一致している事の美しさ

——ストリングスがファンキーに演奏するイントロも印象的でした。

ビッケブランカ

 あれも、できた時は「これいいじゃん」と思いました。風が吹いている様な感じに聴こえるし、少し不穏な感じも混ざっている。イェイ! イェイ! な春じゃない、出会いと別れという意味でも良いバランスを作る事ができました。

 ただこれは僕がPCで作ったアレンジなので、実際にオーケストラの人に弾いてもらうとかなり難しいらしいです(笑)。「あんなフレーズは弾いた事がないよ」と言われました。という事は面白いのかもな、とそれが逆に確信に変わったりもしましたね。

——参加されている楽器陣の方々も豪華でしたね。

 スタジオミュージシャンの方々も素晴らしくて。ベテランの方々とご一緒出来て嬉しかったです。皆さんの音が入ると曲が化けるんですよ。より洗練されるので、デモを作っている段階でそれを期待しつつ作る感じになっています。

——他の収録曲についてはいかがですか?

 2曲目の「Get Physical」はリズムが立ってて、ワークアウトに合う曲にしてみようかなと思って作りました。掛け声から始まる曲をやってみたかったんですよ。あれを「チアリーディングみたい」と言ってくれる方も多いんですけど、大本の着想はラグビーの「ハカ」(試合前に踊るダンス)。あれを見た時に凄い格好良くて、そんな感じの音楽を作りたいなと思っていたのを実現させました。あれは自分の声なんですよ。照れなんてもう全然ないです。羞恥心が何をやるにも消えてしまいましたから(笑)。

 それから、オリビア・ニュートン=ジョンの「Physical(フィジカル)」にも少しインスパイアされています。サウンドというよりも映像のイメージです。MVも撮る予定です。レオタードみたいなのを着て、みたいな。もちろん着るのは僕ではないですけど。「ウララ」はしっかりテーマを据えて作ったので、「Get Physical」に関しては自由に思いつくまま作った感じです。歌詞のトピックも自然に出来ていきました。

——アニメ『ブラッククローバー』の主題歌にも起用されている「Black Rover」はまた打って変わってロックです。

 先方から「ダークで疾走感のあるギターロック」「命がけの闘いに相応しい曲」とオーダーがあったんです。僕は「ギターロックじゃなくて、ピアノロックなので」みたいな考え方にはならないタイプなので、別にギターロックだってなんだってできると思っているから快諾しました。

 しかも高校時代はロストプロフェッツとか、リンキン・パークとか聴いていましたから。何ら難しい事はありませんでした。自然にメロディ作って、裏声で歌って、ハーモニーを足してみたらしっかりビッケブランカらしいものにもなっていますし、面白く仕上げる事ができました。もともと親しんでいたのでしっくりくる部分もありましたし。

——アニメを見ながら制作されたんですか?

 そうです。マンガもアニメも見て。歌詞も寄せるなら寄せようと。そこに半端に「らしさ」とか言い始めるとどちらも得しないような形になると思うんです。(例えばドラゴンボールの「魔訶不思議アドベンチャー!」)は)<手に入れろ、ドラゴンボール>だからあの歌は良いわけで、そのくらい親和性を持たせる事が大事なんじゃないかなと思いました。

 歌詞も自分の考え方とかはほとんど入っていません。僕が多少なり、作品を見て感じる事は自分らしさになるかもしれませんが。アニメについて感じた事だけを書いたつもりです。しっかりアニメに寄り添おうとしている感じですね。

——意味不明な歌詞も入っていますが、あれは敢えてでしょうか。

 作中で魔法書を読んで魔法を出すんです。その時に変な文字が出てくるんですよ。それを表してみたのがあの歌詞です。何の言葉でもないので意味はないんです。語感だけで作りました。一致している事の美しさがあったと思うんですよ。最近のアニメの主題歌は解離している様な気もしていて。(『北斗の拳2』の主題歌だったTOM☆CATの)「TOUGH BOY」もそうじゃないですか、あれは『北斗の拳』の主題歌でしかない。それを自分もやらなきゃな、と思ったんです。

——「今ここで逢えたら」についてはいかがでしょう。

 この曲は10年位前からあるんです。僕がピアノを始めたばかりの頃に書いたので、演奏も簡単なんですよ。ある意味、その年齢の時に完成させてしまっている曲ですね。でも春の曲だから「出すならここだ」と思って収録しました。歌詞も当時書いたものを一文字すら変えていないですし、アレンジもそのままです。当時のまま、ただレコーディングしただけという感じ。

 昔の曲だから黒歴史だと感じる部分もありますよ。あまりにも今の僕が作る歌詞にはない、浅さとまっすぐさがある。ピアノに関しても今だったらもっと色々弾けるんですけど、やれない時に作っていて、それで全て整合性がとれているんです。いきなりエレキギターが入ってきて、またバラードに戻るみたいな、でこぼこした部分もそれで完成されているので崩しようがない。でも最終的に良い曲だな、と思えるのでこれが正しいと思います。

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