レゲエアーティストの寿君が7月18日、メジャー初となるアルバム『ニューレベ』をリリースする。この作品は10年以上のインディーズ時代の活動を経て、新しい世界に踏み出した寿君の冒険が記録された一枚。TUBE「あー夏休み」の初フレーズ・サンプリングやメジャーデビューのきっかけとなった、SPICY CHOCOLATEの「キミと未来 feat.Ms OOJA & 寿君」など盛りだくさんの内容となっている。そんな彼は先日メジャー初となる東名阪ツアーも無事に終えたばかり。メジャーデビュー3カ月を経た、目まぐるしい日々の中で彼が今感じている事は一体なにか。寿君にインタビューした。【取材=小池直也/撮影=冨田味我】

今は冒険の真っただ中

――先日の東名阪ツーマンツアー『not Alone tour~一人じゃない~』のファイナルを観覧しました。あの観客が「ポイポイ!(ポウポウ!)」と叫ぶのは一体どういう意味なのでしょう?

 あれはお約束なんですよ。本場のジャマイカでも結構言いますね。ツアーは本当に「1人じゃなかった」という感じです(笑)。ゲストのAK-69さんにしても、HAN-KUNにしても武道館、アリーナクラスのアーティストじゃないですか。今まで僕はレゲエ界でインディーズとしてやってきたけど、メジャーで活躍している人と対バンする事で自分の足りないところや彼らがなぜすごいのかという事が鮮明に見えました。

 後で自分のライブを見返してみたら、本当に落ち着きがなくて。逆にゲストの皆さんが僕の事を落ち着いてイントロデュースしてくれていました。これこそリンクアップ(団結)ですよね。HAN-KUNの「俺は湘南乃風という先輩で。先輩の風を吹かすなら。寿、ここにいるお客さんを絶対に裏切っちゃ駄目。その絆を大きくして、俺たちみたいに…」というMCも「間違いない!」と思いました。メジャーの第一線で長年やられている人の一言一言が意味深かったです。僕もそういってもらえたからには自分も武道館まで行って、もう一度恩返しをしたいって心から思えた良い東名阪ツアーでしたね。

寿君(撮影=冨田味我)

寿君(撮影=冨田味我)

――そのなかで『ニューレベ』がリリースされました。今の心境を教えてください。

 やっぱりインディーズでは無理だった事も、ニューレベルにして、色々とリニューアルしたものを聴いてもらいたいという想いがありました。TUBEさんの「あー夏休み」をサンプリングさせてもらったりも、メジャーでなければできない事なんです。NAOKI-Tさんや、Carlos K.さんの様な新しく知り合ったプロデューサーの皆さんとも一緒に作品を作ることができてました。ベリーグッドマンやMs OOJAさん、レゲエの枠を超えたコラボレーションもあったり。人の意見を取り入れて、今までとは違う事に挑戦しています。

 インディーズの時のように自分の作りたい物を作ってしまうと、自分の脳みその中で、自分の世界の中でやってしまいがちです。でも色々なプロデューサーを挟む事によって、色々な知恵や知識を教えてもらえました。今までレゲエというジャンルで一生懸命やってきて、自分ひとりで活動する限界を感じていたので、メジャーに入れてもらって、レゲエ以外の色々な物を見ると、僕たちにないものがそこにありました。

 今後、ワンマンをやっていくに当たって、ずっとレゲエフィールドだけでやっていくのかといったら、ちょっと違うなと。日本の人たちにもっと聴いてもらうために、レゲエというジャンルにこだわったら限界もある。僕達が格好良いと思う音楽をもっと身近にしていく特攻隊長として、これをきっかけに周りがニューレベになれば良いなと思っています。

――メジャーデビューから3カ月ですが、実感や思う事などあれば。

 EP「一人じゃない」をリリースしてから、TBSの『ひるおび!』のエンディングに抜擢されたり、何件かテレビ番組にも出させてもらいました。それもあって「最近寿君を知りました」という方が増えましたね。今まではサイン会も、若いお兄ちゃんとかお姉ちゃんが多かったんですけど、家族連れやおばちゃん1人で来る人も増えてきました。

 「一緒に盛り上げていきましょう!」と言ってくださる方もいて。何かすごい人だなと(笑)。最初「どういう目線なんだろう?」とも一瞬戸惑いましたが、そういう風に新しく応援してくれる人が集まって来ています。何気なく生活していて、テレビを点けたら自分が出ていたり。「あ、俺や」と思ってから、外で「テレビ見たで」と言われたりすると、自分がメジャーアーティストなんだなと実感しますね。インディーズではなかなかできなかったことなので。

 先ほどの「ポイポイ!」に関しても、今まではそれを当たり前に生きてきて、それが聴こえないと寂しいくらい。歌い終わって拍手だけだと寂しいから「ポイポイないで!」と煽ると、みんな言ってくれて安心していた部分もあったんです。でも新たに現場に遊びに来てくれた人にそれを言ってもわからないじゃないですか(笑)。当たり前にやってたけど、みんなわからないんだなと。それもメジャーに入り、客観的にスタッフの皆さんに意見をもらったりファン層が広がってみて気付いた事です。

――それが「広がっていく」という事でもありますよね。

 僕たちのフィールドにその人たちを巻き込んでいくのか、僕たちが広がっていくのか。どっちなんやろ、と思った時に「俺たちが広がっていくべきやろ」と。今は冒険の真っただ中です。

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