辛い時の駆け込み寺、KIRA 聴く側に向き合うカリスマシンガー
INTERVIEW

辛い時の駆け込み寺、KIRA 聴く側に向き合うカリスマシンガー


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年07月06日

読了時間:約11分

「Honesty」は、2年の経験で私が出した答え

KIRA

――この2年の経験が、歌詞に詰め込まれているアルバム。辛い経験でも身を切って歌ってくれるから、ファンはそこに信頼を寄せてくれるんでしょうね。

 ファンの方からは、辛い時の駆け込み寺じゃないけど、私の歌をそんな風に聴いてくれています。仕事がしんどいときは、私の曲を聴いて癒やされてくれているとも聞きます。だから私自身も曲を書く時には、辛かった経験を単に辛かったと表現するのではなく、「ラッキー★ボーイ」みたいに面白おかしく表現したり、「さよなら」みたいに超悲しく表現したり…自分の経験をどう表現すればみんなに楽しんでもらえるか、すごく考えるようにしています。それを考えることが、私の楽しみでもありますしね。例えば、めっちゃ悲しい歌詞をEDM調のめっちゃ明るい曲調で歌って、それをライブではピアノバージョンで歌って、お客さんが“爆泣き”するみたいな。その時によっていろんな表現方法で聴いてもらうことも、私にとっての音楽の楽しみでもあります。

――お客さんが求めているものと、自分が発信したいと思うことが合致していて。つまり需要と供給が一致しているわけですね。

 それに私は、CDをリリースするためにとか、メジャーデビューするためにオーディションを受けてとか、そういうことをやってきたわけではなくて。もとからクラブシーンという現場で歌うために音楽を始めたので、常に受け取ってくれる人の顔を直接見て歌ってきたんです。だからこうしてメジャーからCDをリリースできるようになっても、お客さんのことを意識して歌うし、聴く側の人がどう受け取ってくれるのかを常に意識しています。みんながどんな風に聴いてくれるのかなって、想像しながら自分の曲を聴くのも楽しいです。

――やっぱり女性ファンが多いですか?

 ほぼ女性で、おじさんが少しいます(笑)。曲を作る時は、女の人相手に偏らないようにしようと思うんですけど、結局は女である自分の経験から曲が生まれるので、やっぱり同性のお客さんのほうが当てはめて聴きやすいと思いますね。男の人でも自分に当てはめて聴いてくれる人もいますけど、ライブではよくMCで「男は耳をふさいでおけ!」とか「女の子は手を挙げて」とか言って、男の人の存在を無視してやっちゃうこともあるので。

――そんな中でもミディアムナンバーの「Honesty」は、メッセージがある歌詞で、ライブで男性も盛り上がれそうですね。

 これはビリー・ジョエルの「オネスティ」を聴いて、自分が感じたことを書いた曲です。自分自身でも、悲しいことがあった時によく聴きます。原曲の歌詞に「誠実さとは何て虚しい言葉なんだ」みたいなフレーズが出てくるんですけど、自分でもそうだなと思うことがあって、それで書きました。

 みんな自分をよく見せようとして必死で、ネットの世界なんか嘘ばかりだし。だけど悲しんでばかりでは、生きて行けないのも事実です。自分も人に見せていない部分があって、それも嘘をついていることになるんじゃないかって。100%何も嘘はありませんって生きている人は一人もいない、そう思わないと生きて行けない…。この曲は女性に限らず、傷ついた人全般に聴いてもらいたいですね。

――世の中に対する怒りはあるけど、怒ってばかりよりも、前を向くことが大事であるということですね。

 人が消えて行ったり、嘘を付かれたり、たくさんしていくうちに、どんどん私自身が絶望していって。それでアルバム制作の最後に作ったのが、この「Honesty」という曲でした。この2年の経験で私が出した答えが、「Honesty」です。あくまでも今の段階での答えですけどね。今後も人と出会ったり経験することで、また変わっていくと思うので。

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