Juice=Juiceの宮本佳林、SUPER☆GiRLSの浅川梨奈などを発掘した、静岡朝日テレビの番組『コピンクス』シリーズがこの4月に新展開。静岡を舞台にしたオーディオドラマがスタートする。キャストに静岡出身で新中学3年生の栗田桃花(14)=写真=らを迎える。その初収録が3月某日に都内でおこなわれ、MusicVoiceが独占取材した。【取材・撮影=木村陽仁】

コピンクス2020~港と僕とトリロジー~

 『コピンクス』と言えば、これまで「カリーナノッテ」に代表されるように番組テーマ曲が存在していた。しかし、4月から始まる新シリーズ『コピンクス2020』(毎週火曜日23時10分~)では、それらの制作を休止し、オーディオドラマ『コピンクス2020~港と僕とトリロジー~』として新たな船出を切る。メインキャストは、静岡出身の中学生、栗田桃花(14)だ。

 ドラマの物語は、栗田の出身地である静岡県の静岡市清水区が舞台。主人公の回想を通じて高校生活の淡い青春を描く。原作はこれまでの『コピンクス』シリーズ同様に構成作家の竹屋なかこと、作家・作詞家の児玉雨子が手掛ける。制作およびキャラクターデザインは、前回までのコピンクスシリーズ同様10GAUGEだ。

 栗田は、ヒロインの学校一美しい少女・本山 葵(もとやま・あおい)の声を担当する。脇を固めるは静岡出身の占いタレントのゲッターズ飯田と、静岡朝日テレビの番組をいくつか手がけてきた映画プロデューサーの藤巻直哉。両者ともヒロインの同級生となる女子高生役を演じる異色のキャスティングだ。そして、番組ナレーションは、デジタル声優アイドルグループ・22/7(ナナブンノニジュウニ)の花川芽衣が担当する。

花川「新鮮な気持ち」笑顔で

飯田や藤巻と打ち合わせする花川芽衣

 この日の収録はまず、飯田、藤巻、花川の3人で始まった。やや緊張した面持ちの花川。キャスト、スタッフ一人ひとりに深々と頭を下げて「宜しくお願いします」と丁寧に挨拶する。“初対面者恒例”の飯田による“占い鑑定”が実施されたあとの打ち合わせは、和やかな雰囲気のもとにおこなわれ、早速、録音ブースに入り、3人による収録が始まった。

 飯田飯子(いいだ・いいこ)という引っ込み思案な文科系少女を演じるゲッターズ飯田、藤巻直美(ふじまき・なおみ)という楽天家でやや適当キャラの女子高生を演じる藤巻。2人が女子高生の声を演じるシュールな声収録がおこなわれるなか、異彩を放ったのは花川だった。

 小さい頃からアイドルと声優に憧れていた花川。所属する22/7ではライブパフォーマンスのほかに朗読劇もおこない、先日、ディファ有明で開催されたグループ単独公演での「朗読女王決定戦」では優勝も経験した。この日は、その声優に挑む喜びと期待が増してか、収録では緊張の色は見えずに楽しんでいるようだった。物語の情景が浮かんでくるように声巧みに繰り広げていく。別室でその様子を確認していたスタッフも「凄い」「もう出来上がっている」と感心するばかりだった。自身も後に「新鮮な気持ちでやらせて頂きました。嬉しかった」と笑顔で振り返った。

声収録に臨む花川芽衣

 ともに臨んだ藤巻と飯田も太鼓判を押した。藤巻は「プロ」と舌を巻きながら「アニメのヒロインの声ですよね」。飯田も「いいですよね」と絶賛。

 一方、「家で録音しながら練習しました」という花川。この日は、ナレーションとして高校時代を回想する男性の声のほかに、その回想シーンに出てくる男子高校生の声も演じたが、「(回想する男性の声)の方は私の素に近い感じでやりました。もう一人の男子高校生は男らしい感じをイメージしました」と声を使い分けたそうだ。

 3人への取材時は、飯田が「今日初めて台本を見ました。この扱いひどくないですか」と語れば、藤巻が「前もって送られてきたけど、スマホで見るから字が小さくて」と返すなど、二人ならではのユニークな掛け合いで笑いが絶えなかった。そうした雰囲気に花川も安心感を抱いたようで「緊張はしていたんですけど、アットホームな感じだった」と緊張感がほぐれたなかで収録に臨めたと話した。

