ロックバンドのサイダーガールが6月23日、東京・マイナビBLITZ赤坂でワンマンライブ『CIDER LABO Vol.5 -赤坂ノ陣-』をおこなった。

 Yurin(Vocal、Guitar)、知(Guitar)、フジムラ(Bass)の3人からなるサイダーガールは、2014年に結成。同年に行ったファーストライブは即日完売と、結成当初から大きな注目を集めた彼らは、着実にキャリアを積み上げ、2016年には初の全国ツアーを敢行、そして2017年にシングル「エバーグリーン」でメジャーデビューを果たす。以降1枚のオリジナルアルバムと3枚のシングルをリリースしさらなる成長を遂げている。またこの日のライブでは、終了直後にセカンドアルバム『SODA POP FANCLUB 2』のリリース及びそのツアーの実施が発表され、さらなる前進が期待されている。

 この日の会場となったマイナビBLITZ赤坂は、バンドとしても最大規模の会場となる。さらに本公演の続編として7月1日には大阪の梅田バナナホールで『CIDER LABO Vol.6 -大阪ノ陣-』も控えており、両日ともソールドアウトと、注目度の大きさを示している。会場は開場と共に程なく前列から後列まで1300人程の観衆で埋め尽くされ、彼らの登場を待つ熱気で満たされた。

“炭酸系サウンド”がスタートから炸裂

yurin(撮影=山川哲矢)

 スタートから10分が過ぎたころ、暗くなった会場に、不意にノイズ音が洪水のように溢れ出す。そしてその合間にポッと“サイダーガール”と語る声が。これを境に、ノイズはひとつの疾走するリズムとハーモニーに変化した。その音と歓声に導かれ、3人はステージに現れ、彼らのメジャーデビューシングル「エバーグリーン」でステージのスタートを切った。観衆は鳴り響くイントロにワッと大きな歓声を上げ、手拍子にて興奮の気持ちをステージに送る。

 ドライブ感のあるフジムラのベース。その上に乗るきらびやかな知のギター、そして爽やかなYurinのボーカルは、さしずめ“サイダー”の泡と、すっきりとしたのど越しといったところだろうか。その突き抜けるようなテイストを体いっぱいに受け止め、その気持ちを表すかのように観衆は腕を振り上げ、手のひらをステージに向ける。

 キラキラと光り輝く、青春のひと時に抱く思い悩んだ姿。そんな光景が目に浮かぶような「パレット」。さらにリズミカルな「リバーシブル」では、Yurin自身が「お手を拝借!」と観衆の手拍子をリクエスト。そして「ハローミュージック」から続いた「メッセンジャー」では、ハードロックを髣髴する疾走ビートと、そのサウンドのカラーは多彩。だがそのどの曲にも、3人が醸し出す「爽快で、その泡はあっという間に消えてなくなってしまう儚さ、そしてどんな色にも自在に変化していく」“炭酸系サウンド”そのものが表現されており、深く胸に残る印象を観衆一人ひとりに与え続けていく。

多彩なカラーの中に、しっかりと刻まれた独自色

知(撮影=山川哲矢)

 「赤坂!元気過ぎじゃないか? 俺らより元気だぞ!?」少し驚いたようにフジムラが語る。そこには小さなライブハウスからその活動をはじめ、この雄大な景色に“やっとここまで来た”という万感の思いがあったに違いない。曲はグルービーな「グッドモーニング」から6/8リズムの「パズル」、カントリーミュージックを髣髴させるリズムの中に、さまざまなフックを取り入れた「くらし」と、さらにバラエティに富んだ曲調で、観衆の興味をさらに引き出していった。

 中盤、Yurinはポロンとギターを爪弾き「あ〜何にもやりたくないな」とひとつのメロディを歌う。その歌に続く「なまけもの」のルーズに感じさせるシャッフルのリズム。そのあまりにも“サイダーらしくない”音が、会場の雰囲気を一変させ、観衆は改めて彼らの音に、注意深く耳を傾けていく。

 彼らのサウンドは本当に多彩だ。しかもその一つ一つそれぞれには、彼らならではのカラーがしっかりと刻まれている。そのカラフルなステージは、みんなと共に歌声を上げた「ドラマチック」あたりより、いよいよ終盤へ。フジムラのあおりを皮切りに「しょうがないよな」から「オーバードライブ」まで、ほぼノンストップに走りぬけ、クライマックスを迎えた。

フジムラ(撮影=山川哲矢)

 「月並みだけど、本当にありがたく思っています」ここまで来られた道のり、そしてその原動力となったファンやスタッフへの感謝の気持ちを語るYurin。気持ちもそのままに「ラスト」から「最後!赤坂を全部吹き飛ばしていきましょう!」というあおりを観衆に向け、ラストナンバーの「メランコリー」へ。まさに地が揺らいで行くような会場の勢い。バンドも観衆も一体となり、大きなうねりすら感じる空気を醸し出した。さらにアンコールにも応えて、全力投球のステージに満面の笑みを浮かべた3人、そして観衆。この秋リリースされるニューアルバムで彼らは、果たしてどんな“炭酸系サウンド”を聴かせてくれるだろうか? そしてその先やいかに? いずれにしても楽しみな秋になることは間違いないだろう。

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