成長と葛藤の1年、22/7 養った追求心と表現者としての心構え
INTERVIEW

左から海乃るり、宮瀬玲奈、花川芽衣、西條和


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年04月10日

読了時間:約17分

 デジタル声優アイドルグループの22/7(ナナブンノニジュウニ)の初お披露目から1年以上が経過した。2月27日には自身二度目のワンマン公演を、東京・ディファ有明で開催。バーチャルとリアルという類をみない異色ライブパフォーマンスで見る者の度肝を抜かせた。この公演では、4月11日発売のセカンドシングル「シャンプーの匂いがした」の収録曲も初披露した。前作のデビュー曲「僕は存在していなかった」では彼女たちそれぞれの境遇や状況を重ねた歌詞が印象的だったが、新曲はどのようなものになったのだろうか。

 今回は、前回インタビューした花川芽衣(斎藤ニコル役)と西條和(滝川みう役)、そして、新たに海乃るり(戸田ジュン役)と宮瀬玲奈(立川絢香役)に加わってもらい、話を聞いた。(約9500文字)【取材・撮影=木村武雄】

22/7

 海乃演じる戸田ジュンはお嬢様のツンデレ系。そして、宮瀬演じる立川絢香は攻撃的な武闘派系。アイドル系の斎藤とオタク系の滝川とは正反対のタイプと言える。

 その海乃は東京都出身。趣味はアイドルの表情研究。そして特技の一つには殺陣もある。殺陣は素早くキリッとした動き、相手との間合いなどが求められるが、パフォーマンスでは活かされているのだろうか。この質問に海乃は「殺陣を活かしたことはないのですが…」と戸惑う様子を浮かべながらも「ただ、ターンをするときに『活かされている』と思ったときはあります」と返した。清楚でいて知性を感じる。取材では記者の間違いにも「あ、あ、たぶん…」と言いながら物腰低く指摘する場面もあった。また、ディファ有明での公演ではほとんどのメンバーが感極まり涙していたのに対して、涙を流さずに「初めてのことだらけでどうなるかなと思ったけど楽しくできました」として気丈に振る舞っていた。海乃自身も「冷静に物事を見るタイプ」だという自覚があり「物事を、一歩を下がってみるタイプなんです。あのときも客観視している自分がいました」と振り返っていた。

 一方の宮瀬は福岡県出身。特技に、将棋の戦法の一つ「四間飛車」と挙げるなど将棋好きだ。記者がこのことに触れると笑顔で「今も打っています。将棋盤も買いましたし。基本的はオンラインの対人戦でやっているんです。攻め方の手法なんですけど、よく四間飛車を利用して攻めています」と答えていた。おっとりとした雰囲気を感じさせる一方で、ライブイベントで見る彼女の表情はどこかクール。しかし、本人は「感極まるタイプ」だと分析している。実際にディファ有明での公演では、パフォーマンスがうまくできるか不安だったと涙を流した。この1年間の重圧や苦悩が垣間見えた瞬間だった。

 さて、前回のインタビューに参加してもらった花川と西條。二人とも自分を表現するのが苦手と語っていたが、この半年間で変わったのだろうか。花川「自分を出せるようになりました。まだ完全ではないんですけど、チョロっとずつ(笑)」、西條「私はわりとすぐ逃げがちだったので、逃げる前にとりあえずやってみようという風にはなりました」。経験を踏むことで彼女たちの心にも変化が表れている。ところで、西條は石鹸を切る動画を見るという変わった趣味があったが…。「(石鹸動画は)今も観ているんですけど、今はスポンジを擦っている動画の方が好きです。タワシとスポンジの間くらいの、ちょっと固めのスポンジをずっと擦っているだけの…」。その世界観は更に広がりを見せている。

 ここからはシングル、そして、この1年間を振り返ってもらう。

葛藤と成長、乗り越えたそれぞれの1年

――昨年からの1年を振り返ってどうでしたか?

花川芽衣 オーディションを受けた初めの頃は、私は人がどう思っているかを第一に考えてしまって生きていたので、自分が今何を感じているのかがちゃんとわかっていなくて。自分を出すことができていなかったんですけど、この1年間いろんな経験をさせて頂く中で、自分が何を感じているのかということに向き合う機会がけっこうありました。それで自分の気持ちを素直に受け止められるようになりました。

――前回のインタビューで、昨年7月の初ライブの感想を聴いた時に、「凄い感情が湧いてきた」けど、その感情を言葉で表現することができないとも言っていました。その言葉は見つかりましたか?

花川芽衣 あのときは私の中で消えていた感情が再び蘇ったというか、そういう感情でした。

――海乃さんは1年を振り返ってどうですか?

海乃るり 最初は、自分が良ければ良いという感じだったんですけど、今はラジオなどたくさん取材を受けさせてもらって、「こういうことが求められているんだな」ということが徐々にわかってきて、そういうことを考えて発言、行動ができるようになりました。まだ完璧ではないんですけど。

――西條さんはいかがでしたか?

西條和 最初は顔も出してなくて、レッスンしかしていなかったので、オーディションに受かったという実感もなくて。今思うとけっこうフラフラしていたなと…。でも、顔出しがあって、デビューがあって、ライブでみなさんの前でパフォーマンスをするということをして、この10年泣いたことがなかったんですけど、このグループに入って初めて泣いたんです。今まで泣けなかったのは「一生懸命やってこなかったんだな」と思ったので、泣くほど一生懸命になれるようなことに出会えたことが良かったと思っています。

――今が人生の中で一番輝いているような感じでしょうか?

西條和 みんなみたいに大きな夢があってとか、「これが今楽しくて」というのがあまり私はなくて、やりたいことや楽しいことをまだ探している途中です。とりあえず今は目の前のことをひたすら頑張っていれば、いつか楽しいと思えるようになるかなと思って、ひたすら頑張っています。

――ステージに立っているときに思っていることは?

西條和 曲が、「僕は存在していなかった」などが正に自分のことのような曲だったので、「僕は存在していなかった」が今まで聴いた曲の中で一番好きになったので、それを歌えるありがたみをいつも感じています。同じように思っている人に届けばいいなといつも思っています。

――宮瀬さんはこの1年いかがでしたか?

宮瀬玲奈 凄く早かったなという一言につきます。そう感じたのは、そのぶん充実していたのだと思うんです。グループに入った頃は、毎日のレッスンが全て新鮮なもので、ダンスとかは体育の授業でしかやっていなかったので、ダンスのステップからできなくて、次の日に全身筋肉痛という日々を過ごしていました。今は一日中踊っていても筋肉痛にならなくなったし、体力的な面が目に見えて変わったので、そこは成長を実感しています。

 精神的な面で自分の“できなさ”に日々苦しんでいたんですけど、レッスンの中でメンタルトレーニング的なものもあったりして、自分に向き合う時間が増えて、自分は今どういう立場にいるのかとか、自分の心を大切にするようになってきて、精神面でもちょっと強くなれたかなと思います。グループに入った頃はスタッフさんの前で毎日泣いていたし、話を聞いてもらっていたという日々から考えると、成長した方ではあります。

――それだけこの1年間辛かったのですね。それでディファ有明での公演では感極まって泣いてしまったのですね。

宮瀬玲奈 感極まっちゃうタイプなんです…。これまでのことを全部思い出して泣いちゃうという。

――でもそれは表現者にとっては大切なことですよね。

宮瀬玲奈 ありがたいことに、先生からも「そのままを出しなさい」と言われます。

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