“ギタ女“の一面も 栗田、初アフレコを終え

声収録に臨む栗田桃花

 小休止を挟み、栗田が合流。4人で収録に臨むことになった。ここでも終始和やかな雰囲気。栗田は初めてのアフレコ。最初こそ戸惑いもみせたが、収録が進むうちに慣れていき、彼女の良さが出ていた。先月30日に14歳の誕生日を迎えたばかりの栗田。飯田には「大人の女性」と評価されていたが、初アフレコを終えた栗田に話を聞いた。

(記者)初のアフレコはどうでしたか?

 栗田「花川さんをはじめ皆さん上手で、スタッフの方に私は「そのままでいいよ」と言われていたんですけど、緊張しました。点数ですか? 60点ぐらい…。だけど、自分の声でちゃんとやることが出来たので良かったと思います。初めてのことだったので、不安もありました。でもやっていくうちに慣れていきました」。

(記者)想像していたものと違った?

 栗田「そこは想像通りでした。でも、声だけで表現するのは凄く難しいなと感じました」。

(記者)課題はみつかりました?

 栗田「見つかりました。それは『間』です。尺との関係もあるので、間はなかなかつけられないかもしれないけど、全部同じような感じになったので…。抑揚とかもつけていきたいと思います。次への課題として頑張ります」。

声収録に臨む栗田桃花と花川芽衣

(記者)藤巻さん、飯田さん、花川さんと臨んでどうでしたか?

 栗田「藤巻さんも飯田さんも凄く優しくて安心しました。花川さんはもう声優さんという感じがして、勉強したいなと思いました」。

 栗田は3歳からバレエやダンス、5歳からピアノを学んでいる。コンテストでも受賞歴があり、地元静岡ほかでテレビCMにも出演。静岡のレーシングチームのレースクイーンとして活動した際、「かわいすぎる中学生レースクイーン」として話題を集めたこともある。歌に料理、更に学業では学年上位の成績を収めるなどまさに文武両道。そんな彼女はエレキギターも習っているという。

(記者)ギターをやっているそうですね?

 栗田「はい、習っています。エレキギターですが、習い始めて1年半ぐらいです。ギターの先生の世代もあって、布袋(寅泰)さんの曲とかを弾いています。そのほかにBOOWYや、X JAPANとかも。自分でリクエストする曲もあります」。

(記者)将来の夢は?

 栗田「女優さんになりたいです! 今はアクロバットやダンス、バレエ、ギターもそうですし、色んな習い事をしているのでマルチに活躍できる女優さんになりたいです。歌は苦手意識もあるんですけど、でもちゃんとレッスンは受けているので、歌もできるようになったら良いなと思います」。

栗田、花川ぞれぞれの個性

声収録に臨む左からゲッターズ飯田、藤巻直哉、栗田桃花、花川芽衣

 同番組放送開始当初からエンジニアとして携わっっているクリエイターの依田伸隆さん(10GAUGE)。二人の声をどう評価したのか。依田さんは、花川は「アニメの演出が出来ている」、栗田は「役者としての素の芝居が出来ている」とそれぞれ対照的な「良さ」があるとし、「今後の活躍が期待できる」としたうえで、以下の通りに評価した。

(記者)花川さんはいかがでしたか?

 依田「声質も言い方もアニメの声が出ていて凄いなと思いました。アニメが好きなんだろうなというのがすぐに分かる。アニメを知っている方は自身で演出を入れることがあると思いますが、花川さんはそれが出来る人。例えば『なんで』というところも『んなんで』という感じで、それが入ることでよりアニメ演出っぽくなったり。練習したからというのもあるかもしれないけど、ナチュラルでそれが埋め込まれているんじゃないかと思います。いろんなキャラにはまりそうな感じはしました」。

(記者)栗田さんの印象はいかがでしたか?

