私の脳内の全てが入っている、岡部磨知 3年間積み重ねた集大成
INTERVIEW

私の脳内の全てが入っている、岡部磨知 3年間積み重ねた集大成


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年04月21日

読了時間:約15分

日常的なことでも運命を感じる

――さて、2曲目の「knight of night」はラテンっぽいナンバーですが、一味違った感じに仕上がっています。

 はい。普通のラテンアレンジは嫌だなと思って。アレンジとしてはディスコっぽいバブリーな感じ、最近のエレクトロっぽい感じにもしたくて。一番安達ちゃんを悩ませました(笑)。最初はシティポップみたいにしようと思ったんですけど、そうしたらちょっとオシャレ過ぎちゃって、何かギラギラした良い意味でリッチでお金の匂いがする感じの曲にしたいなというのがあって(笑)。「このソロの所のコード感は昔のSMAPみたいにしたいんだよね」とか、この曲のアレンジは色々こだわりました。

岡部磨知

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――ラテンとバブリーの組み合わせという要望はすごいですね! あと、個人的に気になったのが6曲目の「ep.zero」です。尺が約1分というインタールード的な役割だと思うのですが、この曲の意図は? 

 本当は「ストロボサイン」の長いイントロという扱いだったんですけど、私の中でライブ構成も考えていて、この辺で転換とかしたらいいなということも考えていました。SE扱いなところもあって、1分くらいなので転換で映像を出すとか、そういうタイムに使えそうだと(笑)。「ストロボサイン」のイントロでもあるんだけど、「ep.zero」という風に分けた方がいいかもと思ったり。

――その「ストロボサイン」ではカメラのシャッター音が入っていますよね?

 あれはエレクトーンのSTAGEAに入っている音なんです。「ここは遊び心がある感じにしたいな」と言ったら安達ちゃんが提案してくれました。

――こういう遊び心がすごくフックになっていますよね。そして、7曲目の「偶然のとなり」というタイトルにはどういった意味が込められているのでしょう?

 まず私のなかで「羽根の似合うイケメンバンドの人」というイメージでこの曲を作りました。ビジュアル系とまではいかないけど、もう少し現代的なポップロックバンドみたいなイメージです。しかも設定もかなり細かく決まっていて。「一途で不器用で、報われなくて...」というキャラ設定まで決まっていました。

 ストーリー的には「運命だと信じて相手を信じ続ける」キャラなんです。でもそれを「運命」と書いてしまうと凄くチープだと思って、どうしようかと凄く悩みました。わかりやすいんだけど、わかりにくい、くらいのタイトルにしたいなと思って。私の中では「偶然のとなり」が運命だった、というストーリーにしています。

――運命を感じるときはありますか?

 あります! それは日常の中にあります。凄く行きたい店が閉まっていたら「これは運命だな」とか(笑)。

――本当に日常ですね(笑)。

 日常的にけっこう運命論者なので、そういう風に紐づけます。電車を乗り間違えたのも「これも運命だ」と諦めますし...。ただ単に根明なんだと思います(笑)。過去をやり直したいとか思いませんし、「そっちの方が自分の人生にとって良かったんだ」となります。全部過去があって今があって、という考え方です。

3年間で重ねたことが集約されたアルバム

――ここまでかなりストイックに追い込んできたという印象があります。自身でインディーズ盤を3枚出されていますが、バイオリニストが自分で音源を作るとなると…。そのノウハウはどこで培ったのでしょうか。

 「これがやりたい」となると、それが頭から離れなくなっちゃうタイプなので、わかりそうな人にどんどん聞いていきます。まわりを巻き込んでいっぱい迷惑をかけながら作るというスタイルなので、巻き込まれた人は大変だなっていつも思います(笑)。

岡部磨知

岡部磨知

――レコーディングなどもそういう感じで人に聞きながら。

 先輩でアルバムを作ったことがある人にまず聞いて、人を紹介してもらって、打ち合せに行って「どうやったらいいんですか?」というところから始めます。

――手探りでゼロからのスタートなんですね。レコーディングで「これだけはゆずれない」というこだわりはありますか?

