音楽的にどう表現するか

寺井尚子(撮影=冨田味我)

――今作ではジャズというジャンルに縛られない選曲となったわけですが、どのような経緯で進められたのでしょうか。

 前作のリリースが、ジャズがレコーディングされて100年という年で、全曲をジャズのスタンダードナンバーで構成しました。今年は、私のプロデビュー30年、CDデビュー20年というアニバーサリーということで、音楽のスタンダードナンバー、映画やポップスから幅広く選曲しました。皆さんがよく知っている曲というのをコンセプトに制作しました。

 例えばその映画を観たことがなかったとしても楽曲は知っているという存在感のある曲です。今回はジャズピアニストの北島直樹さんと共同でプロデュースしたので、2人で相談しながら決めていって。沢山の候補曲がありましたけど、現在表現したいことを考えて、今回の曲たちが残りました。

――今作で一番こだわったところはどこでしたか?

 ポップスとか皆さんがよく知っている曲ということと、インストだけはなく歌の曲だったりイージーリスニングっぽくならないようにと考えました。音楽的にどう表現するかという品質に時間を掛けました。どういったテンポやリズム、アプローチで演奏するのかというところです。

――それは、北島さんが提示されるのでしょうか。

 曲によってまちまちで私も提示しますし、両方ですね。そこから先の肉付けは私の役目になります。テンポ感やアプローチが決まったところでより良くするために、さらに細かいところを調整していきます。クラシックとは違いジャズの楽譜には細かい表記はないので、ここは歌うようにとか、歯切れよくなど演出していきます。

――お話を聞いているだけでもすごく大変そうです。今作のように多くの人が知っている曲となると楽曲自体に強いイメージがありますし…。

 そうなんです。そのイメージを壊さずに、納得のいく作品にしなければいけないので、オリジナルの匂いも組みつつ、今の時代の香りを乗せていきます。私達が演奏している曲にしなければならないので。

――ちなみに前作『The STANDARD』はリスナーの反応はいかがでしたか。

 嬉しいことに、とても多くの人に聴いて頂いていて好評でした。

――出来上がった反応も気にされながら制作されたりしますか。

 そこはあまり考えていないかもしれません。とにかく作っている時はその作品が最良のものとなるようにベストを尽くします。そのあとは曲が一人歩きしていく感じですから。聴く人が自由な解釈で楽しんで頂ければと思います。

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