YAFUMIの目に映る時代

――今までの音楽活動をされてきて、時代の音楽はどう変わってきたと感じます?

 僕は70年代パンクロックの影響を受けて、80年代のロック、90年代のオルタナ、00年代、10年代と音楽を聴いてきていますが、最近はUSヒップホップに興味があるんです。低音の出し方とか音響的なところをすごい気にしています。僕はパンクから始まってはいるんですけど、今曲を作る時はかなりデジタルに作るんです。そういう意味では僕たちは今の音楽の在り方に向いているのかもしれません。楽曲のミックスはギターのKAZUKIが全部やって、デザインはベースのKYOHEIが、と自分たちで完結させられるので。このスピード感に僕らは向いている。

 だからサブスクリプションも当然肯定しています。チャンス・ザ・ラッパー(※編注=レーベルと契約せず、音源を有料販売せずグラミー賞を受賞した米ラッパー)のようなあり方もリスペクトしていますよ。フィジカル(CDやレコード)にはこだわっていないですし、そこはフレキシブルにやっていけると思ってます。ヒップホップは好きですね。言葉が好きなので。どういう意味の転がし方をしていくのかとかはそこで研究しています。

LAID BACK OCEAN

LAID BACK OCEAN

――そういう視点から見て、日本と海外のトレンドの違いについてどう思われますか。

 日本では、アイドルが売れてますけど、あまり関係ないものとして見ていますからね(笑)。それよりも本気で才能のあるやつがフックアップされていくような傾向もありますよね。僕は面識ないですけど、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤(正文)さんがご自分で『Apple Vinegar Award』を立ち上げて、ラッパーのJJJ(HIKARI)が受賞していました。彼の音楽もめっちゃ格好良いじゃないですか。そういう事ができちゃったりもするから、悲観的な事は全く考えていません。

 ただまだ媒体ありきというか「結局『ミュージックステーション』かよ!」みたいな事は思ってます。なんか今、ロックバンドがみんな『ミュージックステーション』を目指し始めていたりして。ロックを聴く人が増えるのはよいとは思うんですけど、選択肢が広がっている、多様性というものが聴く側にももっと浸透していくと面白くなるのかなと思います。

――今後やっていきたい事について考えている事はありますか。

 直接的な言葉でもいいものを遠回りして、表現を探して届けたいとは考えていますね。的確に心の揺れの部分に寄り添いたいというか。「愛してる」という言葉になりきらない言葉みたいなものを表現したいからやっているんです。今回自分の好きなものを突き詰めたら『NEW MOON』になりましたけど、また次のやり方があるんじゃないかなと思っています。

 それを形にするチームになってきていますし、メンバーも「おまえの好きなようにやれ」と言ってくれて。事務所もついてきてくれる。原価率もすごいんですよ。1枚CDを送るのにパッケージだけで2000円かかりますから(笑)。「では2000円かけたいのであれば、どうするのか?」という事を考えてくれるので、ありがたいです。

 最近よく考えるんですけど、生き延びるために音楽はやりたくないなと。僕たちは生きるために音楽をやっているのであって、生き延びるためにやっているわけではない。生き延びるためにご飯を食べたり、仕事をしなければいけませんが、それとは別の次元で。生きるためにやっていきたい。

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