シンガーソングライターの傳田真央が5月2日、東京・渋谷 duo music exchangeでワンマンツアー『傳田真央 Eternal Voice Tour 2018 ~Premium Final in TOKYO~』のファイナル公演をおこなった。ツアーは3月にリリースされたベストアルバム『Eternal Best 2000-2018』を引っさげ4月22日の大阪を皮切りに、長野、東京の3カ所を回るというもの。この日を持って無期限の活動休止に入る傳田真央。ツアータイトルはデビューアルバムからつけられたもの。この18年間の集大成とも言える内容でMAO/d時代やロックバンド時代のナンバー含め全20曲を歌唱。多くのオーディエンスを魅了したライブの模様を以下にレポートする。(取材=村上順一)

歌はタイムマシンのよう

傳田真央

 外には雨が降り始め、会場には約500人のオーディエンスでフロアは埋め尽くされていた。開演時刻になると会場は暗転、ピンクの衣装に身を包んだ傳田がステージに登場し、まずは1人でデビューシングル「耳もとにいるよ…~Ring the bells~」でライブの幕は開けた。凛とし透き通ったファルセットが優しく会場を包み込み、笑顔で丁寧に歌い上げた。続いてダンサー2人が参加し「そして目が覚めたら・・・~3Little Nights~」と「抱き寄せたDestiny ~Dream of Asia~」を歌とアクティブな動きも交えて表現し会場を沸かせた。

 ここからはサポートメンバー4人を迎え、生バンドによる演奏で届ける。臨場感たっぷりの演奏に乗って躍動感のある歌声を聴かせてくれた「晴れ時々雨」、さらに「1曲1曲みんなに届くように18年間の想いをたっぷり込めて届けたい」と話し、「泣きたくなるけど」を情景を映し出すような表現力で紡ぎ歌い、さらにMAO/d時代の「VERY LOVE -0.5℃」とレアな楽曲も披露しオーディエンスを魅了していった。

 「ベストは卒業文集を引っ張り出して来た気分。歌はタイムマシンのようで不思議で素敵だなと思いました」と初のベスト盤で感じた想いを話す傳田。続いては、「この曲に私自身何度も背中を押されて来たし、皆さんにとってもそんな曲になればいいな」そんな想いを1曲のバラードにしたと話す「Happy Ever After」。情感豊かにそのエナジーに満ちた歌声は、聴くものの感情を揺さぶりかける。言葉をかみしめるように歌い上げる姿が印象的であった。

 続いて、アコースティックコーナーへ。椅子に座り、まずは友森昭一(Gt)と2人で「SOME ONE 2 LOVE」を披露。シンプルな編成はより歌の輪郭も艶やかに吐息までもが聴こえて来そうな空間。言葉もさらに鋭さを増し耳に届けられる。歌人・寺山修司氏にインスパイアされ、ピアノの石田まり(pf)と届けた「一番好きな人」、「好きって言わない」では我々の感情の扉を開いてくれるような、叙情的な旋律を聴かせてくれた。

 さらに、傳田がエレキギターを抱え披露されたのはバンド時代のナンバー「Like a Rockstar」。洗練されたワイルドさを見せクールな演奏で楽しませた。続いて、情緒やわびさびを感じさせた「愛逢い傘」では、言葉をより伝えるための表現力の豊かさを堪能。エモーショナルな歌はオーディエンスを扇情させていく。

今までで一番忘れられないライブに

傳田真央

 そして、情熱的なナンバー「Masquerade」では傳田のパワフルなシャウトも響き渡った。傳田も「もう一回やる?」と話すほど、存分にこのステージ、音楽を楽しんでいる姿がそこにはあった。「みんなが丁寧にパワーを送ってくれるのがわかって、それを浴びながら歌って来ました。素晴らしいオーディエンスの皆さんのおかげで、一番忘れられないライブになりました」と述べた。

 さらに「ベスト盤の中にも当時の温かいサウンドが切り取られた曲がたくさん入っているので、みんなの思い出やこれからのストーリーも重ね合わせて育てていってもらえたら嬉しい」と思いを告げた。「人生の中で傳田真央に出会ってくれて、この会場に来てくれている皆さん一人ひとりにこの曲を歌わせてください」と、大切な人への感謝の気持を込めた「Breathe In Love」、代表曲のひとつ「Bitter Sweet」で本編を終了した。

 鳴り止まないアンコールを求める声。衣装をTシャツに着替えた傳田は、キーボードの前に座り、今度は弾き語りで「泣きたくなるけど」を届けた。歌に寄り添うようなピアノ演奏と、その上で紡ぐ歌声はまたこの楽曲の新たな一面を見せてくれた。

 そして、友森と石田を招き「それぞれの人生を輝かせてまた会おうね」というメッセージが込められた、ベストアルバムに収録された新曲「Best Friend Forever」を、親愛なるファンへ向け、一人ひとりに語りかけるように丁寧に歌いげていく。彼女からのメッセージを受け止めるように五感をフルに使い聴き入るオーディエンスの姿がそこにはあった。歌手としてのキャリアがスタートするきっかけとなった楽曲「あなたとふたりで~Be with me all day long~」では、メロディと言葉がそれ以上になっていく瞬間を感じさせ、ラストのロングトーンも圧巻の存在感を残し、ステージを後にした。

 彼女を求める手拍子と声はまだ鳴り止まない...。バンドメンバーがステージに再び登場すると、傳田もステージに。この日、1曲目に届けられた「耳もとにいるよ…~Ring the bells~」を今度は生演奏で再び歌唱。「みんな一緒に歌って!」とありったけのパフォーマンスで会場がひとつになり、この18年間の全てがこの場所に集約されているような愛に満ち、まさにツアータイトルのごとく“永遠”を感じさせたツアーは名残惜しい雰囲気のなか幕を閉じた。

 「このライブの後はスケジュールは白紙なんです。でもいつかは皆んなの前に帰ってくるね」と話していたように、さらに成熟した彼女の歌声を聴ける日を待ち続けたい。

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