ラッパーのケンドリック・ラマーが『第60回グラミー賞』で最優秀ラップパフォーマンス賞、最優秀ラップソング賞、最優秀ミュージックビデオ賞、最優秀ラップアルバム賞、最優秀ラップ/ソングパフォーマンス賞に輝き、5部門で栄冠を獲得しました。

 ケンドリック・ラマーは1987年、カリフォルニア州コンプトン出身生まれの30歳。彼はこれまで『Section.80』(2011)、『Good Kid, M.A.A.D City』(2012)、『To Pimp a Butterfly』(2015)と素晴らしい作品をドロップしてきましたが、2017年は『Damn』(前述の最優秀ラップアルバム賞)を発表しています。さらに2015年にはオバマ大統領によってホワイトハウスに招かれており、社会的にも彼の存在感は大きいと言えるでしょう。

 さて『Damn』の内容がどれだけ素晴らしく、どれだけ昨年話題と物議を呼んだかについてはここでは触れずに、今回はこのアルバムの収録曲で最優秀ラップ/ソングパフォーマンス賞を獲得した「LOYALTY. ft. Rihanna」をご紹介したいと思います。

 この曲で客演に招かれている女性シンガーはリアーナ。2人の男女が「ロイヤルティ」(忠実)をテーマに織りなすロマンティックなリリックも最高です。ミュージックビデオの映像も含めて美、そのものとしかいい様がありません。そして、その美しさの源ともいうべきはビート上で何度もループされる冒頭のサウンドでしょう。逆再生だなというのは聴いた感じでお分りだと思うのですが。なんとこの部分は、今回のグラミーで最優秀アルバム賞などをほしいままにしたアルバム『24K Magic』のタイトル曲をサンプリング&逆再生して流用したものなのです。

 是非両曲の冒頭を聴き比べてください。サンプリングはヒップホップ文化ですが私も信じられませんでした。こんなにポピュラリティのある楽曲を大胆に使うなんて。そして、それがこれほどまでに美しいなんて。ドラマとしか言いようがありません。そして表と裏の様な曲が同じグラミー賞の舞台に並びながら「トリッキーなサンプリング」という点はほとんど話題にならない。色々な意味で本当に感慨深い瞬間でした。【小池直也】

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