今年活動20周年を迎えたACIDMANが、その集大成となる11枚目のアルバム『Λ(ラムダ)』(12月13日発売)を引っ提げて、4月から全国ツアー『ACIDMAN LIVE TOUR “Λ(ラムダ)“』を開催する。

 フロントマンである大木伸夫へのインタビューはこれまで2回にわたっておこなってきたが、そこで話題になるのは大局での「宇宙」と人間の本質である「生と死」だ。今回も、それを軸に話は進んだが、その先に見るのは人々の心の豊かさ。それを可能にさせるのは「想像力」だと彼は語った。

 これまでのトークで度々出てくる「ダークマター」。宇宙において観測できていない物質のことを言い、それが宇宙の96%を占めているという。大木が語るところの想像力はそうした点にもつながる。たった4%しか観測できていないこの世界において、一つの悲しみや怒りに翻弄されてどうなるものか。

 大木の深層心理が自然体として歌詞に、そしてサウンドに現れたのが『Λ(ラムダ)』の収録曲であり、アルバムだ。ACIDMAN、そして大木の真の思いとはおそらく、ミュージシャンやリスナーである前に「同じ悩みを抱えている者同士であること」だろう。それは「共有したい」という言葉にも表れている。彼の心のうちの一端が今回のインタビューでも垣間見えた気がした。(約8500文字)【取材=木村陽仁】

シンプルに届けたい

――『Λ(ラムダ)』を制作するにあたってどのようなコンセプトがあったのか教えてください。

 これまではアルバムに向けて曲を作っていましたが、今回はそれを想定しないでシングル1曲ずつ考えていて。でも20周年を終えたらすぐにアルバムを出したいとも思っていまして。シングル3枚を録り終えてからだんだんと「アルバムどうしようか」ということになっていって、それで考えた感じでもありました。結果的に『Λ』というのは、ギリシア文字で「11」という意味もあるし、ACIDMANの「A」に見えるし、ジャケットもシンプルに『Λ』の記号を「どーん」と載せて。『Λ』は宇宙定数という意味もあるので、自分の中でかなりリンクしたので、そういうタイトルにもして。これらは意図したわけではなくて、偶然が重なって。アルバム全体像を最初から見えていたわけではないですが、出来上がったものを聴いて非常に芸術的にも評価できるアルバムが出来たと誇らしく感じています。強い作品が作れました。

――制作を進めていくなかで形が出来ていったとのことですが、方向性はあったのでしょうか。

 あんまり考えていなかったですね。シングル単体でしか考えていなくて。そのなかでも、最初からイメージしていた言葉は凄く柔らかいものにしようというか。分かりやすい言葉を使いたいとは思っていて。それは僕たちの歌ではずっと一貫していることだけど、過去11作全部一緒で、昔はそこに少し抽象的なワードも多くして芸術性を高めていくべきかも、というのはあったけど、今回はなるべくそういう言葉を使わず真っ直ぐに「生と死」と「人間のパーソナルな儚さ」と「宇宙規模で考えての命というものの美しさと儚さ」をシンプルに伝えたいと思いました。

――「宇宙」や「生命」をテーマに書かれた曲ですが、歌詞はどこか恋愛にも置き換えられる気がします。

 それはあると思います。とは言え、僕は、恋愛の歌は書けないタイプで…。だけど、人間愛というところで考えていったら全てがそういう恋愛に限らず、人との出会いと別れ、死だったり、全てに通じると思います。そこに想いがあるので。

――以前、そういう思いで曲を書いているけど、聴いてくれる人の自由でもある、という趣旨を話されていました。この作品を通じてどう聴いてもらいたいと思いますか。

 僕らがやっているロックミュージックやアルバムというものは、エンターテインメントであるべきだと思うんですけど、それをちょっと超えた所での表現の欲があって。人を勇気づけたり、楽しませたりするよりかは悲しんでいる人の気持ちを少し楽にしてあげたい。本当の意味での「ポジティブな希望」。すこしチープに聞こえるかもしれないけど、そういうものを与えられればいいなとも思っていて。アルバムなどを通じて、その人が本当にシンプルな愛に気付いてくれたり、感謝に気付いてくれたり、今生きているこの一分一秒の素晴らしさに気付いてくれたら嬉しいですね。

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