シンガーソングライターの半崎美子が6日、東京国際フォーラム ホールCで全国ツアー『「明日への序奏」コンサートツアー 2018 ~摘みたて!感謝の山菜彩り弁当~』のファイナル公演をおこなった。2ndシングル「明日への序奏」を引っさげ、4月21日の北海道・Zepp Sapporoを皮切りに、大阪、名古屋、東京の4公演をまわるツアー。この日は、“山菜バンド”をサポートに、新曲「明日を拓こう」などアンコールを含め全18曲を、透明感と温もり溢れる歌声を響かせ届けた。なお、11月4日には、恒例ともなった秋の単独コンサート『半﨑美子コンサート〜2018 秋』を国際フォーラム ホールAでおこなう。(取材=村上順一)

自分の歌が自分より長生きする

半崎美子(撮影=Ichiro Kawashima)

 ステージ前には紗幕が掛けられていた。穏やかなBGMは、時がゆっくりと進んでいくような感覚。開演時刻が近づくと半崎自身による影アナウンスがコンサートの幕開けを告げた。列車の映像が透過スクリーンに映し出され、チェロの雄大な低音に導かれるように半崎がステージに登場。「空の青」でツアーファイナルの幕は開けた。透過スクリーンの映像と一体となった歌唱。その伸びやかな歌声に魅了されていく。

 「夏の夢」では、照明が星空のように輝く光景がステージ後方に広がった。その星の瞬きに包み込まれるなか、観客に語りかけるように歌う半崎の姿が印象的。歌唱を終え客席の照明が点くと、目の前に広がる多くの観客を見て驚きの声を上げる半崎。「私の歴史と皆さんの歴史が交わった。今回のテーマは土の中から出て来た1年の彩り」と話した。

 役割が変わってもそこにあり続ける不変の愛を歌ったという「ぼくはぞうきん」。アニメーションと連動した半崎の歌は、さらに感情豊かに響く。続いて「深層」、「種」としっとりとしたバラードナンバーを披露。アコーディオンとストリングス、温もりのある照明が歌をさらに際立たせ、言葉を噛み締めながらの迫真の歌声は観客を扇情させていく。「稲穂」では、金色の稲穂の映像をバックに披露。管楽器も加わりサウンドにも彩り。そのなかで挿入される「アメイジング・グレイス」は、半崎の壮大な歌声がホールに響き渡る。

 ここで「自分の歌が自分より長生きするというのを夢見ていて、歌い継がれることを願っていました。メジャーにきて歌ってもらえる喜びを知りました」と話し、「明日へ奏でる!合唱プロジェクト」の募集から選ばれたひまわりコーラスのメンバーがステージに登場。彼女たちが歌っているその姿に感極まり涙したと半崎。合唱団もキッチン道具を手に、それをパーカッションとしリズムを奏で、「お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙~」をコラボレーション。ほっこりとした楽曲は、聴く人たちの心を癒してくれる空間。コーラス隊の歌声によって、この楽曲に新たな彩りを添えてくれていた。実はこのコーラス隊に混じって半崎の母も参加していたと最後に明かしてくれた。

 両親への想いを綴った「永遠の絆」。この会場のどこかで見ている両親への手紙を読むかのように歌い上げ、そして、新曲「明日を拓こう」を東京スペシャルバージョンで披露。山菜バンドと共に、北海道の雄大な大地を連想させるような力強い歌声を響かせる。「会場で受け取るものが大きくて、発信よりも受信がたくさんできました。どんどんパワーを吸収してエネルギッシュになっていく日々でとても幸せでした」とツアーを振り返る。ここで半崎がキーボードを使用し弾き語りで「母へ」を届ける。敬愛する母へ向け、他の曲たちと違った感情が垣間見れる歌を丁寧に届け、一旦ステージを後にする半崎。

武部聡志氏と「明日への序奏」を披露

半崎美子(撮影=Ichiro Kawashima)

