奄美の先輩から意志継ぎたい、城南海 故郷が詰まった新作を語る
INTERVIEW

奄美の先輩から意志継ぎたい、城南海 故郷が詰まった新作を語る


記者:小池直也

撮影:

掲載:18年07月01日

読了時間:約12分

一発録り

城南海(撮影=冨田味我)

――レコーディングはいかがでした?

 「西郷どん紀行〜奄美大島・沖永良部島編〜」はジャズピアニストの山下洋輔さんとのコラボレーションでした。レコーディングは一発録りで本当に1回しかやっていません。「念のためもう1回録ろう」みたいな事もなかったです(笑)。どういう風に録るのかも当日にならないとわからないので、飛び込んでみた感じ。

 リハーサルもなく、お互いにその場で奏でながらのアプローチでレコーディングしました。すごい刺激的で、夢の様な時間。山下さんはすごく優しくて、おっとりしているというか、ゆっくり丁寧に話す様な方でしたね。「君は奄美なの?頑張ってね」みたいな感じで声をかけてくれて。最後は「良いね。これからもっと良くなるよ」と。

――山下さんというと、アヴァンギャルドなイメージもありますが、今作は優しいタッチのピアノが印象的でした。

 私がどう歌っても包み込んでくださる温かさがありました。フルサイズでの間奏は尺を決めていなかったので、終わったところを見計らって私が歌いだしたり。お互いの呼吸で、寄り添いながらという感じで心地よかったですね。

 作曲してくださった富貴晴美さんがメインでディレクションして、周りに『西郷どん』の監督さんをはじめ皆さんがいらっしゃったんですよ。スタジオを出たら「オッケー!」って感じだったので、私も「もう1回やりたい」と言えず(笑)。自分の中に欲があって「もう1回やればもっと良くなる」と思ったので。でも1回だから良いものも絶対ありますし、ジャズでもそういう考えの方が多いじゃないですか。なので「これが良いんだな」と。

――一方で「愛加那」はオーケストラによる豪華なサウンドで。

 オケは事前に録音していたもので、レコーディングは私の歌だけ重ねました。「愛、奏でて」の方は「城さん、三味線弾きながらやってみない?」とその場でお願いされて。そこで歌ったのが収録されたんです。大河の音楽って、同じ曲を色々なアレンジするじゃないですか。大作の音楽ですから、アイディアをその場で出しながらやっているんだろうなというのも感じました。脚本家の中園ミホさんもいらっしゃっていて、皆さんに見守っていただいたのも嬉しかったです。

 本当に今回の大河は富貴さんの色々なチャレンジが表れていると思います。劇中歌に歌詞を入れるという事もあまりなかったでしょうし、シマ唄もたくさん流してくださって。音楽が重要な作品だなというのを感じます。島の文化を大事にしてもらえる事がありがたいですね。

――「愛加那」と「愛、奏でて」は伴奏がオケか三味線か、という違いですが、全然印象が変わりますね。

 「愛、奏でて」は完全に自分の呼吸で演奏しているので、よりダイレクトに伝わる音かなと思います。島で奏でる音楽としては、こちらの方が本来の形なので。このアレンジで録らせてもらったのも良かったです。

――この曲が新しいシマ唄のスタンダードソングになったりも?

 他の方が歌ってくれたら、それはすごく嬉しいです。歌詞が全部島の方言なので、島の方に歌ってほしい。最近のシマ唄はわかりやすく標準語も少し入れつつ、という楽曲が多いんです。それは「新民謡」と呼ばれていて、本来のシマ唄ではないんですよね。昔から歌い継がれている集落の民謡を「シマ唄」という風に呼ぶので。だから「愛、奏でて」も新民謡に入ると思います。

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