INTERVIEW

愛はそこに満たされてる、ACIDMAN 主催フェスを通し見えた真理


『ACIDMAN 20th ANNIVERSARY FILM “SAI”』を発売したACIDMAN

記者:村上順一

掲載:18年03月30日

読了時間:約15分

3ピースにこだわっているわけではない

――最後にACIDMANがライブを締める訳ですが、演奏されたなかで最も高揚感が上がった曲は?

大木伸夫

 途中MCを務めてくれたBoo(VJ)ちゃんとかも含め、高揚感はずっとありました。あんなにめったに泣かないBooちゃんが感極まっていくシーンで、凄く感動に包まれて…。そして、全バンドが凄くお膳立てしてくれて、贅沢な気持ちでステージに立たせてくれたので、凄く高揚したまま歌っていました。

――もう始まった瞬間からクライマックスで。

 そうですね。ずっと無我夢中で歌って、よくわからない気持ちの中のまま…。とにかく感謝と愛の気持ちで満たされていました。「愛が大事」っていつも言っているんですけど、ずっと感じることってできるんだなと思った。愛というのは、やはり特別なものではなくて、常に存在していて、ひとつ皮を剥いてあげれば、そこに満たされているんだなと。日々過ごしているときには少しずつめくって、確認しながら生きているタイプだったけど、「やはり愛だな」ということに気付きながら歌っていました。

――愛もそうですし、やはり人というところも大きいと思うのですが、大木さんが今思う「人」とはなんでしょうか?

 やっぱり愛だと思います。それは人に限らず、全てのこの世界は愛で成り立っていて、愛で物質と物質がくっ付いていて、エネルギーというものは愛だと思っているんです。でも使い方を間違えると、それは凄く危険なものになるし…。みんな気付いていることなんだけど、誰かが気付かせないと危ないものではある。エネルギーって本当は取り扱いが危険なものではないんです。

――なるほど。

 全員が潜在意識では気付いているのに、顕在意識で理解できていないと変な方向に行ってしまうもので。感覚でみんなが生きれれば、人間はもっと豊かになるものだなと思います。でも、それは決して争い事をしないということではないと思うんですけど、僕達はまだ争いを続ける下等な生命体だと思うので…。人というのはまだまだ面白くて、善にも悪にもなるし、あっという間にそこを飛び越えてしまうし。でも、愛に溢れたときの美しさというのは誰もが感動するし、不思議な生き物ですよね。

――この先、人間は高等な生命体になれると思いますか?

 人間という形の生命体にはならないなと僕は思っていて、それこそ、どういう形に進化していくのかわからないですけど。もしかしたら次が機械なのかもしれないし、電脳の世界なのかもしれないし、物質を超えた世界になるかもしれないし…。もうすぐ物質は超えるんじゃないですかね?

――もし、すぐ何かしらに進化できるとしたら、大木さん自身はそうしたいですか?

 僕はどっちを選ぶかといつも悩んでいて、例えば自分の脳をコンピューターに100%インストールできたとして、そこではほとんどエネルギーもいらないし、自分の欲望が全て叶うし、実感もある。としたときに、体験してしまったら、僕は体を選ぶとは言えないと思うんです。現在も夢を見ているのと一緒で、肩を叩かれて目を覚ましてもおかしくないじゃないですか? 今までの大木伸夫やACIDMANは全部夢だったと言われても。「あ、確かにそうなのかも」と思えるので。

 だからPCにインストールできるとしたら、断る自信がないですね。全ての不安が脱ぎ去られていて、何の苦労もなく存在して、それが進化のなれの果てだとしたら行ってしまうのかなと…。

――確かに今が仮想現実ということは否定できないです…。

 否定できませんね。本当に。

――仮想現実の中にまた仮想現実をつくりあげていって、マトリョーシカみたいに。

 そうそう。マトリョーシカだし、マトリックスだし。その世界観は、科学者みんながあり得ると言っているので。となると、今の感覚しか信じられないというか、そのままでいいんだなと思います。同時に、暴きたいというか、知りたい欲求でたまにそういうところに思いを馳せるという生き様ですかね。

――そんな仮想現実かもしれない世の中ですが、20年経って3ピースバンドというものをどのように捉えていますか。

 ACIDMANはもともとボーカルがいて4人だったので、バンドは4人だと思っていました。でもボーカルが辞めて、僕が歌った瞬間にそういう快楽を覚えてしまったので。弾きながら歌って、少ないのに大きなことをやっているというものの喜びというか、大変な経験をしたからこそ「こんなバンドって大変だったんだ」と感じたみたいな。だから最高になったので。それがいまだに続いていていて、別に3ピースにこだわっているわけではなくて、たまたまの流れになったものに魅せられているという形ですね。

――流れのまま、だったのですね。

 それしかない、と今は思っているし。あと経費が安く済む(笑)。

――それは大きいですよね。スケジュールも合わせやすいし。

 合理的でしたね実は(笑)。

――ライブのMCで宇宙の話をすると10人中8人が寝てしまうというお話をされていたのですが、その寝なかった2人というのは佐藤(雅俊)さんと(浦山)一悟さんですか?

 あの2人は真っ先に寝ます(笑)。ちゃんと聞いてくれるのは4人組だった時のボーカルでしたね。

――良いお話に結びつくかと思ったのですが(笑)。さて、ACIDMANは活動21年目に入りましたが、今後の活動はどのようなことを考えていますか?

 粛々と、という感じですね。20年華々しくやらせて頂いて、決してこれがあったから特別なものになったわけではないし、僕らが何か生まれ変わった訳ではないし。21年目も、日々は淡々と続いて行くわけで。その日々の中で良い曲を作って良いライブをしていくということを一番大事にしていきたいです。

 結成1年目と20年目で唯一違うのは、非常に勇気をもらっているというか、色んなバンドやスタッフのみなさん、支えてくれたファンのみなさんというものがいるんだということを、つい忘れがちな人間だったのが、今は忘れなくなってきています。不安に思ったときも「大丈夫だ」と。味方が増えているような、背中を押してくれている人達が増えている感覚です。でも、究極は孤独だということはわかっているので、自己表現としては自分と対峙してやっていきたいと思っています。

(おわり)

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