本質的な意味で伝える時に音楽を使うのかどうか

――「SHINE」には<2005年 1899年以来初めて/死亡率が出生数を上回る>というリリックがありました。先ほどのチャンス・ザ・ラッパーも一例ですが、社会に対して何らかのメッセージを発信するアーティストも目立ちます。

 僕も結構考えるのが好きなので、自分なりの世の中への意見はあって、それに対するアプローチをどうしていこうかなというのは考えています。政治の側面だったり、3.11以降増えたメッセンジャーたちに対してだったり。そのメッセンジャーが当時話していた事と今言っている事、言葉というかスタンスですよね。何が言いにくくなっているのか、という事も見ていますし、それをどう補っているのかも見ています。

 とはいえ、やはり言葉を隠してはいけないと思うんですよ。その中で僕のやりたい事をやれるか、伝えたい事を積極的に伝えたいというのはありますね。どうしても、リベラルな話になると一辺倒になりがちじゃないですか、「首相は駄目だ」とか。そうではなく、もって生きている中で何が身のまわりで起きていて、という事を本質的な意味で伝える時に音楽を使うのかどうかというのはもっと見極めていきたいです。ただ、年齢も年齢なのでやれる事はあるかなとも思っています。

LAID BACK OCEAN

LAID BACK OCEAN

――最近ですと、RADWIMPSの「HINOMARU」について国内で議論になりましたね。

 音楽を楽しむものとして考えている人たちは、楽しんでいるものに切実なメッセージとかが入ってくるのはどうなんだと思ってしまうんじゃないですか。僕はありだと思うんですよ。並々ならぬ決意で書かれた曲だとも思います。ただ「そういう事は言わない」と決めている人の事は、それはそれで「娯楽に徹する」という事で尊敬していますけどね。それはそれぞれの選択だと思いますし。ただ僕は自分から出てきたものに蓋をしたくないんです。なので、そこから逃げてないか、お茶を濁してないかというのは常に考えています。

 今の10代や20代の人の音楽の聴き方を見ていると、薬の様に、精神安定剤の様な眼差しですがるように、携帯の中の音楽を見ている人が意外に多くいる気がしています。日本には日本の現代における音楽の在り方があると思うんですよ。「なんか音楽が軽くなっちゃった」と言う人もいますけど、僕はそんな事もないのかなと。ツールは軽くなったし、触れやすくはなったけどそんな事はない。ただ届ける側の姿勢が問われているだけなのかなと。

――では活動を始めてから現在に至るまで、ステージから見える観客の様子も変化したと感じますか。

 ずっとステージに立って来ましたけど、昔はよくわかってなかったですよ。スペースシャワーTVで生放送しているライブも終わってから生放送している事に気付いたライブもありましたからね(笑)。「生放送だったの?知らなかったな」みたいに。その頃に比べたら「おまえら俺が勝手に書いている日記みたいなものに勝手に共感しているだけじゃねえかよ」と思っていましたけど、配慮はする様になりましたね。色々と考える様になったし、「ステージがわかればわかるほど緊張する」という言葉もあります。

――年齢を重ねていく事についてはどうお考えですか?

 僕、10代の時から年上の人に何かを言われるのが嫌いだったんですよ。「5年後こうなってるから」とか「30歳になるとこうだから」みたいな話が嫌でした。全員死ねと思ってましたから(笑)。そういう意味では、自分が上の立場になってから「何を言われて嫌だったか」「どんな態度の人にムカついていたか」というのをとても考えています。アドバイスなんてしたくないし、知識なんかひけらかしたくない。でも泣いている人がいて1つだけ何かを言わせてくれるのであれば、これだけは言っとこうかなという事をステージから言いたいなと思ってます。そういう視点は出てきたのかなと。

 若い頃の方が良かったなとは全く思わないです。今の方が絶対楽しい。選択肢も増えましたし。あとは発言力も違いますね。ステージから「ありがとう」と言うだけでも23歳の時言うのと、40歳で言うのでは全然違います。昔から「なんであの人が『ありがとう』って言うと感動するんだろうな」と不思議でしたけど、やっぱり何かが乗っかっているんでしょうね。そういう意味でも武器が増えている感じがします。

――最後に読者にメッセージと、既に始まっているツアー『LAID BACK OCEAN NEW MOON Tour 2018』についての意気込みを。

 僕は自分を表現者として信用してもらってもいいと自分で言い切れるんです。嘘はつかないんだなと思って見てほしい。別に裏切るし、想像通りいかない事もやると思いますけど、でもこいつは信用できるなという事をこれからもやっていきたいと思っています。

 色々なタイプのライブをやってきたんですけど、『NEW MOON』はライブの光景がイメージしやすいビート感を採用しています。多様性の時代なので、乗り方は自由ですよとは言いますけど、「いや、盛り上がりに来い。心解放しに来い」と言いたいですね。

(おわり)

作品情報

1st. Full ALBUM 【NEW MOON】
1.TOILET REVOLUTION
2.LONELY NATION
3.Million (横浜マラソン2018 PR動画挿入歌)
4.STANDING BACK
5.明日からの旅
6.KAZAANA
7.Mr.Good Morning (NEW MOON mix)
8.YSC
9.Way Of Life (東海学園大学2018 TVCM曲)
10.Starry Eyed
11.Don’t Call My Name
12.MOTHER OCEAN
13.運命ルーレット
14.CRAZY CRAZY
15.SHINE (NEW MOON ver.)

Release:2018.6.6
Price:3,000円(TAX IN)
Product Code:DDCZ-2200

ライブ情報

LAID BACK OCEAN NEW MOON Tour 2018 Act.1東京ワンマン
Tour FINAL「海のヒィィィィィィィ2018」
【日程】2018年7月16日(月・祝)
【会場】渋谷 SPACE ODD

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