桃源郷、その先に行ってしまったので(笑)

高橋武(撮影=冨田味我)

――「飄々とエモーション」歌詞の中に「桃源郷」という言葉が出てくるのが印象的なのですが、これは?

三原康司 これは最後まで何を入れるか悩みました。やっぱりツアーを回ってきて一番身近に感じてきたことが「TOGENKYO」というミニアルバムを出して、バンドとしての欲求が言葉になってそれは凄く良いことでもあるなと思って最後にこの言葉を入れました。

――この桃源郷という言葉には重さがありますよね。健司さんにお聞きしたいんですけど、過去の作品も含めて言葉の重さを感じることはありますか。

三原健司 う〜ん、過去にも重さはあまり感じませんけど、この歌詞の意味を100%伝えるのは難しいなと歌っていて思うことはあります。例えば「SPAM生活」の<死んだサカナのような眼をしたサカナのような生き方はしない>とか。でも、100%理解してもらわなくても良いとも思っています。全てを理解してもらえるように歌うのも違うかなと思っていて、そこは自由に解釈してもらっても良くて、正解を見つけなくても良いなと思うことはあります。

 でもこの「飄々とエモーション」は桃源郷という言葉が出てきた時にその先を見せたいと思いました。ここにあるメッセージを伝えたいというより、自分たちの物語を表現したいんだなと感じています。フレデリックは自分たちの経験が力になってやっているから説得力があるんだなと。妄想系や物語系は別として、基本的に自分たちの経験にないものは歌ってないと思っていて、メッセージといっても経験があった上でのことなんです。

――経験したかしないかで説得力が変わりますから。

三原健司 自分たちの生き方に対してお客さんが汲み取ってくれたり、共感してくれるから心が繋がっているんじゃないかなと思います。だからこそ、そういう感情が乗ったときのフレデリックは強いと思います。<桃源郷 描いて>という歌詞を見た時に、自分が思っているフレデリックとして伝えたいことを詰め込もうという意味で、歌うことへの意識は変わりました。

――それが音を聴けば伝わってきます。さて、第2章ともいえる新たなスタートを切った感覚もあるのですが、アリーナを経験してしまった今、目標はどこにありますか。

三原康司 個人的にはこの「飄々とエモーション」というものに目線が向いているので、正直に話すと今はこの曲のことしか考えていないです。なので、次のことも考えなければいけないなと思っていたり。この曲があってのライブだったり、今までになかったみんなで歌うということ、その空間作りというのがすごくハッピーだなと思っていて。今いるお客さんだったり、全国を回ったその日に対して、自分たちは感情をしっかり出していける活動が出来たらなと思っています。大きな目標はいっぱいあるんですけど、今は目の前のことに向いていると感じています。

三原健司 これから先という質問に対して僕らもどうなるんだろうということの方が多くて、<桃源郷 描いて>という歌詞に変わったように自分たちの経験でやっているから、この曲がリリースされて、ライブを経てこの曲を育っていった上で見えるものをしっかりと出していくという僕らのやり方があります。「こうなるのかな」というものは確かにありますけど、ずっと変わらないのは面白いものを見せていくということです。ただじゃ終わらせたくないなというのがあります。

 このアリーナを経てバンドだけじゃなくチーム全体として変わったなと思っていて、自分たちの予想を超えるようなものが、チームだからこそ作っていけると思うし、チームで作って見えたものがこの先のフレデリックになるのかなと思います。

――そんな一丸となっている今のフレデリックを比喩するとしたら何になると思います?

三原康司 今のフレデリックは“楽園”という感じがしています。ライブに来たら楽しいし。前までは桃源郷でしたけど、その先に行ってしまったので(笑)。

三原健司 場所って感じはあるよね。ここ(フレデリック)に立ち寄った人たちがどう感じるかですね。

三原康司 チームもそうですけど、フレデリックという場所でこういう風に遊んだら楽しいんじゃないかみたいな。

赤頭隆児 楽園に異論はないですね!

(おわり)

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