シンガーソングライターのAnlyが7月25日、2ndフルアルバム『LOOP』をリリース。幼少時代から洋楽を聴いて育ち、高校時代から弾き語りのライブ活動をスタート。2015年に「太陽に笑え」でメジャーデビューして以降、スキマスイッチとのコラボ曲「この闇を照らす光のむこうに」などいくつもの曲をヒットさせてきた。一方、ループペダル(一人でもバンドのようなアンサンブルを奏でることができる機材)を使ったライブも各方面から注目を集めている。本作『LOOP』には、米ロサンゼルスのクリエーターであるフアン・アリーザが参加し、彼女が慣れ親しむ洋楽のエッセンスと、ループペダルのアレンジを彷彿とさせるシンプルなサウンドが満載された作品になった。また、今作には高校時代に作られファンの間でもお馴染みとなっている「MANUAL」が初収録されている。校則の為に自信が経験した理不尽な体験をもとに作ったという楽曲で「自分と他人の違いを認め合うことが、いずれ平和につながる」と彼女は語る。『LOOP』というタイトルに込めた気持ちと、ロサンゼルスでもおこなわれた制作について聞いた。【取材=榑林史章】

ニュアンスを伝えるために急遽渡米

『LOOP』通常盤

──今作では新たに、ロスのクリエーターのフアン・アリーザさんがアレンジで参加しています。今まではギターとかバンドの印象が強かったですが、特にアリーザさんが参加した冒頭の4曲は、今風の洋楽R&Bのテイストも感じられて、それがこのアルバムを決定づけている感じがしました。

 まさしく、最初の4曲が核になっています。ただ、自分ではR&Bをやっているつもりはないんですよ。「DREAM ON」なんかは、“オルタナティブR&B”とかに分けられるらしいですけど、私の中では“不思議系音楽”という感覚です(笑)。ただ、確かに今っぽさはすごく意識していて、これまでも一緒に制作をしてくださっているジェフ・ミヤハラさんのアレンジもすごく今っぽいし、歌詞も私の中にある今の気持ちを大切にしています。

──歌の部分ではラップっぽいと言うか、メロディっぽくない歌い回しもたくさんあって。そこはヒップホップやR&Bからの影響かなと思うのですが。

 それは、ループペダルの影響ですね(笑)。ループペダルを使って演奏することを想定して作ると、そういうメロディっぽくないメロディが出てくるんです。

──Anlyさんと言えばループペダルを使ったライブが代名詞で、“LOOP NIGHT”と銘打ったライブもおこなっています。収録曲の新曲は、ほぼ全部“LOOP NIGHT”で披露していましたね。それに高校生の時から歌っている「MANUAL」という曲の歌詞にも、“ループ”という言葉が出てくるので、『LOOP』というアルバムタイトルは、Anlyさんのことが象徴されていますね。

 そうですね。ループペダルを使ったライブは、高校生の時からずっとやってきているので、長い間続けてきたことの集大成でもあるなって自分では思っています。今作ではその『LOOP』という言葉には、例えば“輪になること”とか、新たな意味も加えています。8月末からスタートするツアーのタイトルに『Anly “LOOP” Around the World ~Track 1~』と付けたのも、どんな場所にいてもあなたのもとに戻ってきますとか、私は故郷のことを忘れていないという気持ちも込めていて。このCDも、ふとした時とか何度でも繰り返し聴きたくなる気持ちになって欲しいと思って付けています。

──全体的にシンプルな音で、ライブのときにループペダルで演奏している雰囲気と近い感じがあるので、ライブにきてくれているお客さんは違和感なく聴けますね。その中で新しさも感じさせるという。

 アリーザには、そのことも伝えていました。ループペダルでライブをやっているから、アレンジは私がライブでやっているものと、あまりかけ離れていないものにして欲しいと。私自身もシンプルな方が好きだし。

──そもそもアリーザさんとやることになったきっかけは、何だったのですか?

 昨年、ジェフさんからお声がけをいただいて、LA在住のアーティスト、メイジー・ケイさんとのコラボで「Distance」という曲を制作したのですが、彼女の来日公演でサポートギタリストとして参加していたのがフアン・アリーザです。「アコギでここまで弾いちゃうの!」と思うくらいギターがすごく上手くて、機会があったら一緒に制作したいと思っていたんです。それで今回『LOOP』というアルバムを作ることが決まったときに、「絶対アリーザがいい!」ってお願いして。

 アリーザには、最初に「COFFEE」、「Moonlight」、「ENEMY」の3曲でアレンジをお願いしました。最初はロスにいるアリーザと、データとかスカイプでやりとりをしていたんですけど、どうしても伝わらないニュアンスがでてきてしまって。日本のプロデューサーと「もう行くしかないね」って、急遽3泊5日でロスに行ったんです。それで、現地でアリーザとアレンジを詰めたんですけど、その作業がけっこう早めに終わったんですね。

 そこで「じゃあ違う曲もやっちゃおう」というノリでできたのが、「DREAM ON」です。ライブでも歌っていたし、「今一番気に入っている曲だよ」と聴いてもらって。当初はアルバムに入れる予定ではなかったけど、アリーザのアレンジによって1曲目に収録されることになったのは、私のなかではすごく画期的なことでした。

──どうしても伝わらないニュアンスがあったというのは、どの曲のどういうところですか?

 最初にお願いした3曲ともで、私がもっと聴かせたいと思っているところの音が小さいとか、ここはエレキギターを大きくしたいとか。ドラムのフィルインで、もっとバンバンいって欲しいところがあったり。ネットを介してのやりとりでは、私の欲しいニュアンスがなかなか伝わらなくて。

──海外で主流になっている音楽の感覚と、J-POPの感覚との違いなんでしょうか。

 それはありますね。それにアリーザはコロンビア出身で、ノリがラテンなんです。ラテンのノリすぎると、ちょっと日本人には馴染みが薄いので、ノリきれない部分があって。グローバル的にはラテンが売れていますけど、もう少し聴きやすく、“LOOP NIGHT”に来てくれたお客さんにも聴き覚えがあるような雰囲気にしたいと伝えました。

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