先日、NHKがPerfumeと2020年の東京五輪開催に向けて、エンターテイメントの新たな可能性を探る番組『Perfume×TECHNOLOGY』による最新テクノロジーを使ったライブを取材した。=写真(C)上山陽介 =

 これまでツアーや、リオオリンピックで話題となったハンドオーバーセレモニーを手掛けた、演出振付家のMIKIKO氏と、日本のメディアアート界のパイオニア的存在である法人のライゾマティクスが手掛けるステージで、Perfumeの10年以上に及ぶ活動を「Reframe(再構築)」をテーマに再構築。プロジェクションマッピングやドローンなどを用いて現実とバーチャルの混成した不思議な空間を創り上げていた。

 中でも驚いたのが、API(※アプリケーション・プログラム・インターフェース=ソフトウェアやアプリを接続する、連携させる仕様)とAIのディープラーニングよる歌詞と映像の抽出で曲と舞台演出を違和感なく成立させていたことだ。

 AIや最新技術と聞くと、露作家のウラジミール・ソローキン氏の小説『青い脂』(望月哲男・松下隆志 訳 河出書房新社)でクローンのドストエフスキーやトルストイなどが新作を書くといったおどろおどろしいものや、英・映画監督スタンリー・キューブリック氏のSF映画『2001年宇宙の旅』(1968年公開)の人工知能・HAL9000による殺人など、ディストピア的なイメージが先行する。

 しかし最近では、テクノロジーが様々な場面で生活の一部に溶け込んでいる。AIが執筆した掌編が公募の文学賞の一次審査を突破したという話題もあったし、これからニュース記事もAIが執筆するとも言われている。すでに、報道機関向けのAIによる緊急速報サービス「FASTALERT」などを提供しているJX通信社も存在する。

 Perfumeのライブステージ後、大本彩乃(のっち)が「テクノロジーは人間によって作られる温もりのある、愛のあるものだと思っています」とステージを終えて話していたことが、とても胸に響いた。

 確かに、この日の公演はこれまでに体験したことのないことばかりだったが、彼女たちがこれまでにスタッフやファン、関係者とともに培ってきた音楽活動を文字通り“Reframe”したもので、その根底にはその全ての人々の音楽愛が詰まっていたことは間違いないだろう。

 これから益々発展していくであろうテクノロジーを前に、我々はその未知のものに対する自己防衛的な恐怖心を抱きがちだが、彼女たちのように最新テクノロジーと手を携えて更なる素晴らしいものを産み出していこうという姿勢が大事なのかもしれない。【松尾模糊】

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