シンガーソングライターのmajikoが12日、東京・新宿LOFTで、ライブイベント『majiko presents acoustic live「ハツナツ夢物語 〜救世主、現ル〜」』をおこなった。このライブは彼女の最新ミニアルバム『AUBE』でも楽曲を提供している荒井岳史(the band apart)、ホリエアツシ(ストレイテナー)の両名を“救世主”として迎えた企画。荒井、ホリエ両名のパフォーマンスはもちろん、その2人が「然るべき所に然るべきタイミングで響いて頂きたい歌声」と評するmajikoの声も炸裂した。豪華なコラボレーションはパフォーマンスだけでなく、曲間の上機嫌なMCにも及び、2人の救世主によってmajikoのポテンシャルがさらに引き出されていた。全てがプレミアムだった、この夜のライブの模様を以下に伝える。【取材=小池直也】

荒井岳史

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

 この日1番手に登場したのは荒井岳史。3拍子系の「次の朝」から演奏をスタートした。コミカルなMCからも人柄が伝わってくる。そして「名前」「TMKN」と並べた。ソロ名義でのステージはthe band apartとはまた違う雰囲気だ。

 さらに大学の教授がかけた曲で15年後にタイトルが判明したという、沢知恵の「こころ」、ジョンメイヤーの「Stop This Train」の日本語カバーと多彩な選曲でも観客を魅了。「20年やってきたからこういう出会いがある」とmajikoについて語り、「希望」と全6曲を披露した。

ホリエアツシ

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

 第2奏者はホリエアツシ。ELLEGARDENの活動再開のニュースを受けて、彼らもカバーしたthe pillowsの「Funny Bunny」から歌い始めた。堅めなギターの音と、綺麗な裏声が響く。その後もRADIOHEADのカバー、自身のソロプロジェクトであるentの楽曲と並べた。

 MCでは、共に結成20周年を迎えるストレイテナーとthe band apartについて言及。「初めての対バンがロフトだった」と思い出話に花が咲く。続いて森山直太朗の「どこもかしこも駐車場」、チェッカーズの「Room」とユニークなカバー曲を続けてから、最後は「Boy Friend」を演奏した。

majiko

 いよいよ今夜の主役、majikoが登場。赤い衣装に大きな眼鏡がチャーミングだ。「こんばんは。majikoです。最後まで楽しんでいってくださいな」と話し、挨拶代わりの1投目は「morrow」。座りながらハンドマイクでの歌唱だが、声が心に刺さる。

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

 続く「アガルタの迷い子」でもナチュラルにファルセットと地声を往復。サポートギターの木下哲もサンバのフィーリングを1人で出すテクニシャンだ。MCでmajikoは先行した荒井とホリエを「とても素敵でした」と絶賛し、「ファンの一人として、同じステージに立てることを光栄に思います」と重ねる。

 ギターのリズミカルな伴奏に歌が乗り込む「ノクチルカの夜」に続いては、「私と皆様の息苦しさを次の歌がすくってくれるでしょう」と前置きして、ストレイテナーの「冬の太陽」をカバー。声に羽が生えたかの様な自由な歌を聴かせる。オーディエンスも見惚れていた。続く「Avenir」では堂々とした英詩を披露。ギターのベースラインも的確だった。

 「ここで救世主の2人が書いてくださった曲をやっていきたいと思うのですが」。majikoのこの言葉にフロアから歓声が。期待値を上げて、まず演奏したのは荒井作曲の「きっと忘れない」から。majikoによれば「荒井さんの曲は歌っていると元気になります。優しさが滲み出ている」だそうだ。そしてホリエの筆による「アマデウス」へ。クールなフレーズに続いて「アマデウス、ほ!」とおどけるmajikoがキュート。透き通る様な声を聴かせていた。

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

 ここで荒井が呼び込まれる。軽妙な荒井のトークが炸裂し、少したじたじなmajikoが微笑ましい。そしてthe band apartの「夜の向こうへ」をセッション。先ほどまでの緊張はどこへやらと感じるパフォーマンスだ。サビで溶け合う2人の声。荒井が隣にいる安心感からだろうか、majikoの歌う姿からは安心が感じられた。「然るべき所に然るべきタイミングで響いて頂きたい歌声だな、とホリエ君と話していました」と荒井が語ってから、もう1曲「Learn to Fly」。

 荒井と入れ替わる様にして、ホリエがステージに。荒井のハイテンションとはまた異質の上機嫌さで饒舌が止まらない。楽しそうな2人のトークを終えて、ホリエのピアノの音に乗せて「AM」が奏でられた。majikoの声が際立つ演奏。さらにmajikoが初めてドラムでカバーした曲だというストレイテナーの「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」も披露された。声のハーモニーが美しい。

 エンディング後にホリエがステージを去る。majikoは「僭越ながら私が残りましたが、最後まで楽しんでいってくださいね」とMCして、この夜最後の曲「声」へ。ゆったりと歌ってから、テンポを上げていく。荒井とホリエにリードしてもらった後の演奏という事もあってか、今日一番ポジティブなパフォーマンスだった。

 「ありがとうございました!」と感謝をオーディンスに表し、ギターとタイミングを合わせて曲が終わる。大きな拍手に見守られmajikoは退場した。タイトル通り、この夜は2人の救世主の力を借りたプレミアムなものとなった。

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