 依田「どちらかと言うと、アニメではなくて、役者としての素の芝居でした。それが凄いと思うんです。アニメの声は、凄く演技する方法と、なるべく素っぽい演技をする方法があると思いますが、栗田さんは完全に素でやる。それと、若干ハスキーな声ですが、実はそれが個性になっています。いわゆる可愛いだけではない感じも出せています」。

(記者)収録の間に変化は見られましたか?

 依田「花川さんはよりアニメっぽくなっていって。『この路線でいこう』と決めたような感じは見受けられました。栗田さんも流れを掴んだ感じはありました。芝居がどうこうというよりかはマイクの距離感など技術的な面でも短時間で成長があって。最初は分からないと思いますが、そうしたスキルが身についていった感じはありました。それと、自分ひとりで語る一言集のようなセリフは本人に近い感じでした。会話の芝居になると多少相手の間も見ないといけないですし、緊張感はありますが、自分ひとりで読むときは柔らかくなっていましたね」。

 「間」については、栗田も反省点として挙げていた。

飯田や藤巻と打ち合わせする花川芽衣

(記者)間も大事なんですね。

 依田「ほかのキャストと一緒にやると、『このテンションで来たからこうしなきゃ』と瞬時に対応することが求められます。『自分はこう思っていたけど、そっちのテンションなんだ』と合わせないといけませんので、多少は緊張すると思います。本来はトライ&エラーを繰り返して、キャラづくりに時間をかけるんでしょうけど。でもこの番組はあえてそこを飛ばしているので、本人たちもまごまごしている間に『終わっちゃった』という感じになっていると思います。でも、それが初々しさも含めて逆に良いかな、という狙いでもあります。後々この番組で彼女たちの原点がみえたら素敵かも、と」。

(記者)キャラ設定も含めてがっちりさせないことで得られるものは?

 依田「基本的に『コピンクス』は「こうしてくれ」というのはほぼ無く、『自分のなかで探って下さい』というのが多いので、ある意味個性は出やすいと思います。何かをイメージしてやる人もいれば、最初から自分だけのオリジナルを出す人もいて。おのおののポンテシャルに任せて、あとはこちら側でまとめる。なので、演じる方は限られた時間の中ですが、どう演じてもらっても良いので基本お任せしてます」。

初収録に臨んだ、左からゲッターズ飯田、花川芽衣、栗田桃花、藤巻直哉

 相手によっても変わるという芝居。藤巻、飯田という異色のキャスティングによって、栗田、そして花川それぞれが持つポテンシャルが別のカタチで引き出されることもありそうだ。それも含めてこのドラマの聴きどころの一つと言える。実は、藤巻はスタジオジブリ作品への声の出演は多数とのことだが、ゲッターズ飯田はそもそも占いタレントだ。この異色キャスティング、狙いはあったのだろうか。脚本を手掛ける竹屋、児玉の両氏に話を聞いた。

(記者)テーマは?

 竹屋「『高校生活の3年間と清水を舞台にしたドラマ』ということだけで全員が手探りな状態です。前シリーズでは藤巻さんも飯田さんも吹き替えをされていて、お笑い芸人さんだった飯田さんが一番棒読みだったという意外性や、藤巻さんの爆発的なノリも良くて。それを女の子でやってみたら面白い違和感が生まれるんじゃないかなと思いました」。

 児玉「実はキャスティングが先に決まっていたんです。狙ったというよりも、決められたなかでどうするか、という方が先行していました。あと、この企画中に平成が終わり改元するので、“平成あるある”ネタもちょこっとできたらなぁ…と!」。

(記者)実際に収録がおこなわれましたが感触は?

 2人「最高です!」。

(記者)今後の展望は?

 竹屋さん「清水など地元ネタをもっと織り込んでいきたいと思います。それと将来的には『コピンクス』とは別の、一つの独立したお話しとして展開していけたらいいですね」。

 児玉「もくろみがあったらカッコいいいんですけど、正直、私は目の前のことだけで…(笑)その結果、うまいこと転がったら嬉しいです」。

 「カリーナノッテ」に代表される名曲も生まれた番組ともあって、今後の展開が気になるところだ。そして、“手探り”によって生まれる新たな可能性。栗田、花川がこの先「淡い青春時代」として回想するであろうこの番組。今の彼女たちはどういう声で色を染めていくか、注目したいところだ。


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