通常盤

――ソロを振り返ると、『Fantasia』や『雷神』などではロマンティズムを追及され、「誘惑の太陽」ではEDMを取り入れています。3年ぶりの新曲ともあってサウンド的にはどういう立ち位置になるのかというのが気になるところでしたが。

 僕の好きなメタルの世界と、『INNOVATION CLASSICS』でずっとおこなってきたクラシカルな部分を融合させてみた、というのがこのシングルの特徴かもしれませんね。どこから切っても「Takamiyだね」という曲、そういうサウンドにしようと。そういうイメージで考えていくと、メタルが分かりやすいですし、『INNOVATION CLASSICS』で培ったクラシック感、そしてこういった格好で、それを振り切るような感じだね、中途半端にしないでやってみようかなと思いましたね 。「今時これ?」っていう感じのね(笑)。「こういうサウンドもあるんだよ」ということもね。こういうサウンドが昔は結構たくさんあったと思うんですけど、今はまだ見かけないので、いいんじゃないかなと思っていましたけどね。

――今回はクラシカルな部分がより強調されて、ロックとクラシックの親和性がより美しくなりましたね。ロックとクラシックの共通点はどのように感じていますか。

 ストリングスの感じが良いですよね。あくまでもメロディアスなハードロックを目指すということは、あまり変わらないですけどね。僕が好きなのはクラシックのメロディアスな部分。そして転調が自然におこなわれている部分。それと、ハードロックは様式美というのがあって、僕が好きな70年代なんかはそう、ディープ・パープルにしてもね。クラシックの要素を持っているグループもありましたからね。だからメロディアスなハードロック、それとクラシカルなメロディアスさ、そこがやっぱり一番の共通項ではないかなと思うんですけどね 。

――そして今回、ルイ14世から始まって「禁断の恋」へと結びつきましたが、これを題材にしようと思ったきっかけはあったのでしょうか。

 題材にするというよりも、2月ぐらいにイタリアのフィレンツェに仕事で行って、そこで街を歩いている時に、凄く風が冷たくて、ふと思った時に「パリはあっちか」と「はるか遠くヴェルサイユに…」というフレーズが浮かんで「ああ、いいね」と。そこから発展したものなので、特別何かあったということはないです。先ほども話しましたが、ルイ14世の時代の歴史をちょっと調べたこともあったこともあるかもしれないですね。

 ヴェルサイユ宮殿に行くと、あのバロック建築の様式は凄いですからね。あれはやっぱり日本人には真似ができないものだと思いますね。国が傾くほどに財源を使って宮殿を完成させたわけですから。それも毎晩毎晩、仮面舞踏会をやったり。何かを作ることによって破滅に向かっていったというのはどこか面白いじゃないですか。膨大な戦費やそれによってフランスの財政が悪化して、それが後々にフランス革命へと繋がっていくわけですから。そういう部分のイメージというのかな、それが良いとか悪いとかじゃなくて、そこへの興味が昔からありました。

――貴族というぐらいですから恋愛事情も高貴なイメージはありますが…。

 でもね、ドロドロだったみたいだよ。ジェラシーというのは誰にでもあるから、そこはね。ただ王様の言うことは聞かなきゃいけないし、日本だって大奥というものがあったわけですから。それはそれで仕方がないかもしれませんけど、要するに王様たちも仕事としてはやっぱ世継ぎを作らないといけないですからね。それはそれで大変だったんじゃないかな。禁断の恋と言っていますけど、まあそれはそれで仕方がないのかなという気にもなりますけどね。

「薔薇と月と太陽~TheLegend of Versailles」初回限定盤A

――バロックという中世ヨーロッパの様式美が裏テーマにあるということですが、その様式美についてはいかがですか?

 それについては「これだ」というものはありませんが、例えば歌の場合は、歌詞や曲にもよりますが、ももちろん僕だけではないですが、いろんなアーティストのイメージってありますよね。それはそれぞれの様式美だと思うんです。THE ALFEEにはTHE ALFEEの様式美はあるし、僕には僕の様式美があると思うので、僕が歌う「薔薇と月と太陽」もそういう様式美があると思います。やっぱり僕がすごく生活臭のするような歌を歌っていたとしても、この格好では様式美にならないだろう、というような。それはアーティストによるんだと思いますね。だから「Takamiy」という一つのアーティストが歌えるもの、それが僕の中での様式美です。

 だから中途半端にやらないで振り切ってみようと。こういう格好をしてジャケットを撮ったり、王冠を持ったりするわけですよ。還暦を越えようとも全然関係なく、むしろ音楽には年齢はないと思ってますから、(ベルサイユのばらの作者)池田理代子さんにもお願いして描いて頂きましたから、アーティストが持っているものを表現することが様式美かもしれないですね。

――今お話にありましたが、今回の初回限定盤Aのジャケットは、池田理代子さんが描き下ろされたもので、オスカルを連想させるTakamiyが描かれています。見た印象は?

 素晴らしいなと思いましたね。作っている時から池田理代子さんしかいないと思っていたので、個人的にも懇意にして頂いているので。とは言いましても頼みやすいということではないんですが、おそるおそるダメもとでオファーをしてみたら、快く引き受けて下さって、ホントに感激しました。

――そのままですもんね。

 いやいや、こっちの方が良すぎるけどね。タイトルには「薔薇」、そして歌詞に「ヴェルサイユ」が出てきますから、こうなると池田先生しか頭に浮かんでこないよね。そう考えてもリンクするし。池田先生のカバーによってTakamiyの様式美は確立したかなと思いますね。

――音だけでなく視覚でも表す、ということですね。

 そう。イメージってそういうことじゃないかな。見た目もそうだし、もちろん曲がちゃんとしてなきゃダメですけどね、そういったところも意識的には考えています。

――ソロとしての活動がTHE ALFEEにも還元されていくという話も過去にありました。この曲によって、ロックとクラシックがものの見事に融合されたという点をみても、ソロ、そしてTHE ALFEEの今後が楽しみですね。

 THE ALFEEとして昨年リリースした「あなたに贈る愛の歌」(2017年5月)でもクラシック要素を入れて成功して、あれはバラードでしたが、今回はソロで激しいものをやってみて、その結果「こういう感じの楽曲には合うんだ」というのが自分なりに判断できたので、今後はTHE ALFEEでもね、そういったメロディさがあってハードなものでも、クラシックっぽい要素を入れてみようかなとは思っています。

――ライブが凄く楽しみですね。

 ライブで早くやりたいんですよね。

 まあね、先ほども話しましたけど、ルネサンスとかルイ14世、ヴェルサイユの時代が好きなんですよね。絵画も含めて。それはなぜかというと、学校がミッションスクールだったこともあるけど、まあ僕はミッションじゃないけど。ああいったもののなかから必ず文化が生まれるんですよ。バロック音楽、あるいは絵画とか。そういったものが結構好きだったので、あの時代を自分なりにね、表現しようと思って。THE ALFEEだと3人いるのでバランスを取らなきゃいけないですけど、僕個人の作品なので思いっきり振り切ったものが出来ました。

 やっぱり常に思っているのは、メロディアスな部分をどうしても出したいという気持ちですから、サウンドはどう変わってもメロディがきちんとしている方が僕は好きなのでそこにはこだわります。

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