業界の変化、そのなかでどう向き合うか

――音楽環境はライブ配信やストリーミング配信、CDの売上減少など私達が育ってきた頃とはだいぶ変わってきています。現在の音楽業界をどう感じていますか?

 自分が子供の頃と比べると、エンタメの体験の仕方も変わっていますし、CDプレーヤーを持っている人も若い世代にはほとんどいないと思います。我々は冷静に今生活をしている人達がどのような生活をして情報を得て、どういう風にエンタメに繋がっているかを冷静に客観的に見ないといけないと思っています。人によって体験の仕方が違いますから。上の世代の人はまだCDを聴いているだろうし、10代はモバイルの中で全部完結していると思いますし、そういう人達にもちゃんと届くように可能性の入り口を失わないようにしなければいけない。多様化している分、勉強しないといけませんから大変ではありますけど。僕も30代だから10代のときみたいに音楽への反射神経は鈍くなってきているので。だから勉強しながら置いて行かれないようにというのは気にはしています。

TOKYO FANTASY取締役・宍戸亮太氏

TOKYO FANTASY取締役・宍戸亮太氏

――YouTubeやAmazonなど、インターネットのエンタメコンテンツの存在をどう捉えていますか?

 メリット・デメリットがありますからね。僕らが中高生の頃だと、観たいMVがあっても自分からは選べなかったじゃないですか? 待って流れたらラッキーみたいな。でも今の子達はYouTubeに行けばだいたい観られるし、情報量も増えてきているけど、そこへのアクセスも昔よりはしやすくなっていて、TVとかも昔だったら「何曜日の何時にこれがやっていて」というのしかなかったけど、今は携帯電話でポンと飛んだら観たいときに観たい映像があるし、その上で音楽の立ち位置がどのようにいるべきなのかなというのはずっと悩むことであると。今まで通りではいけないなというのは常々思っています。

――今後、SEKAI NO OWARIを届ける方法も変わっていく?

 そうですね。変えなきゃいけないし、変わらないと過去のものになっていくんだなと思います。本で読んだ言葉なんですけど、「成熟したら腐敗する」というのがあって、いかに成熟しないようにマネージメントしていけるかというのは大事にしているところです。成熟したら、腐敗する。だったら成熟しないように。しそうになったら違う刺激をと仕掛けていくことが凄く大事だし、自分達の常識の中にとらわれてしまうと、時代の中に置いていかれてしまう。僕の師匠がよく言うんですけど、「時代とタイアップしなさい」と。タイアップする相手について、一つ目が“企業”、二つ目が“季節”、最上が“時代”だとずっと言ってくれて。それは真理だと思うし、色んなものがある中でSEKAI NO OWARIがあって、その時代の中でどういう立ち位置でいられて、どういうタイアップの仕方をしていけるかというのは考えています。

――最後に、宍戸さんの原動力になっているものは何ですか?

 「SEKAI NO OWARIを70億人に届ける」というのを忘れないようにしています。アーティストとマネージャーが出会って、チームになって色んな人に届いていくから、彼らがもし僕を選ばなかったとしたら、もしかしたらもっと有名になっているかもしれないし、そうじゃないかもしれない。“人生と契約”するのがマネージメントとだと僕は思っているので、彼らが何十年経って振り返った時に「良かったな」と思ってもらえるようにマネージメントしたいですし「70億人に届けるぞ」というのは大きな原動力です。70億人にたいして、「人と音楽」が繋げられたら…。それは僕がやりたいことでもあります。「人と音楽を繋ぐこと」が一番の核にはあります。

 ◇

 彼らの事を「あの子達」と表現していた宍戸氏。マネージャーという意識よりも親心に近いのであろう。親は直接言葉を掛けなくても常に子を思っているものだ。一番の理解者であり一番のファン。彼の言葉からはそのような思いが滲み出ていた。此の親にして此の子あり。

(おわり)

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