オムニバス盤の良さを伝えたい

飯田瑞規(撮影=冨田味我)

――今回のスプリットEPの話は、cinema staff側からの発信だったんですね。

飯田瑞規 cinema staffが今年CDデビュー10周年ということもあって、何か新しいことをやりたいなと思ったときに、アルカラと一緒に作品を作ることしか頭の中には浮かばなかった。一緒にスプリットEPを出してますけど、気持ちとしては、共演しながらアルカラからいろいろ盗みたい気持ちが強くて。だから今回、こういう作品を出すことが出来てすごく嬉しいんです。

――お互いにリスペクトしあった形で作りあげた作品ですからね。実際に『undivided E.P.』を聴いてても、互いの関係性がしっかり見えてきます。

稲村太佑 作品が出来るまでにも、その出所や意味が大切で。人間の匂いというか、そこから始まってるものって愛しいというか、愛がある。しかも過去にあったスプリットやV.A.と呼ばれるオムニバス盤の良さをお互いに知っているからこその気持ちというのかな。オムニバス盤って2000円くらいの安い値段で10バンドくらいの曲を一気に聴けて、いろんなバンドを知ることが出来る。そういうことの良さを、今の世代の子らにも伝えたかった。

 今はネットがだいぶ進歩しちゃったんで、オムニバス盤に頼らずとも知れるきっかけが多くなってしまったじゃない。飯くん(めしくん=飯田)も、「昔はV.A.盤が僕らの情報源やった」と言っていたから、その良さを、今の時代へ形にして示したいと思った。逆に言えば、今の世代の子らが作られへんものだし、この時代やったら作らんでいいものなのかなというところへ、cinema staffとアルカラは作るだけの意味や意義を求めていった。

 今回収録した曲たちだって、急にあの曲たちが降ってきたわけじゃなくて、一緒にやる意味を歌ってるし、そう思えるだけの過程がこの2バンドにはあった。だから、今回の『undivided E.P.』が面白い作品になったんですよ。

――確かに昔は、情報源が少なかったからこそ、オムニバス盤は新しいバンドを知るうえで貴重な出会いの機会になっていました。

飯田瑞規 本当にそうなんですよね。オムニバス盤へ収録されているバンドの音源を聞き込んでるうちに、どのバンドも好きになっていく。異なるバンドを好きなお客さんどうしが、違うバンドのことも好きになる。そういう一つのきっかけの場になっていたので。

――スプリットも、昔はよく出ていましたよね。その作品を聴くことで、「この2バンドすごく仲良いんだ」と知れたり、一緒にツアーをまわっている姿に憧れを覚えたり。

稲村太佑 そういう姿に僕らがすごい憧れてたんですよ。それを、今回cinema staffからの発案でやれるのが…その時代の音楽を聴いて育った僕らが、今の時代に相応しい形で出せるのが嬉しいこと。時代のアンチテーゼじゃないですけど、そういうスタイルとして表現出来た形になっているのであれば、とても面白いですよね。

――しかも、単にお互いの楽曲を入れるだけではなく、互いの曲をカバーしたり、コラボ楽曲も制作していますからね。

飯田瑞規 そこなんですよね。互いに音源を聴いたら…僕らで言えばcinema staffの「great escape」をあの形でカバーしていたのには驚いたと言いますか、すっかりアルカラの曲になっていた。それは、僕らがアルカラの曲をカバーした『チクショー』も、そう。お互いのファンが納得できる作品になっていると思います。しかも遊び心いっぱいのEPなんで、何回でも聴けますからね。

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