音楽を趣味に持つ、ピースの又吉直樹がMCを務める、BSスカパーの番組『スズコウ★ナイト2』が6月11日・25日の2回に渡って放送される。ミュージシャンをゲストに酒を嗜みながらトークする番組。初回放送が好評を得て第二弾の放送が決まった。その番組収録が5月某日、東京・蒲田の居酒屋「スズゴウ」であった。今回のゲストは、真心ブラザーズのYO-KING、サニーデイ・サービスの曽我部恵一、MOROHA。ロック界を牽引してきたYO-KINGと曽我部に対し、ヒップホップを新たな切り口で魅せるMOROHAという組み合わせ。話題は制作過程などの裏話にも渡り、貴重なひと時となった。【取材=木村陽仁】

談笑する又吉直樹、MOROHAのアフロとUK

 番組のMCを務めるのは又吉直樹。『火花』(文藝春秋)で芥川賞受賞歴を持つ小説家。趣味は読書というのは知られているが、音楽鑑賞もそのうちの一つにある。保有するCDの枚数は2800枚以上だという。真心ブラザーズや曽我部の音楽は昔から愛聴。公私ともに仲が良いそうで、真心のステージにも出演したほど。そうした気心知れた仲でのトークとなった。

 午後6時過ぎに始まった番組収録は午後10時半までおこなわれた。その間、鳥やいわしなどの旬な食材を肴に、音楽や思い出話に華を咲かせた。アットホームな雰囲気が漂う座敷ともあって、まったりとした空気感のなかでトークが進んだ。グラスを乾かせば、酒を注ぎ、目の前にある料理をつつく。ちなみにスタッフや記者にもいわしの刺身などが振る舞われたが、身はぷりっぷり。そんな食材に舌鼓を打てば酒も進む。酒も進めばトークも進む、といった具合だった。

弾き語りするYO-KING

弾き語りするYO-KING

 その内容は、音楽を志すきかっけや影響を受けたアーティスト、歌詞はどのように書いているのか、最近ハマっていること、あの楽曲の誕生秘話、互いの印象などなど。YO-KINGも収録後の取材で「50年後には資料的な価値になると思います」と語ったほど普段明かされない貴重な話が満載だった。また、トークの合間にはゲスト3組による生歌も披露された。

 このなかで「革命」を歌ったMOROHA。アコギのリフの上で、噺家のような語り口でラップを展開するスタイルは、聴く者の心に歌詞がダイレクトに響く。控室でもモニターで見ていたスタッフが「心に刺さる」「家だったら泣いていた」と絶賛していたほどだ。DJがいないのも特長で、その独自性から過去に賞を与えるなどその才能を見込んでいた曽我部は「彼らは頑張ってますよ。気迫が伝わってくる。もっともっとというのが伝わってくる」と歌から滲み出る気迫も魅力のひとつであると語った。

 YO-KINGは「絶対に、俺にはできない音楽。尊敬する。見たことがないスタイルで圧倒的な表現方法だね。初めて見る人へのインパクトが凄い」と絶賛した。

弾き語りする曽我部恵一

弾き語りする曽我部恵一

 そのYO-KINGは、オルタナティブロックやグランジロックをいち早く日本語ロックで表現してみせるなど先駆者でもある。そんな彼も90年代にヒップホップを取り入れた音楽に挑戦したようだが「どうしても歌のキーに乗っちゃう。バンドのなかで収まってしまう。だから『KING OF ROCK』(1995年発売、真心ブラザーズのアルバム)はラップ風を諦めてレッチリ風にした」と語った。曽我部もラップを好み、自身の音楽で試みたことはあるものの「どうしても歌の範疇になる。歌から始まるとどうしてもメロディがどっかに入ってしまう。ラップからの人はそういうのがない」とその違いを明かした。

 また、真心ブラザーズが2001年にリリースした「人間はもう終わりだ!」。その曲を絶賛する曽我部は、<俺は暴力が怖くて眠れねえ>という歌詞を挙げて「ぴったりはまっている。全てが良い。音数も少なくて」と称えた。更に、真心ブラザーズの名曲「拝啓、ジョンレノン」の誕生秘話も公開。「あれは若気の至り。(ジョンレノン)聖人君子であることが嫌で」と明かした。

熱演するMOROHA

 歌詞作りについても話題はおよんだ。一般的な歌は歌詞が短文だが、ラップは長文が多い。そのため、それぞれやり方は異なるようで、曽我部は「ロックバンドは後に歌詞を乗せることが多い」とも。YO-KINGは「どうしても言葉が出来た瞬間、言葉のイントネーションに拡張されてしまう」とメロディと言葉の関係性を説き、更に「数学の世界で言えばメロディのパターンは大体決まっている」とし、曽我部も「その組み合わせ」と貴重な話も披露した。

 また、MOROHAのアフロ(MC)はいつでもラップバトルが出来るように言葉を用意しているといい「ディスらないでやるのもスキルの一つ。しかし、自分のなかの悪意や憎悪がそのまま出る時がある」との悩みも明かした。そのMOROHAは、この日曽我部が披露した「キラキラ!」を聞いて「音楽は凄い。叱ってくれる」としみじみ。一方のUK(Gt)はX JAPANのHIDEさんに憧れていたとか。

談笑のもよう

 生歌では、影響を受けた吉田拓郎の「野の仏」を弾き語ったYO-KINGに対して、曽我部は大好きだったという尾崎豊の「I LOVE YOU」と大瀧詠一の「それはぼくじゃないよ」をカバー。それぞれオリジナル曲も歌った。そのほか、又吉の青春秘話なども語られた。

 実際の放送ではどの部分が使われるか不明だが、トークにしかり、この距離での生歌にしかり、普段見られない貴重な内容となった。なお、収録後には記者による取材にも応じた。その内容は次のページで。

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