全部わかりやすく伝えることが全てじゃない

川畑 要(撮影=冨田味我)

――「Heaven Only Knows」の歌詞にある堂珍さんが歌っている<back in the day>がインパクトがありますが、少し歌詞とは意味合いが変わってしまうのですが、もし過去に戻れるならいつ頃に戻りたいですか。

川畑 要 1stアルバム『The Way We Are』の時にスケボーで転んだんですけど、転ぶ前に戻りたいですね(笑)。大変だったので…。

――それは仕事中の事故?

川畑 要 いえ、完全なオフ日です(笑)。

堂珍嘉邦 あったあった! 確か病院にも行ったよね?

川畑 要 病院に行ったね。もう脳震盪(のうしんとう)で泡吹いて意識が飛んじゃって。

――それは戻りたいですね…。堂珍さんは戻りたい過去とかありますか?

堂珍嘉邦 戻って同じことをやるのはなかなかキツいと感じていて。結局、未来を変えようとしても変えられないとしたら違う人生でもいいと思うし。だったら戻らなくてもいいかなと。なので、戻らないか、生まれる前に戻るかどちらかです。

――もし違う人生を歩むとしたらどんなことをやってみたいですか?

堂珍嘉邦 スポーツ選手になりたいです。野球選手をやってみたいかな。将来はコーチをやって監督をやって名球会に入って。今だったらメジャーリーグも選択肢にあるかもしれないですけど。スポーツって素晴らしいんですよ。スポーツマンシップというのがあって、音楽とはまた違った、スポーツだからできることってあるじゃないですか? みんなが自由にフェアにできるというか。役者で言うところの、違う役を演じられるように、一つの決め事でポジションや役割があって、そこに個人の生活やドラマがあって、それがみんなで協力しあってチームとして勝敗とかがあるから好きなんです。

川畑 要 熱いね(笑)。

――さて、18年目に突入して、歌の変化はどのように感じていますか?

川畑 要 自分でもニュアンスとか滅茶苦茶変わったと思いますよ。お互いソロ活動も経てきたこともありますし、全てやってきたことは一つも無駄にはなっていないと思うので変化は大きいと思います。

――相当歌ってきていますけど、お2人は喉のケアはシビアにやっていますか?

川畑 要 絶対マスクをして寝るとか、加湿器をたくさん入れるとか、凄く気を遣っている人いるじゃないですか? いまだに僕はそういう人間ではないですね。なんとなく逆に弱くなりそうで…。

――堂珍さんもあまり気にしない?

堂珍嘉邦 そうですね。加湿器をつけるときはあるけど何台も置かないです。基本的には自然体です。

――これを聞いたら他のシンガーの方がびっくりされそうですね。さて、今作でのレコーディングはいかがでしたか。新たなチャレンジなどあれば教えてください。

川畑 要 新しいチャレンジではないですけど、「13ヶ月」は久しぶりに2人同時に録りました。

――演奏も同時でしょうか。

川畑 要 全部生演奏ではありますけど、演奏は先に録りました。歌はその後に2人でブースに入ってという流れです。

――前回のインタビューでも同録は珍しいと話していましたよね。2ndアルバム『Second to None』に収録の「月夜」はそうだったと。「13ヶ月」もレアなレコーディングになりましたね。

堂珍嘉邦 そうですね。今回2人で同時録音した方がいいんじゃないかということで、周りから提案されまして。「それならそれで行きます!」という感じで(笑)。

川畑 要 それこそライブ中だったので余計にそういう話になったのかもしれません。

――ワンテイクOK?

川畑 要 いえ、確か2、3回は歌ったよね?

堂珍嘉邦 うん。3回くらいかな。結果良かったと思いますけどね。一人で録っていたら欲が出てきて何回もトライしたくなっちゃうから。

――2人同時で録っているとそういったメリットもあるんですね。ちなみに歌詞の落とし込み方は各々違いますか?

川畑 要 歌詞を読んで曲を聴いて、その中のメロディラインとかを当て込んでいって聴くと、それぞれ伝わり方が変わってくるじゃないですか? 「俺にはこういう気持ちに感じた」というのを感じてから入ります。

――ちなみに「Heaven Only Knows」はどのように受け止めましたか?

川畑 要 「Heaven Only Knows」も「13ヶ月」もテーマ的には似たコンセプトだと思いました。主人公の状況の違いがあって「Heaven Only Knows」は凄く後悔が強くて、その苦しさとか、エモーショナルな感じに捉えました。「13ヶ月」は、自分がやってきた恋愛を振り返って、その中で今思えた相手への想い、素直に感じている温かさが詞や曲にあるなと。

――歌詞の解釈で難しい箇所はありましたか?

川畑 要 わからないところがあった場合は自分なりに解釈せずに作詞した方に聞きますけど、今回僕はなかったです。

堂珍嘉邦 僕は「13ヶ月」という言葉、タイトルです。その理由というのが、1年間は12カ月ですけど、そこから先の余白の1カ月に人の想い、気持ち客観視できる、そういう伸びしろの部分を込めて1年間を「13ヶ月」という風にあえて書いたと松尾さんが仰っていて。

川畑 要 凄い目線だなと思いましたね。

堂珍嘉邦 30歳、40歳になったときにその自覚があるかないかというところからこの話になりました。30歳になったからといってすぐに自分が30歳という意識が芽生えなくて、後になってから馴染んでくるという部分があると思うんです。12ヶ月も、1年暮らして一回りしてみて、「1年経ったんだな」と思ったけど、まだその先の1ヶ月間はまだ想いを引きずっている最中だったり、想いがまだ続いている最中だったり。

川畑 要 こういったフックになるタイトルは好きです。全部わかりやすく伝えることが全てじゃないと思うので。

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