違うジャンルから刺激を受けてジャズは進化する

井上司

――先ほども少しお訊きしたんですが、皆さんのルーツはやはりジャズ?

岸本亮 色々ですよ。でもジャズの割合が大きい。つかっちゃん(Tsukasa Inoue)はロックドラマーっぽいですが。

井上司 僕は聴くのは好きでしたけど、プレイはずっとロックとか激しいものばかりやっていました。

カワイヒデヒロ 今ジャズは転換期なので、また新しいスタイルの人たちも出てくるでしょうね。

岸本亮 2010年代はドラマーにスポットが当たる事が多かった気がします。

カワイヒデヒロ シンバルレガートや4ビートのパターンはこれ以上やりようがないくらい完成形に近いというか、そうでないものを持ってくるというアイディアがどんどん出て来ていますよね。少し前だとドラムンベースやヒップホップのビートとか。今後どんなものが生まれるのか、自分たちが打ち出していくのかはその時にならないとわからないですが、楽しみでもあります。

岸本亮 新しい流れはヨーロッパから出てくるような気がしますよ。ゴーゴー・ペンギン(英バンド)とかもそう。ジャズ雑誌で対談した事がありますが、彼らからもe.s.tの影響が語られていました。e.s.tというピアノトリオがなかったら、fox capture planもこういう音楽をやってなかったかもしれません。ヒップホップやロックなど、違うジャンルから刺激を受けてジャズは進化している気がするので、またそういう現象が起きるんじゃないですか。

井上司 とんでもないドラマーもたくさん出てきていますよね。ぱっと聴いてどうやって叩いているのかもわからない様な。あるライブでドラマーがちょっとズラして叩いているビートを聴いて「この人下手だよね」と観客が話しているのを見た事があるんですよ(笑)。でも叩いている人たちは別次元でやっているわけで。上手さを通り越して「下手」って言われるくらい、すごいドラマーが表に出始めています。

――日本から動向で注目していることはありますか?

カワイヒデヒロ モーニング娘。‘18の「A gonna」のPVがトラップ歌謡みたいに仕上がっていて、とても面白かったですね。Jポップからそういうものが出てくるとは思わなかったです。ラップじゃなくて、歌ものメロディでトラップのアレンジは海外にもあんまりないので。独自の進化をJポップも遂げているなと感じました。

岸本亮 最近のシティポップのバンドたちからもルーツにジャズを感じる事があります。ジャズを演奏できるスキルを持った若手ミュージシャンがボーカルを入れた編成でバンドスタイルでやっているのが沢山出てきて面白いですね。でも20代以下でインストのジャズやっている人って少ないですよね。30半ばの自分たちの年代は結構インストをやっている人が多いので、そのカウンターとしての現象なのかなと感じたり

岸本亮 僕たちもこれまでシンガーを招いたりしてきましたけどね。

カワイヒデヒロ でもアルバムにはシンガーを入れた事がないです。今後やるのか、やらないのかはまだわかりませんけど。面白いコラボができるのなら、客演は積極的にやっていきたいです。

――では、客演に招きたいアーティストはいますか?

井上司 よくバンド内でラッパーとして名前が挙がるのはOMSB(SIMI LAB)ですね。

岸本亮 Aimerとかも良いですよ。

カワイヒデヒロ 数を稼ぐならビヨンセとか(笑)。

岸本亮 ブルーノ・マーズとか、エド・シーランも。

――海外のアーティストの名前が挙がりましたが、皆さんは海外でも活動されています。そこで何か感じた事などがあったら教えてください。

岸本亮 前から台湾にはよく演奏しに行きますよ。僕が所属しているJABBERLOOP(4人組クラブジャズバンド)というバンドで、2011年に台湾のグラミー賞『第22届金曲奨』に出席したんです。そこで驚いたのは完全に受賞式がグラミー賞の構成だったこと(笑)。プレゼンターとかも出てきて。アメリカの音楽に対するリスペクトがすごかったです。

カワイヒデヒロ チャイナラップとかも流行ってますよね。

岸本亮 ラップは人気ですよ。あと東京事変とかも台湾ですごい人気があったりします。だから今アジアは面白いかもしれません。日本のバンドも流行ってたりするけど、ポップスシーンはアメリカの影響が強いので。

――オーディエンスの反応などは?

カワイヒデヒロ 日本よりも素直に反応してくれますよ。初めて行ったところでもイントロ聴いただけで盛り上がってくれて、予習しているのかなと。以前担当したドラマ『カルテット』のテーマを演奏したら、すごい盛り上がってました。

井上司 イントロがドラムから始まるんですけど、それが鳴った瞬間に後ろのテーブル席からすごい勢いでお客さんが前方に来てくれて(笑)。

カワイヒデヒロ 洋楽のカバーも皆知っているので、大合唱になりました。

岸本亮 Oasisの「Wonderwall」も勝手に歌ってくれて面白かったですね。

――それから、皆さんは9月には新アルバム『CAPTURISM』の発売も控えています。

カワイヒデヒロ 今までよりはアングラ方面を掘り下げている変な曲が多い気がします。ある意味で原点回帰しようとしている様な。

岸本亮 演奏も攻めている感じになっていますよ。

井上司 ドラムは重ね録りとかもしましたから、9月のツアーまでに猛練習しなきゃいけないです(笑)。

(おわり)

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