昨年5月から約1年をかけて開催してきた、5人組アイドルグループ・妄想キャリブレーションによる全国ツアー『妄想キャリブレーション47都道府県ツアー 大声出そうぜ。MOSO MAX』の東京公演が15日、東京・TSUTAYA O-EASTでおこなわれた。最新アルバム『妄想道中膝栗氣』収録曲を中心に、DJプレイ、カラオケコーナー、雨宮伊織のピアノ演奏などてんこ盛りの内容で、今持てるすべての魅力を余すことなく出し切り、完全ブレイク目前といった爆発寸前のパワーを見せつけた。【取材=榑林史章】

インディーズ時代の楽曲も多数披露

 序盤は、1曲目「旅は君連れ世は情け」から「Bang Bang No.1」まで、アルバムの曲順通りに一気に披露した。「旅は君連れ世は情け」は、<よっしゃいくぞー!>とファンのコールとかけ声で、メンバーの歌声が掻き消されてしまうほどの熱気。長いツアーの珍道中をほうふつとさせるコミカルな動きで、ステージを所狭しと駆け回るメンバーにファンの声が止まらない。

東京公演のもよう

東京公演のもよう

 2曲目の「Hey Yo!」は、熱いメタルサウンドにチャレンジした楽曲で、激しく体を揺らす振付に客席のノリもさらに加速。ファンも一緒に<Hey Yo!>と声を上げて、ステージと客席がまさしく一つになった。メンバーはステージ最前に並んで拳を振り上げながら歌い、客席に向かってキックをする振付でも魅せた。

 中盤には、ClariSのカバー曲「irony」、「桜色ダイアリー」「青春プロローグ」といったアニソンゾーンでも魅せた。ファンは手拍子しながら一緒に歌い、メンバーも切なさの感じられる振付を披露して、会場に爽やかな風を吹かせた。

 また、「まじでもういや」を歌う際には、トーク中にメンバーが次々と寝てしまい、胡桃沢が「まじでもういや〜!」と叫んで曲に突入するという、ちょっとしたお芝居的なノリの導入で盛り上げた。さらに「悲しみキャリブレーション」、「忘れられないクロニクル」、「YOUをちぇっくします!」といったインディーズ時代の楽曲も多数披露し、2013年の結成当時から現在までを支える古参ファンには特にうれしい楽曲でも、会場が一体になった。

 東京凱旋ライブということで、この日限りの特別なメニューも盛りだくさんでファンを楽しませた。まずライブのスタート前には、DJドリチャイa.k.a 水城夢子が登場し、ヘッドフォンをかけてつまみを回しながら、洋楽のR&Bやダンスナンバーを次々とかけて盛り上げたのは実に格好良くて新鮮だった。

 それに続くオープニングでは、メンバー5人がSEに合わせて順番にソロダンスを披露したのも、この日だけの特別な演出。前からオープニングで踊りたいと提案していたとのことで、この日それが叶った形だ。ダンスに合わせて鳴り響く手拍子と名前を呼ぶファンの声が、5人を迎え入れるようにして高まった。

いいメンバーと出会えたことの素晴らしさを実感

 さらに中盤の「キャリオケ」(メンバーが得意のカラオケナンバーを披露するコーナー)も特別仕様で、5人がソロで好きな曲を歌ったほかに最後は5人全員でLittle Glee Monsterの「あとひとつ」を歌った。

東京公演のもよう

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 桜野「47都道府県回ってきて、海外ツアーもやって。自分に自信が持てるようになったツアーでした」

 水城「気持ちがオチるときもあったけど、メンバーのみんなが頑張ってるから頑張れました。みんなの存在が、モチベーションになりました」

 星野「ただ回るだけのツアーにはしたくなかった。最初は漠然としていたけど、1つ1つ向き合っていったら自然と自分をさらけ出せるようになったし。みんなが頑張ってるから、私もこのままじゃダメだと思えました」

 雨宮「このツアーを回っての一番の自慢は、メンバーです。同じ温度感と気持ちを持って、一緒に頑張れる仲間がいる。そのことに改めて感動しました」

 胡桃沢「落ち込んでいるときに、ここまで手を差し伸べ続けてくれる人には、きっとこの先出会えないと思う。いいメンバーと出会えたことの素晴らしさを実感しました」

 仲間と共に夢を追いかけることの素晴らしさと諦めないことの強さを歌った「あとひとつ」。一列に並んで繋いでいった歌からは、苦難の道のりとそれを絆で乗り越えてきたことを感じさせ、「あとひとつ」を選曲した意味が感じ取れて胸が熱くなった。さらに本編ラストを飾った「back stage」とアンコール1曲目の「五線譜」からも、5人の絆とライブにかける想いが溢れていた。

東京公演のもよう

東京公演のもよう

 「back stage」と「五線譜」は、メンバーの雨宮伊織が作曲に参加し、メンバー全員で言葉を出し合って作詞をした、妄キャリにとって特別な意味を持つ楽曲だ。「back stage」は、ステージに上がる前に不安と緊張に押しつぶされそうになりながら、それでもステージに立てば多くのファンとペンライトの光の海が、自分たちを待っている。ライブが、自分たちの夢だと歌ったナンバー。一列に並んでステージから客席に手を差し伸べるようにして歌い、観客も目をうるうるさせながら手を伸ばして5人の歌に応えた。

 アンコールで歌った「五線譜」は、それぞれ違ったルーツを持つ5人が出会い、お互いに影響を与え合いながら成長、同じ夢を追いかけるようになったことを歌ったナンバー。約1年かけてほぼ毎週末おこなわれてきたツアーは、インディーズバンドのようにバンに乗って移動し、その中で絆を育みながらグループとして人として成長してきた。そんな過程で生まれたのが、この「五線譜」という曲。タイトルの「五線譜」には、この5人がいなければ成立しない、かけがえのない5人であることを楽譜にたとえて付けられた。浮遊感のあるエレクトリックなサウンドと、メロディアスなメロディラインは、5人の想いと重なり聴く者の胸をギュッと締め付ける。この日は雨宮のピアノ演奏を経ての歌唱ということもあって、感動が倍増。歌い終えたときに、お互いに顔を見合わせながらニコニコとした笑顔を見せていたのが印象的だった。

 47都道府県ツアーの46公演目、この日また五線譜に新たな音符が付け加えられた。このあとファイナルの沖縄を経て、ライブごとに新しい音符が書き加えられ、少しずつ楽譜が完成していく。妄想キャリブレーションの5人が、これからどんなメロディを奏でていくか楽しみだ。

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