POPバンドのKIRINJIが3月26日、27日に、ビルボードライブ東京でワンマンライブ『KIRINJI PREMIUM 2018』東京公演をおこなった。同公演は、同様に29日、ビルボードライブ大阪でも開催された。いずれも1日2部制でおこなわれ、多くの観客を魅了。コトリンゴ脱退後初のライブとなった今回。パーカッションの矢野博康、キーボードの渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)をサポートメンバーに迎え、KIRINJIならではの世界観を、春の訪れを感じさせる華々しさとともに表現した。今回は東京公演の2日目、第2部の模様をレポートする。【取材=桂 伸也】

「春っぽい曲を」KIRINJIらしさとともに

 現在はボーカル、ギターの堀込高樹を中心にドラムスの楠均、ベースの千ヶ崎学、ペダルスティール田村玄一、ギター、ボーカル、バイオリンの弓木英梨乃という5人体制で活動しているKIRINJI。昨年11月には最新シングル「AIの逃避行」をリリースし新しいアルバムのリリースも待たれる。

KIRINJI

 ライブがおこなわれたのは平日の火曜日、それも遅い時間の始まりとなる第2部公演にもかかわらず、会場は空いた席が見当たらなかった。ビルボード東京ならではのゆったりした雰囲気の中、観客はKIRINJIの面々が訪れるのを待つ。そして定刻になると、会場の照明がゆっくりと落ちていくとともに、客席からは大きな拍手が起こる。その拍手に迎えられるように、KIRINJIの面々はステージに現れた。

 和やかな16ビートにギターのカッティング、爽やかなキーボードのサウンドと、トロピカルな雰囲気のハーモニーがかぶせられる。そのサウンドに乗ったこの日のオープニングナンバーは「冬来たりなば」。堀込曰く「春っぽい曲をいろいろ用意した」という今回のライブの中では、まさに春真っ盛りの、今の時期にはピッタリの楽曲と言える。決して急がない雰囲気はそのままに次の「進水式」へ。

 この日見られたKIRINJIのメンバーは、ドラムとパーカッションという組み合わせや、ペダルスティールという、一見ユニークな構成。一方で、例えば「進水式」では楠のドラムが性急なビートを刻む中、パーカッションの矢野がゆったりとしたビートをかぶせ、独自のリズム感を見せるなど、その構成を十分に生かした非常に独創的なサウンドを聴かせる。

 そんな中、クリアながらうっすらとソウルフルな雰囲気も感じさせる堀込の声が、しっかりと存在感を表す。この存在感があってこそ、大胆なチャレンジをしても「KIRINJI」のままでいられる。淡々と進んだこの日のステージからは、そんな自信に満ちた雰囲気も感じられた。

 さらに「愛のCoda」では、ジャジーな雰囲気たっぷりのギターソロを聞かせたり、「きもだめし」では楽器をバイオリンに持ち替え、牧歌的な雰囲気を醸し出したりと、二人目のフロントとして印象的な場面を見せた弓木の存在もステージに映える。

 続いて「この部屋に住む人へ」に。1曲の中にメジャーとマイナーのキー両方を介在し、さらにありきたりなコードではない、どこか一カ所に浮遊感を醸すコードを入れた上に、美しいコードを響かせ、大きな広がりを作り上げる。この曲に限らず様々なアプローチのサウンドに、独自の世界観が表された歌が乗っていく。この日の観客は、そのサウンドで醸し出される至福のひと時を、ゆったりと味わうようにステージに耳を傾けていた。

「新たな春の訪れ」を感じさせるステージ

 そしてステージも中盤に差し掛かると、改めて堀込は「春にちなんだ曲を」とコメント。作曲家バート・バカラックの作品で、映画『幸せはパリで』の主題歌「エイプリル・フール」へと移る。穏やかな雰囲気の中でも非常に決めの多い楽曲で難易度の高いものだが、曲の持つゆったりとした雰囲気を崩さず、華やかな空気を振りまく。

KIRINJIのステージ

 新曲「時間がない」あたりから徐々にビートも活気を帯び、終盤に向けての盛り上がりを見せた。アニメシリーズ『アイドルマスター』に堀込が提供した曲「LEMONADE」では、弓木がメインボーカルを務め、さらにビートもアクティブになり、観客も彼らに向けて拍手だけでなく歓声を上げるほどに。

 さらに「The Great Journey」では、ファンキーなビートに乗せ堀込や田村、弓木がラップを見せたり、再び弓木がメインボーカルを取った「Mr. BOOGIEMAN」では、楽器を置き、ハンドマイクを片手に会場を練り歩き、観客とともに歌いながらコミュニケーションを図るなど、淡々と進行していた前半のステージから一転して、会場は大きな盛り上がりを見せる。

 このステージのラストは、最新シングル曲でもある「AIの逃避行」。ノリのよさがありながらも、ディスコビートのクールな雰囲気と、ボコーダーを通した堀込のボーカルが、ステージの終わりにふさわしい熱気を振りまき、ラストソングとして程よい空気感を演出する。

 さらに観客からせがまれたアンコールでは、ベースのソウルフルなリフから始まるインストナンバー「PDM」、そしてステージの最終曲に、堀込が歌手・ミズノマリに提供した楽曲であり、KIRINJIとしてもプレイすることをファンからも要望されていたという楽曲「春の嵐」をプレイ。そして「アルバム、頑張って作るんで、宜しくお願いします!」という堀込の締めの言葉とともに、新たなKIRINJIの春の訪れを感じさせながら、この日のステージは幕を閉じた。

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