5人組ロックバンド・FLOWが1日、東京・豊洲PITでライブツアー『FLOW 15th Anniversary TOUR 2018「アニメ縛り」』のファイナル公演をおこなった。同ツアーは4月からおこなってきた、タイトル通りアニメソングだけのセットリストでステージを展開するもの。この日は、このライブのために様々なアニメの声を担当した声優陣が録り下ろしたというオリジナルのナレーションが随所に披露された上、スペシャルゲストとして歌手・きただにひろしが登場。また、8月リリースシングル曲の初出し、そして来年1月に10年ぶりとなる2度目の日本武道館公演『FLOW 15th Anniversary Final 「FLOW LIVE BEST 2019 in 日本武道館 〜神祭り〜」』が開催されることが明かされた。全く引くところを知らないノンストップの熱狂ライブとなり、観衆は熱い思いのこもった5人のサウンドに体の芯から酔いしれた。【取材=桂 伸也】

ステージスタート前から大興奮

 テレビアニメ『NARUTO -ナルト-』『交響詩篇エウレカセブン』『コードギアス 反逆のルルーシュ』など、数々の人気アニメの主題歌を手がけ、アニメファン、アニソンファン、ロックファンと多方面から絶大な支持と人気を誇るFLOWも、2017年7月2日でデビュー15周年を迎えた。近年は国内にとどまらず海外での活躍も活発な彼らであるが、2018年もGRANRODEOとともに東京、大阪、台湾を回るツアー、FLOW15周年アニバーサリーLIVE第3弾として札幌・福岡・大阪・名古屋・東京の5都市で開催されたFLOW主催対バンツアー『FLOW THE PARTY 2018』、そして7月にはブラジル、メキシコ、ペルー、アルゼンチン、チリの南米5か国を回るワールドツアーが予定されているなど、その勢いは留まるところを知らない。

KEIGO(撮影=柴田恵理)

 開場が予定から押していたこともあったのだろうか、いやそれだけではないであろう、人で埋め尽くされた会場の熱気が、ステージのスタート前から異常にも思えたのは。会場に流れるBGMのアニメソングに合わせ、既に「Oi!Oi!」と調子を合わせて歓声を上げる観衆があちこちに見られるという有り様、何かあれば一触即発という状態だ。そしてステージ開始直前、その“何か”は起きた。会場に流れる前説のアナウンス。何か自信のなさげな語り口。当人は自身の名をアニメ『NARUTO -ナルト-』の登場キャラクターの名である「日向ヒナタ」を名乗った。

 そして次の瞬間、語り口を普段の声に戻し、その女性は名乗った。声優の水樹奈々だと。その声に、フロアからは怒涛のような歓声が上がり、合わせてさらなる熱気がモワっと立ちのぼる。「ご来場の皆様、ファイナルですよ! 悔いの残らぬよう、盛り上がっていきましょう!」その水樹のアナウンスに対する観衆の反応は、ここから先が“灼熱地獄”と化すという予感を、抱かざるを得ない雰囲気すらかもし出していた。

FLOWのステージ(撮影=柴田恵理)

 その盛り上がりの直後、それは唐突に起きた。照明はパッと消え、観衆が手拍子や歓声で合わせていたBGMも落とされ、闇と静寂が会場を支配する。が、そんなハプニングさえ打ち破る歓声が再びフロアを埋める。さらにその興奮に追い討ちを掛けるように、ステージを照らしたカラフルな照明、そして声優陣のナレーション。続いて鳴り響き始めたSEに合わせ、いよいよFLOWの5人がステージに現れると、会場は空気さえ震えを感じるほどの大きな歓声に包まれる。そして怒涛のリズムに乗せてオープニングナンバー「Hey!!!」でステージはスタートした。出だしからKEIGOが観衆を煽る。「やっちゃおうぜ! 東京!」

 地を揺るがすようなGOT'S(Ba)、IWASAKI(Dr)のリズム。その上で凶暴なTAKE(Gt)のギターが暴れまわる。それだけでも相当なアピールであろう。しかしFLOWがそれだけで済ませるはずはない。ツアーファイナルを迎えた5人、中でもKOHSHI(Vo)、KEIGO(Vo)の強力なツインボーカルが、観衆の一人でも見逃すはずがない。情熱たっぷりの歌声に、興奮した観衆は一人残らず腕を振り上げ、あるものはヘドバンを繰り出し、サビを二人とともに歌い、時には手拍子を加える。