 私は本当に妥協をしたくないタイプなので、このアルバムに関して演奏面、ミックス面と妥協はしていないと思います。ミックス面に関しては本当にエンジニアさんは大変だったと思います。データのやりとりで、納得がいくまで秒指定、音指定を全部文章でやりとりしたので。でも凄く一生懸命取り組んでいただいたので、納得いくものが出来ました。

――自分の音よりも全体の音の方が気になったり?

 自分のアルバムなので、まずは自分のバイオリンの音色や音量を気にしますが、違う楽器のバランスや音色も気になります。この楽曲をもっとバランス上げないとこのアレンジの良さが出ないんじゃないかとか。

――もうプロデューサーなんですね。

 そうです。完全に自分プロデュース。アレンジも全部私が監修しつつ、リズム録りとかも立ち会ってああだこうだ言うという(笑)。朝からスタジオに入ってレコーディングを全部見て、みなさんを送り出したあとに夜、1時間に1曲くらいの、もの凄い回転数で自分のソロ録りをやるんです。それもまたエンジニアさんが大変だったと思います。

――朝からですと集中力が必要ですよね。保つための何か秘訣はあるのでしょうか。

 その曲がそこまで出来ていることがモチベーションといいますか。朝からずっと嬉しいなと思って見ています。体力的には大変ですけど、メンタル的には良い感じに上がっているので、集中力が切れることはないんです。

――全体を見据えてこだわり抜いた今作ですが、『プリズミラクル』というタイトルに込められた想いとは?

 凄く悩んだんですけど、私はみんながスターだと思っていて、キラキラしている人達、煌めきを大事にしたいなと。バイオリンもキラキラした音だし。煌めき感と、何かこれで奇跡が起こるような、そういう魔法の言葉のようにしたいなということで『プリズミラクル』にしました。ちょっとしたおまじないのような感じもして、それも凄くいいなと思って。四文字熟語の何かにしようかなとも思ったんですけど。

――漢字ですか?

 はい(笑)。でも、それだと読み方がわからないかもしれないと思って、やっぱりこっちがいいなと思って『プリズミラクル』にしました。ジャケットも今回、凄く頼みたかった菅野結以ちゃんにお願いしまして。結以ちゃんも「プリズム感を大事にしたジャケットにしたいね」と言ってくれて。そこからも凄くインスパイアされました。彼女に頼めば間違いないという確信があり、結果的に予想以上のものを返してくれました。私以上に妥協をできない人なので。

――妥協ができない人たちが集まった作品ですね。

 妥協したくない人だけが集まった現場、みたいな(笑)。

岡部磨知

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――『プリズミラクル』が完成された今、この作品にどういった想いが生まれましたか。

 凄く計画的に「きっとこうなるだろう」という想定を積み重ねながらやったので、出来上がったものは想定通り以上のものが出来ました。自分が作った曲というのは全部大事なんですけど、このアルバムに関しては集大成、今私が作った時点での色々な人生経験やお仕事経験だったり、この3年間で重ねたことが集約されたものになりました。正に私の近況が全て、私の脳内にあるものが全部入っている、という感じです。

――集約されたものとのことですが、この3年間を振り返ってどうですか?

 本当に幅広く仕事をさせて頂いて、全くできないことだらけだったんですけど、少しずつ色んな人に教えてもらったり、色んな現場に行かせてもらったりして、こんなに知らないことがあったんだという風に思っています。もちろん音楽的には、毎週ラジオをやらせてもらっているので最新のものをいつも聴けてああだこうだと一緒にセッションをして、というところでも吸収とかもして。

 3年だけどもっと経ったような内容の濃い3年間だったと思います。音楽的にもそうですけど、それ以外の部分も色んなことを学ばせてもらっているなと凄く思いました。それが曲を作るときに反映されているという気がしました。たぶん以前だったらこういう曲は出てこないだろうというのが出てくるということは、きっとそうなんだろうと思います。

――集大成とも言える今作をリリースして、今後どういった展開をしていきたいですか?

 まずは『プリズミラクル』をなるべく多くの人に聴いてもらいたいというのがあるので、ライブや、たくさん人前で弾く機会が欲しいです。これをみんながどう思うのか反応が見たいですし、どんな風にみんなにイメージとして伝わるのか感想も聞いてみたいです。

(おわり)

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