ロックバンドのRAMMELLSが9日、東京・渋谷WWWで自身初となるワンマンライブ『1st album "Authentic" release ONEMAN SHOW』をおこなった。RAMMELLSはこの日、アルバム曲を中心とした全15曲を披露。ブラックミュージック、アシッドジャズ、ロックなアプローチ、それらがバランス良くクロスオーバーされながらも、ポップなセンスが織り交ぜられたRAMMELLSの音楽性を十二分に発揮。オーディエンスは“この日のRAMMELLSのライブ”と“これからのRAMMELLSへの未知数の期待感”が入り交じった歓声に湧いた。次世代の気鋭、RAMMELLSの初ワンマンライブのもようを以下にレポートする。【取材=平吉賢治】

グルーヴ、サウンド、様々な技が光る

 ライブ開始直前のWWWのフロアを見渡すと、幅広い年齢層のオーディエンスが会場を埋めていた。RAMMELLSの音楽は、ブラックミュージックを基調としたグルーヴ感に溢れ、様々なテイストの音楽性を孕んでいる。更に音大出身という音楽的基礎体力・演奏スキルの高さも持つRAMMELLSに、先鋭的なリスナーから注目が集められていることを感じた。

RAMMELLS(撮影=Maco Hayashi)

 記念すべきRAMMELLS初ワンマンは「swim」から始まり、各パートの演奏がクリアに聴こえるアンサンブルが会場に響いた。1stアルバム『Authentic』はライブ重視、音作りへのこだわりが詰められたサウンドで満たされている。演奏感が溢れるドライな音像は、ライブによって明瞭に表現された。

 音源で聴けるエフェクトやダブの効果も、メンバーによって生演奏されていた。ボーカルの部分的なリバーブやモジュレートは黒田秋子(Vo、Key)が手元の機材でリアルタイム操作する。彦坂玄(Dr)はスネアが2つ設置されているというセットでドラムを演奏。片方のスネアはピッチが下げられており、ハーフビートになったときなどはロングトーンでビートを刻む。スネアのトーンの使い分けからグルーヴを殺さないための効果を狙うという点が窺えた。

 「アルバム音源の効果をライブで再現する」というより、「ライブ重視・音作りのこだわり」というRAMMELLSのスタンスが、各メンバーの機材や演奏によって、具体的な形で汲み取ることができた。

未発表曲「blahblah」、新曲も披露

 黒田は渋谷WWWに「ずっと出たかった」という想いを語り、未発表曲であるダウンビートのファンクナンバー「blahblah」を演奏。村山努(Ba)と彦坂のコンビネーションが光るグルーヴは次曲の「playground」で更にブーストされ、深めのアシッドジャズサウンドがオーディエンスの身体をゆったりと揺らせる。

ライブの様子(撮影=Maco Hayashi)

 ここまでジャズ・フュージョン・ロックをクロスオーバーさせたプレイを魅せた真田徹(Gt)は、ギターをジャズマスターからテレキャスターに持ち替える。歯切れ良いカッティング演奏に「CHERRY」のポップなメロディが美しく映えた。黒田の「アンサンブルに溶け込むような心地良さ」という魅力を持つボーカルスタイルに、ふいにポップさが際立つメロディが浮かび上がるとドキッとしてしまう。

 ライブ中盤の絶好のポジションを担った「CHERRY」のポップな雰囲気から「Black dot」と続き、ライブはRAMMELLSのディープな世界観へと移行した。危ういコード感とクロマチックなメロディラインの「Black dot」はロックでもソウルでもジャズでもない、独特なテイストを持つ楽曲。その反響は、終曲後のオーディエンスから沸き上がる歓声がリアルに物語っていた。

 黒田の「新曲やっていいですか?」というイントロダクションから披露された楽曲では、これまで聴けなかったトリッキーなギターサウンドが放たれた。メロディラインをギターのテーマフレーズにするという、これまでのRAMMELLSにはあまり見られなかったアプローチに、RAMMELLSの新境地が垣間見える。

 グルーヴィーな演奏の中で踊るように歌う「tower」、印象的なギターリフが光る「2way traffic」、そして1stアルバムのタイトルトラックの「authentic」と立て続けに演奏し、RAMMELLSの音楽性がはっきりとオーディエンスに落とし込まれるような展開の後、本編最終曲にセットされたのは、黒田が「大事な一曲」という「Blue」。

 ブラックミュージック色、アシッドジャズテイスト、ロックなアプローチ。それらがバランス良くクロスオーバーされなながらも、ポップなセンスが織り交ぜられたRAMMELLSの音楽性。本公演のラストではそれらに加え、シューゲーザー的な美しさを醸す「Blue」のサウンドをも魅せた。

大きなのびしろを持つRAMMELLSの音楽性

 多種多様の音楽性を整合させる難しさを、高い演奏力と先鋭化したサウンドで具現化したRAMMELLSのライブは、様々な角度から味わえる魅力があった。

黒田秋子(撮影=Maco Hayashi)

 グルーヴ感のあるベーシスト村山のプレイは、グルーヴに徹するだけではなく、エフェクティヴなサウンドもカラフルに操る。黒田のボーカルは、メロディと歌詞という本流に加え、リアルタイムでのボーカル・ダブという技を持ち、一貫したエレピサウンドでアンサンブルに華を添える。

 彦坂のドラムは、音符の長さを意識したプレイで、最低限の音数で成り立つRAMMELLSのアンサンブルの強固な土台をキープする。真田のギターは、他のパートのどの音域にも被らない音を選んで、リフ、カッティングを刻み、テーマにもなりうるリードプレイを奏で、ディレイやリバースエフェクトを交えた飛び道具的なトーンも飛ばす。

 最も特筆すべき点は、それら全てをもってRAMMELLSというバンドとしてのバランスを保っているという点である。渋谷WWWワンマン公演では、そのRAMMELLSサウンドが生々しく出力されていた。

 アンコールでは「overthinking」「daybreak」と2曲応え、RAMMELLS初となるワンマンライブを大歓声のなか成功に収めた。多様な音楽性の源流を持ち、高い演奏力とバランスで形成されるRAMMELLSの今後の展開は未知数である。「ただの大歓声」という印象ではなかったオーディエンスの好反応が、それを如実に物語っているようであった。

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