今年の9月16日に引退することを発表した安室奈美恵が6月3日、東京ドームで国内5大ドームツアー『namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~』のファイナル公演をおこなった。2月のナゴヤドームからツアーはスタートし、国内全17公演とアジア 6 公演をおこなうというもの。「TRY ME ~私を信じて~」や「Hope」などデビューから現在までのまさにベストヒットと呼ばれる選曲、全30曲を披露。安室はパフォーマンス終了後に集まったファンに向け「最後は笑顔で…みんな元気でね〜!」と言葉を投げかけステージを後にした。【取材=村上順一】

至高のパフォーマンスで魅了

安室奈美恵

 東京ドームには「CAN YOU CELEBRATE?」などのインストが流れるなか、多くの観客が続々と会場に入ってくる。間もなく開演を告げるアナウンスが流れると会場はさらに活気付いた。開演時刻になり会場が暗転すると、歴史を辿る映像、そして、聖火を持った赤と青のLEDスーツを身にまとったランナーが、メインステージ上空に鎮座する聖火台へ向け炎を飛ばし点火させるダイナミックなオープニングから、ステージ上段中央に安室が登場。大歓声が巻き起こるなか45枚目のシングル「Hero」でライブの幕は開けた。多くのパフォーマーが登場しフラッグを大きく振りかざすなか、安室は伸びやかで凛とした歌声を響かせ、序盤からクライマックスのような壮大な空間を作り上げた。

 フラッグを持ったパフォーマーのフォーメーションが流れるように変わっていくなか、中央で力強い歌声を響かせた「Hide & Seek」、しなやかな動きからスクエアな動きまでメリハリをつけたダンスで魅了した「Mint」と観客もエキサイティング。映像を挟み、ピンクのガーリーな衣装にチェンジし披露したのは「Baby Don't Cry」から、エンディングで見せた笑顔が印象的だった「GIRL TALK」、そして、ステージにアーバンな街並みが登場し、LEDで輝くビル群に囲まれるなかで「NEW LOOK」や「WHAT A FEELING」をパフォーマンスし視覚でも楽しませる。

 女性ダンサーたちのソロパフォーマンスを挟み、躍動するビートが心躍らせるナンバー「Showtime」へ。スパンコールが眩しく輝く衣装にチェンジし、アクティブなダンスで魅了。続いて、センターステージで羽が舞い上がるなか丁寧に「Just You and I」を包容力豊かに届け、再び躍動するリズムの「Break It」に流れ込むという緩急をつけた展開。そして、イントロが流れると歓声が起こった「Say the word」では間奏のクールなダンスにも、さらに大きな歓声が沸いていた。

「Love Story」ではエモーショナルに歌い上げ、エンディングでは笑顔で少し照れ臭そうに手を振る安室。ここから懐かしいナンバーのオンパレード。その火蓋を切った「SWEET 19 BLUES」では、胸に手を当て思い出を噛み締めるかのように歌う姿が印象的だった。

 そして、向日葵をイメージさせるような鮮やかなイエローの衣装にチェンジし、テンションのギアを上げた「TRY ME ~私を信じて~」、「太陽のSEASON」とユーロビートナンバーで席巻。続いて、観客も腕をワイパーのように左右に振り一体感溢れる空間を作り出した。「You’re my sunshine」では観客の<Yo!>の掛け声もバッチリ一体感を作り出していた。スクリーンに1997年と2012年のドーム公演の映像が映し出され、髪をかきあげる仕草などリンクさせパフォーマンスした「a walk in the park」では、過去と現在の安室自身との共演に会場から歓声が沸き上がった。

 「Don't wanna cry」に続き、光が水のように流れて行く幻想的な映像がスクリーンに映し出されるなか届けられた「NEVER END」。歌詞にもあるように<Fantasy 夢を見る>まさにそんな夢を見ているかのような空間を作り上げ、観客を扇情させた。その観客もシンガロングでステージ上の安室に届ける。そのシンガロングを浴びながら歌い、ライブならではの臨場感が詰まったステージだった。

笑顔でみんな元気でね!

安室奈美恵

 「NEVER END」の余韻を残しながらライブは後半戦へ。純白のドレスに身を包んだ安室が届けたのは「CAN YOU CELEBRATE?」。20年以上がたった今でも結婚式の定番ナンバーとして君臨する楽曲は、全くと言って良いほど色褪せず、むしろ月日を重ねより強く輝き放っていた。

 ライブは刻々と終わりへと近づいていく。この曲で安室を知った人も多いであろうヒットナンバー「Body Feels EXIT」、ラテンのグルーヴが高揚させた「Chase the Chance」では、ヒールのブーツでステージの端から端まで全力疾走で観客を沸かせた。男性ダンサーのパフォーマンスから、真っ赤に燃え盛る炎の映像のなか愛することへの強い信念を歌う「Fighter」、レーザーが縦横無尽にドームを照らすなか、決意と覚悟にも似たアグレッシブな歌を響かせた「In Two」、そして、安室の勇ましく掲げた腕が観客の感情を昂ぶらせた「Do It For Love」を投下。ステージ下から“THANK YOU I (ハートマーク) FAN!”のLEDメッセージもせり上がり、力強い歌声とともに本編を終了した。

 人気アニメ『ONE PIECE』のルフィ率いる麦わら海賊団から安室へエールが送られるスペシャル映像から同アニメオープニング主題歌の「Hope」でアンコールの幕は開けた。1番のサビで天井に浮かんでいた巨大なバルーンから、大量の色とりどりのバルーンがフロアに落下。降り注ぐバルーンの中で未来への希望を込めた力強い歌声を響かせた。

 そして、全てを包み込むようなエモーショナルな歌を聴かせた「Finally」では観客は静かにその歌声に耳を傾けていた。ラストはこの25年間を振り返るような映像が流れる中、「How do you feel now?」を披露。ポジティブで多幸感あふれるパフォーマンスで締めくくった。

 そして、ダンサーひとり一人とハグをする安室の目には涙を浮かんでいた。一人ステージに残った安室は「9月16日以降、私がこうしてステージに立つことはありません。私の中でこの25年間が大切な思い出になりました。こんな私にステキな25年間の思い出を作って下さったファンの皆さん、サポートして下さった全ての皆様に心から感謝しています。ありがとうございました」とファンやスタッフに感謝を伝え、涙を浮かべながら深々とお辞儀。

 さらに続けて、「“イチ”音楽ファンとして皆さんの素晴らしい毎日の中に、素晴らしい音楽が常に溢れているよう心からそう願っています。これからも素敵な音楽に沢山沢山是非出会って下さい。25年間ありがとうございました。最後は笑顔で…みんな元気でね〜!バイバイ〜!」と感傷的だけではない笑顔に満ちた安室らしさで4カ月間続いたドームツアーの幕は閉じた。安室奈美恵という一時代を作り上げた歌姫の生き様が存分に表れたステージだった。