和楽器バンドが1月27日に、神奈川・横浜アリーナで『和楽器バンド 大新年会2018横浜アリーナ 〜明日への航海〜』をおこなった。『大新年会』は、2014年に渋谷clubasiaでバンド初のワンマンライブとして開催して以降、毎年おこなわれているいわば恒例行事で今年で5回目を迎えた。14年当時、約300人だった規模が、横浜アリーナで開催される程までに拡大したことは彼らの躍進を表している。そんな彼らが今年でデビュー5周年目を迎える中、このライブは鈴華ゆう子(Vo)に言わせれば「我々にとっては昨年のまとめでもあり、船出」。また、黒流(和太鼓)が「ツアーはライブバンド、大新年会はエンターテインメント」と語った様に、彼らしかできない娯楽がそこにあった。さらに一青窈をサプライズゲストに招くなど、ファンにとっても特別な日となったこのライブをレポートする。【取材=小池直也】

怒涛の和楽器バンド流エンターテインメント

和楽器バンド

 照明が落ちると、オーディエンスが持つペンライトの紫一色に会場が染まった。そこに各メンバーが紹介される映像が流れると、大きな歓声が沸いた。演奏は黒流の煽りから「雨のち感情論」でスタート。陣形はまず鈴華と神永大輔(尺八)、町屋(Gt)が前列、他の5名が後列という2列の形だ。

 「横浜アリーナ行くぜ!」と鈴華、「お手を拝借!」と黒流が叫び「起死回生」へ。オーディエンスがクラップでそれに応答する。鈴華は扇子を振りながら雅に歌っていった。ギターソロで町屋と蜷川べに(津軽三味線)が笑顔交じりにアイコンタクトをとる様子も微笑ましい。

 「星月夜」でも、鈴華が「ひとつになっていくよ! 準備はいい?」と声を出す。メンバーたちがセンターステージに飛び出し、楽曲後半にメインステージまで走り戻る姿はとてもスリリングだった。さらに、神永といぶくろ聖志(箏)の和を感じさせるイントロから「天樂」へ。バンドが合流すると神永は前方へ飛び出し、全力疾走でランウェイを駆けながら、尺八を吹いて観客を煽る。鈴華のハイトーンボイスも冴えた。

 MCでは鈴華が「大新年会も5回目となりました。特別な心でメンバーも今日この場所に立っています」と感慨深げ。続いて「男女比チェック」と題して、黒流と鈴華が観客に順番に呼びかける。声の大きさからして男女比は半々と言ったところか。そして最後に「アリーナ!!」と鈴華と会場全体に声を求めると、大きな歓声が響いた。

 映像に続いて「風雅麗々」。ステージ上には多数の三味線奏者が登場。彼らとともに蜷川が三味線を弾き始める。そして鈴華も複数の剣舞隊と共に剣舞を披露。続いて演奏は黒流、いぶくろ、神永が順番に演奏を開始し、跳ねたリズムの「吉原ラメント」に楽曲が移行した。亜沙(Ba)が鈴華とボーカルをとる場面も。吉原が舞台の楽曲という事もあり、照明は赤紫で艶っぽく。蜷川がひとり弾き終わると照明が落ちてエンディング。

 「反撃の刃」では、鈴華が1人扇子を使った舞を披露しながら、センターステージへ舞い出る。剣舞隊もそれを追って中央まで走った。合計14人の剣舞が疾走感のある楽曲を彩っていく。町屋と神永による間奏もバトンを繋いだ。そして楽曲は「雪影ぼうし」へ。鈴華の歌と蜷川の三味線が会話をする様な出だしから始まる。2コーラス目からはステージがせりあがった。背後の歯車が回る映像がシンクロする演出も壮観。

 再びMCを挟む。「我々にとっては昨年のまとめでもあり、船出でもあります。一夜限りのスペシャルをこの後もまだまだ続けていきたい」と話した。

一青窈がサプライズ登場

鈴華ゆう子(Vo)と一青窈

 そして中国・台湾で親しまれている「東風破」のカバーで、日本語詞を担当した一青窈がサプライズ参戦。鈴華が呼び込むと「今日の為だけにこの衣裳できました」と和風な衣装で一青窈が登場した。

 一青窈の大ファンという町屋も大感激の様子を見せる。スペシャルコラボとなったこの楽曲を、一青窈と鈴華が美しい日本語で歌い綴った。紫のペンライトがそれに合わせて左右に揺れ、それまでのアクロバティックな楽曲と対照的にピースな雰囲気が会場を満たす。一青窈が参加したプレミアム感と合わさって、逆説的に大きなインパクトを残す演奏となった。歌い終えてから、一青窈は「ありがとう!」と笑顔で手を振った。