 人気のあるバンドなら当たり前、よくある光景だろうと思われる人もいるかもしれない。だが観衆一人ひとりが振り上げ、振り回していた腕の動きには、何か異質な雰囲気すら感じられた。会場の後方からは、ステージの照明から照らされる光の影によって、観衆の腕の動きはようやく見えるものであったが、そこで見えた彼らの腕の動きには、どれにも目いっぱいに力を込めたような鋭さが感じられた。観衆は真にこの時を待ち望んでいたのだろう。その待ちに待ったこの時までの辛さを晴らすかのように、観衆はFLOWへの思いを、力いっぱい表現していた。

その覚悟が垣間見られた終焉

 そして、KEIGOは続けて宣言をした。「自分たちのその覚悟をもう一度、言わせてください。今、FLOWはアニソンバンドとか、ロックバンドとかいろんないわれ方をしています。でも自分たちはそんないわれ方、肩書きはどうでもいい。もしジャンルとジャンルの間にボーダーラインがあり壁があるなら、自分たちはそのラインをただ跨ぐバンドではなく、そのライン、壁をぶっ壊せるバンドに、絶対になる。だからこれからも付いて来てください! これからもずっとライブを作っていこうぜ!」力強いその宣言に、会場からは惜しみない拍手と歓声が寄せられた。

KOHSHI(撮影=柴田恵理)

 いよいよ終盤、「光追いかけて」から「GO!!!」まで、FLOWがまさにアニメ作品と接し、深く交わるきっかけとなった『NARUTO -ナルト-』シリーズへ提供してきた楽曲のオンパレードが続く。ステージスタートから既に1時間半が経過していたこの頃だったが、観衆の猛烈な熱気は止まらない。「豊洲PIT! 行くところまで行っちゃおうぜ!」そんな観衆に、KOHSHIがなおも煽りを入れ、ノンストップで駆け抜ける。人目もはばからず、皆KOHSHI、KEIGOの二人とともに大きな声を上げ歌う観衆。ついにはフロアの左端から右側へ、観衆が順にジャンプを繰り出していくことで作り上げられるビッグウェーブまで登場、FLOWの5人、そしてフロアの観衆の思いは最高潮に達した。

 ステージのラストを前に、今度はKEIGOに対してのサプライズが披露される。7月1日、まさにこの日はKEIGOの41歳の誕生日。KOHSHIのリードで、会場全体の歌にてKEIGOの誕生日が祝福された。感無量のKEIGOは「幸せです!」という一言に続けて「今日は41歳のスタートですが、FLOWとしても新しいスタートです。新しい一歩を、皆さんと一緒に踏み出してもよろしいでしょうか!?」と呼びかけるとともに、ラストに8月リリースの新曲「音色」を初出し披露する。それはここまで見せたFLOWらしさを凝縮した、リズミカルでかつ熱く気持ちを動かしてくるような楽曲だ。

武道館での公演が発表された瞬間(撮影=柴田恵理)

 その曲を、体の隅々まで染み渡らせるように、じっと聴き込む観衆。その時見せた観衆の表情は、きっとこれからのライブでまた聴くものを狂喜乱舞させる1曲になると予感させるものでもあった。最後はKEIGOの「アニメ縛り、FILAL!」という叫びに対し、観衆が「最高!」と返し、ついにステージは終わりの時を迎えた。全24曲、全力投球で駆け抜けたステージの終わり。別れを惜しみながらステージを後にする5人の中、KEIGOは最後に「愛してるよ!」と叫び、変わらぬ思いを観衆に投げかけた。

 大興奮のうちに終焉を迎えたライブ。ステージは披露された楽曲のクレジットと、このツアーで5人が回ったライブの思い出の場面が、映画のエンドロールのように流れ、大きな余韻を観衆の心に残していた。だが、それも終わったところで、映像はツアーファイナルを走り切った彼らの、バックステージの様子を白黒映像で映し出した。その後、彼らは会場を出て1台のバンに乗り込み、高速道路を走り抜けどこかに向かっていく。やがてバンはどこかへたどり着き、5人はある場所にたどり着いた。その瞬間、映像はカラーへと変わり、その場所を映し出す。その場所は、日本武道館の入り口だった。

 その映像が映し出された瞬間、どこにそんな元気が残っていたのか、と思わずに入られないほどの絶叫が、会場中に響いた。2019年1月30日におこなわれる、FLOWとしては10年ぶりとなる2度目の日本武道館公演『15th Anniversary Final 「FLOW LIVE BEST 2019 in 日本武道館 〜神祭り〜」』の知らせ。まさに皆が待ち望んでいた大舞台の知らせに、観衆の気持ちは最後の最後で心踊らされた。KEIGOが語った“新しい1歩”という言葉が脳裏に甦る。熱狂のライブを安堵で終わらせなかったところに、15年というキャリアを持ちながらさらに挑戦していこうとする彼らの大きな覚悟、意志が見えてくる。彼らのその勢いは、当面衰える兆候すら感じられないことだろう。

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