<エンタメ界の30代 Vol.02>
 変革期を迎えているエンターテインメント業界。テレビ最盛期やミリオンヒットが続出した時代に青春を過ごした30代は今まさに、その最前線で活躍している。その30代は今何を考えているのか、その人の考えや業界の展望を、リレー形式でインタビューする本企画。今回は、動画クリエイター(YouTuber)のマルチチャンネルネットワーク(MCN)であり、クリエイターマネジメント、イベント、ECなどを手掛ける、UUUM(ウーム)株式会社の代表取締役CEO、鎌田和樹氏だ。会社設立のきっかけや今後の展望、社会人としての考えを聞いた。【取材・企画=山本圭介(SunMusic)/文・撮影=木村陽仁】

世界一個人を大切にする会社

 YouTuberと言えば、今では小学生の将来なりたい職業として上位にランクインするほどの人気ぶりだ。なかでも、動画クリエイターは、出演がメインの芸能人に対して、コンテンツの企画や構成、出演から撮影、編集までを一人で担う。その動画クリエイターのマネジメントを中心としたコンテンツカンパニーとして急成長しているのがUUUMだ。

 芸能人のようで芸能人ではない独特の地位を築く動画クリエイターともあって、これまでにはないマネジメントの在り方を追求している。それは一般的な芸能プロダクションとは異なり、キャスティングや出演交渉だけでなく、クリエイターとともにコンテンツを発信していく、マルチチャンネルネットワークという仕組みだ。そして、「共に」という姿勢は、名称にも表れていて、芸能事務所でいうマネージャーを同社では「バディ」と呼ぶ。上下関係のない対等の立場で一緒にコンテンツを作っていきたい、という想いからだ。

 それはHIKAKINとの出会いによって誕生した同社そのものが物語っているともいえ、創業者でありCEOの鎌田氏の言葉「世界一個人をサポートする会社だと思います。僕らはもっと仲間を増やしていきたい」にも滲み出ている。UUUMはどうやって誕生をしたのか。そして鎌田氏はどのような歩みを進めてきたのか。

 YouTuberはアメリカを中心に発展を遂げ、日本でもここ数年人気を集めるようになった。YouTubeから生まれたスターも多く、日本ではHIKAKINなどが有名だ。そのHIKAKINがファウンダー・最高顧問を務めるUUUMは日本では珍しい、YouTuber専属のマネジメントも手掛ける。もっとも、その機能は前述の通り芸能事務所のタレントとは異なり、その名称もクリエイターとされている。そして、そのマネジメント・サポートするチャンネル数は5000にものぼる。

 そのUUUMが誕生したのは5年前の2013年6月、前身となるONSALE株式会社。設立にはHIKAKINが大きく関わっている。携帯電話販売の一次代理店の責任者を務めていた鎌田氏が社員表彰のイベントに呼んだのが、当時、にわかに注目を集めていたYouTuberだった。卓越したボイスパーカッションで参加者を魅了。大盛況のうちに会を終えた。そのYouTuberとは退社後に再び会うことになる。エアロスミスのスティーヴン・タイラーと共演という夢舞台を成し遂げて帰国したHIKAKINだ。YouTuberの可能性を感じていたという鎌田氏だが、HIKAKINとの出会いによって確信に変わる。「彼は既にYouTuberが凄いということを実証していました」。

 会社は当時、YouTuberが商品を紹介して販売する、ネット版テレビ通販を主業務としていた。しかし、物を取り次ぐ販売代理店よりもYouTuberのマネジメントを手掛けた方が良いのではないか、と思い、マネジメント・サポート業務を始める。鎌田氏は当時をこう振り返る。

 「やはり個人には限界があるということを感じました。最初はHIKAKIN宛てにきた企業の仕事依頼や見積もり、請求書を出すというものをやっていました。取引先が媒体だと初回取引申請というのもある。そもそも個人相手では取引そのものが難しかったりもします。取引先からすると個人よりも法人の方が良い。そういう点においても個人では限界がある。そこでそうしたものをサポートするそういう業務をやった方が良いとなった」

 「世界一個人をサポートする会社」の原型はこうして生まれた。

エンタメにまみれた人生、ベースを作った10年

 YouTubeの可能性を早くから感じ、自身をエンタメにまみれて生きていると例える鎌田氏。そもそも彼はどういう人生を歩んできたのか。鎌田氏は1983年生まれ、今年35歳になる。青年期はTBS系『CDTV』やテレビ朝日系『Mステ』、フジテレビ系月9ドラマ『ラブジェネレーション』などを見ていたという。

UUUM代表取締役CEO・鎌田和樹氏

UUUM代表取締役CEO・鎌田和樹氏

 「出せばCDが売れた時代、テレビが一番強かった時代でしたね。CDコンポを買っていましたし、宇多田ヒカルの『Automatic』などを聴いていました。カラオケやゲームセンターにも行ってましたし、漫画は今でも大好きですね」

 そんな彼のビジネンスマンとしてのベースを作り上げたのは、大手通信会社だった。2年で大学を辞めて同社に入社。総務に4年勤め23歳で携帯電話ショップ出店を任せられる。ショップの出店や運営などに携わり、その功績が称えられ、直営70店舗・1500人の社員を抱える一次店の責任者に就任した。その通信会社での経験、特に総務時代に得たノウハウが、現在のクリエイターへのサポート力の礎になっている。その鎌田氏はベンチャー企業への志から28歳で退職する。HIKAKINと再会したのはその1年後だった。

 全くのゼロから生まれたUUUMだが、現在はHIKAKINをはじめ、はじめしゃちょー、木下ゆうかなど名立たるクリエイターが所属する。その理由を鎌田氏は、この5年で築き挙げた「サポートへの圧倒的なノウハウ」と語る。日本におけるMCNの先駆けともいえるUUUMの今を知れば将来が見える。鎌田氏へのインタビューとしてここからは一問一答形式で伝える。

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