 この雰囲気をそのまま踏襲しながら、神永がノスタルジックなメロディを提示。そしてアコースティックギターを弾き語るのは、なんと町屋だった。2人だけで贈るこの楽曲は「郷愁の空」。歌い上げるサビでは伸びやかな声を聴かせた。続いて、イントロ映像を交え「シンクロニシティ」が披露される。ステージには洋風の衣装に着替えたメンバーたち。そしてジャズ風なサウンドの上で町屋と鈴華がデュエット形式で歌い、勢い付くサビでは見事な掛け合いとハーモニー。

 その後も三味線のクールなリフが鳴り響く「花一匁」、楽曲の世界観を映像でも表現したバラード「オキノタユウ」と続いた。そして「海戦乱打」ではアクロバットなダンスチームが踊ってから、黒流が大きな棒で太鼓を打ち鳴らす。8名の桶太鼓奏者を引き連れて見事な太鼓パフォーマンスだ。

 そして静寂とともに「まだまだ騒げるか、アリーナ!」と黒流。そのまま「戦-ikusa-」へ。ダンサーと太鼓奏者が入り乱れ、黒流は桶太鼓を持ちながら中央前方で叩きまくる。「拍手喝采」は各メンバーのスキルが活きる楽曲で、ここぞとばかりにそれぞれが手の内を見せあう様なソロ場面が見どころだった。

メンバーが語る今年の決意

鈴華ゆう子(Vo)と一青窈

 短いMCを挟んでから、「粉骨砕身」と背中に書かれた山葵(Ds)がいつの間にかアリーナ後方に登場。「骨を粉にして、身を砕いて和楽器バンドに全身全霊を注いでいくので付いてきてください!」と宣言し、渾身のドラムソロを披露した。さらに黒流もメインステージに現れ、ステージ後方の山葵と向かい合う形で打楽器バトル「律動遊戯・炎」を展開。中盤からは山葵がジャンベに持ち替えて、セッション続行。2人は観客席をトロッコで移動しながら演奏を続け、会場を煽っていく。

 最終的に炎を使った演出とともに打楽器バトルが終わり、テンポの速い「華振舞」へ。オーディエンスがタオルを振りまくる中を、トロッコに乗った鈴華が歌とともに通過していく。「流星」では、神永がリードしてオーディエンスから手拍子がおきた。ビートが半分になる場面では、頭を振りながらリズムに乗るメンバーたち。疲れた様子はみじんも見せずに、全力のパフォーマンスを続けた。

 いよいよセットリスト最後の曲。鈴華が「みんな最高。ラストは皆一緒に歌えるかー!」と叫び「千本桜」を披露。テンションは最高潮へ。町屋がスキップしながら中央ステージに飛び出していく。ランウェイ上で歌う鈴華。2コーラス目では、蜷川、町屋、神永、亜沙、鈴華が一直線に並び圧巻のパフォーマンス。間奏はいぶくろ、蜷川、神永、町屋とリレーして、最終的に転調した最後のサビへ。炎が出る演出とともに、アウトロで黒流がオーディエンスを煽ってゴール。大きな歓声が起き、エンディングロールが流れた。

 ファンたちの歌声がアンコールの要求として響くと、2018年の全国ツアーが映像で告知された。続いて、ラフな装いに変わったメンバーがステージに帰還。そして鈴華が「メンバー8人が出会って最初にやった曲を演奏します。明日の事は忘れて騒げー!」叫び、アンコール1球目「六兆年と一夜物語」が投下される。目まぐるしい展開でアンコール1曲目から圧倒した。

 全員の演奏がシンクロしてエンディングすると、この日最後のまとまったMCへ。黒流は「ツアーはライブバンドとしてやるんですけど、大新年会はエンターテインメントのショウとして誰にも出来ない事をするので、両方とも楽しんでください」と話した。鈴華も「今年デビュー5周年を迎えます。ここまで怒涛の様に駆け巡ってきた感じです。全国ツアーをまわったり、海外にも行ってきました。経験値を積んだ今思う事は『ようやく準備が整ったぞ』という事です。2018年は『日本のバンドといえば和楽器バンドだと言われる様になりたい』と思います。応援してもらえる様なバンドになりたいと思います」と熱く語った。

 「まだまだ今日は終わらないよ」という鈴華のつぶやきで、オーディエンスの期待値が上がる。そして壮大なアレンジで、先ほどアンコールでファンが歌っていた「暁ノ糸」をパフォーマンス。そして最後の曲は「花になれ!」。明るくこの夜を締める。これまで出演した、ダンサーや太鼓奏者、剣舞も総出演。さらにオーディエンスとの大合唱。華やかにライブは大団円へ。こうして、彼らにしかできないエンターテインメントな夜は幕を下ろした。

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