Yasei Collectiveが18日、ニューアルバム『stateSment』をリリースする。彼らにとって2年ぶりとなるこのアルバムは、初めてアメリカでレコーディング、ミックス、マスタリングまでをおこなったという意欲作。彼ららしい凝ったリズムでキャッチーな楽曲から、シンセを多用したポップなものまで多彩なサウンドが詰め込まれている。今回はそのYasei Collectiveのメンバー、松下マサナオ、別所和洋、斎藤拓郎、中西道彦の4人にインタビュー。「日本で同じプロセスをやったら破綻すると思う」というアメリカでのレコーディングはどのようなものだったのか。「ライブ感にこだわらなかった」という『stateSment』に込められた彼らの意図を聞いた。【取材=小池直也/撮影=冨田味我】

ライブを想定しない制作

松下マサナオ(撮影=冨田味我)

——『stateSment』はどのような作品に仕上がったか、その点も含めて今の心境を教えてください。

松下マサナオ 今回の作品も今までの活動の延長線上ではあるんですけど、前より大がかりに曲を作り込んでいます。これまではライブ感を重視して、一発録りにかけてやってたので。次の第一歩として作品としての新しい方向性にトライしました。

中西道彦 やはり制作と「ライブをやる」という事とは意識の在り方が違うと思いますね。そういうところに今回は意識的に踏み込んでいけたんじゃないかと。あまりに作り込んだ感じもなく、ヤセイの元々持っていたざっくりした感じと両立させられたんじゃないかな。

別所和洋 僕も前回より、ライブでできるかどうかを考えずに、入れられる音を入れようということを考えていました。

——収録曲はどのようにしてセレクトしていったんでしょうか。

松下マサナオ 制作については曲によりますけど、2、3年くらい前からある曲を仕上げたものもあればレコ—ディングの数カ月前に作ったものもあります。リード曲「Splash」が最後にできたんですよ。「1曲足りないな」という話になって。もともと「Trad」か「Okay」をリードにという話もあったんですけど、これが良いなと。今まで作った曲で一番短期間でできた曲かもしれませんね。

中西道彦 作曲自体は人それぞれな部分と、皆でやるのとに分かれます。大体断片を誰かが作ってきて、スタジオでリハーサルをしながら、形にしていきます。一からセッションでってのはあんまりないですね。断片のでき方も人によって違いますよ。ビートまで作り込んでくる人もいれば、構成やコード、メロディだけ作ってそれに皆で肉付けしていく事もありますし。

松下マサナオ 曲順は逆にライブのセットリストを作るように考えて、ディレクターとも意見交換していました。ただマスタリングの段階で不具合があって、曲の順番が入れ替わってしまったんです。でもそれを聴いたらすごい良かったんですね。それが奇跡的にはまって、この曲順になりました。

——皆さんの推し曲などあれば教えてください。

別所和洋やっぱり「Splash」ですね。最新のやりたい事が詰まっている、一番フレッシュな曲なので。

中西道彦 僕は自分で作ったというのもありますが「O.I.A.K.A」が結構好きです。これは初めてだと思うんですけど、ドラムのビートを自分で作ったんです。いつもはマサナオに任せるんですけど。拓郎は結構ガチガチに作り込んできます(笑)。「こういうビートを叩いてほしいな」と思って、そこから組んでいきました。僕の中ではトラップっぽい部分を出しています。この曲はドラムの音もとても気に入っています。

 録音の際、ミックスまで意識してやるので、センターに音を集めすぎると音が重なってディテールがわからくなる。だから「それと分からない様にいかにセンターを空けるか」が大事。そういう事を全曲レコーディング前から意識しているんですけど、そのプロセスが一番上手くいったのが「O.I.A.K.A」なんじゃないかと。

——松下さんはいかがですか。

松下マサナオ 今回は今まで以上にドラマーというよりもディレクションをする立ち位置だったので。自分の音よりも別所のキーボードの音色をケアしていたし、拓郎のヴォコーダーのハモりをここに入れたいとか、道くんのここはシンベ(シンセベース)にしてほしいとか伝えたり。最終的に僕なんかはアメリカに行ったノリでバスドラのサイズを決めたり、手配したシンバルが来てないぞ、みたいな文句を言いながらバチ振ってたことしか覚えてないです(笑)。あとはプリプロ(デモ制作など録音前の仕込み)の段階で作り込んだものを録音する作業に集中してました。あの時の自分のベストというか、やれる事をやったという感じです。全曲リードだと思って今回やっています。

 あとは「The Golden Fox」だけ僕がスマホのアプリで1曲だけ作曲したんです。しょーもないデモだったんですけど、みんなが大曲に仕上げてくれました。僕はディレクションしただけ。そういうやり方の集大成がこのアルバムです。もうこのやり方では今後制作しないと思うし、もうやりたくない(笑)。リード曲を「Splash」にしたいと提案したのは僕なんですけど、録音した時点では「Okay」が1番好きで、今も1番聴きます。「Okay」のドラムの音は「まじレッチリじゃん!」くらいアメリカンな音で録れました。

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