 ここで、沖縄に住む姉の朝子さん家族の映像を挟み後半へ。ワンマンでは恒例となっている朝子さんの出演も今回はサトウキビの収穫のため、会場に来られない旨をVTR中に説明。アコーディオンの演奏に合わせ、「愛の山菜歌」を歌いながら半崎が登場。入場の際に配られた旗をみんなで振りながら歌っていると、サトウキビの収穫をやめて上京してきたと、朝子さんとタケノコの着ぐるみを着用した息子さんが登場し、会場を大いに盛り上げた。歌だけではないライブならではの演出も半崎のステージの魅力の一つで、会場は多幸感に包まれていた。

 半崎のホイッスルを合図に「天国三丁目」。ラテンのナンバーで観客も手拍子で盛り上がった。メンバー紹介をはさみ、躍動感溢れるリズムに乗って常夏の空気感を醸し出し、お客さんが驚かないようにと異例の事前報告もあったキャノン砲による銀テープも盛大に舞い上がった。そして、不協和音のイントロダクションから一転して「灰汁を出し切って下さい」と軽快なリズムがハッピーな世界観を作りだした「灰汁」。ラストサビ前には「この山菜が目に入らぬか」とおなじみのダジャレで盛り上げる半崎。

 ここでスペシャルゲストの音楽プロデューサー・武部聡志氏がステージに登場。半崎の歌声を聴いて「僕が求めている音楽がここにあると思った」と武部氏。その武部氏のピアノ伴奏で「明日への序奏」を届けた。ステージ後方にはオーロラのように輝くカーテン。羽ばたくような伸び伸びとした歌声に、寄り添うようなピアノの音色。観客はその至高とも言える音の波に静かに耳を傾け、深く音の中へ。

 続いて、「心の中に生きる大切な人へ」と告げ、メジャーデビュー曲「サクラ~卒業できなかった君へ~」を歌唱。演奏とリンクした桜の映像。感情を揺さぶりかける歌は、この1年間の集大成ともいえるような歌を聴かせてくれた。ここまでの活動に「犠牲と呼べるものは何もなかった」と、土の中から顔を出して1年、最後に歌おうと思った楽曲「鮮やかな前途」。デビューが決まった時に書かれたこの曲は、このメジャーでの1年間を予言していたかのような曲だと話す。

 「土の外には色鮮やかな世界が広がっていました。出会うべくして出会った人たちがいます」。

 「『鮮やかな前途』は未来を照らす歌だと思っていましたが、この1年間を色鮮やかに輝いたのはここまでの道程です。支えてくれた皆さんが私の17年間を色鮮やかにしてくれました」と綴り、希望に満ちた楽曲で本編を締めくくった。

 アンコールに応え、再びステージに半崎が登場。ショッピングモールで出会った家族に向け書かれた楽曲「明日へ向かう人」。「人の傷というものは誰かの傷を治癒する力がある」と歌いながら感じたと話す半崎。歌の持つ力を感じることができるこの1曲は、前に進んでいく諦めない力強さをキーボードの櫻田泰哲と2人で届けた。

 半崎は「メジャーに行っていなかったとしても、これまで通り歌い続けていたと思います。音楽活動を環境の良し悪しで歌を放り出したいと思ったことなどない。私にとって歌は生きる根源でした。苦難を乗り越えた先に残る気持ちは感謝の気持ち。私にも感謝の根っこがどんどん伸びていきました。その深く伸びた根っこから新たな花を咲かせたいと思います」と告げラストは「感謝の根」をフルバンド演奏で届ける。観客のスタンディングオベーションに涙する半崎。ステージから見えなくなるギリギリまで手を振り感謝を伝えるなか、ツアー『「明日への序奏」コンサートツアー 2018 ~摘みたて!感謝の山菜彩り弁当~』は幕を閉じた。

 ライブには半崎の歌へ掛ける想いと、この1年間を支えてくれた人たちへの感謝が溢れていた。アンコールを歌い終わった後のスタンディングオベーションがこの1年間の活動とこの日のステージ全てを讃えているように見えた。きっと半崎もこのライブで得た感情を胸に新たな楽曲たちを生み出していくことだろう。

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