辛い時の駆け込み寺、KIRA 聴く側に向き合うカリスマシンガー
INTERVIEW

辛い時の駆け込み寺、KIRA 聴く側に向き合うカリスマシンガー


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年07月06日

読了時間:約11分

悲しいことを悲しいままで終わらせたくない

KIRA

――「Macaron」とか、可愛いくてポップな雰囲気の曲もありますね。この曲は、ウェディングソングっぽいと思いましたけど。

 結婚してくれないから恋人と別れる、20代女性がめっちゃ増えていると聞いて。「待ったけど、彼氏が結婚してくれないからもういい」って。私にしてみれば、「待つって何?自分から結婚してって言えばいいじゃん!」と思うんです。だから最初は、男に守られるばかりじゃなく、男を支えられるような女になろうという気持ちを込めて、直球のラブソングをと思って作ったんです。でも最終的にはこういう歌詞になったので、結婚式で流してもらったり、披露宴の二次会の時にみんなで歌ってもらえたら嬉しいなって思います。

――レゲエのサウンドと、ハッピー感のある歌詞がぴったりですね。

 100%ポジティブなことでも恥ずかしがらずに言えるのが、レゲエのいいところだと思います。他のジャンルを聴く人からしたら、「それってちょっときれいごとすぎる」と思うこととか、めちゃくちゃ当たり前のことを歌うのがレゲエで。でも自分が傷ついている時こそ、そういう当たり前のことにパワーをもらえたり救われたりするものなんです。

 私はもともとレゲエシンガーというわけではなく、ヒップホップ/R&Bが好きで歌い始めて、ジャパニーズレゲエのみなさんと交流を持つようになったのは、ここ5年くらいです。きっかけとしては、自分が病んでいた時に、あるレゲエの歌い手さんの歌にめちゃめちゃ救われたことがあって。それまでは私も洋楽ばかり聴いていたから、レゲエのストレートな表現にちょっと照れを感じるくらいのマインドだったんですけど、この時ばかりは、リリックがまっすぐ心に入ってきて。それから自分でも、わかりやすいことをわかりやすく伝えてもいいじゃないかと思うようになりました。

――「Macaron」は、レゲエっぽい曲調ですよね。

 レゲエ調のポップス、みたいな感じですね。もともとは10年くらい前にあった曲でめっちゃバラードだったんですけど、それを三木道三さんの「Lifetime Respect」みたいにしたいと思って。それで、編曲の山田竜平さんに話してアレンジしていただきました。

――レゲエはあの独特のリズムや明るさもあって、当たり前のことも素直に歌える魅力がある。逆にR&Bには、どういう魅力を感じていますか?

 洋楽のR&BとジャパニーズR&Bはまったく違うけど…。例えばNe-Yoとか、男性R&Bは失恋とかの女々しい歌が多いという印象で、昔は私も失恋の曲ばかり歌っていました。私はもともと悲しい曲が好きで、歌い始めたのも叫びたいほどの悲しいことがあったからです。涙をこぼす代わりに歌を発信するみたいな感覚です。だからR&Bは、愛や悲しみを歌う音楽というイメージですね。だからこそ好きなのだと思います。でもレゲエに惹かれるようになってからは、悲しいことを悲しいままで終わらせたくないと思うようになりました。悲しみをパワーに替えるみたいな。それが、今の私のモチベーションになっています。

――「Ecstasy」という曲もありますが、KIRAさんが、エクスタシーを感じる瞬間は、やっぱりライブの時ですか?

 そうですね。制作は一人で部屋に籠もってやっていて、しんどいので、その時点ではエクスタシーを感じませんけど(笑)、録り終わって完成した瞬間は感じているかもしれません。ミックスも立ち会わせていただくんですけど、フレーズ1個でもみんなめっちゃこだわって、何時間もかけて出来て。OKとなった瞬間は、やっぱりいちばんの達成感があります。私たちの仕事は、普通のOLさんのように、毎日決まった時間に決まった場所に行って1日を終えて“よっしゃ!”となるみたいなことを、1曲とか1作品とかの長いスパンでやって、それで達成感を味わっている感じかもしれないです。

(おわり)

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