最後のゴールを決めるのが人生

——歌詞のなかに<小さな嘘も積み重なり真実と化す>という一節がありますが、ここはどういった場面なのでしょうか。

「Good Life」

 ここは仕事について書いている部分です。本当に自分が表現したい事ではなく、自分をごまかしていた事。嘘だろうが何だろうが、受け取る側にとっては作品が清水翔太の真実になっていくから。それで「リリックの内容が薄い」とか、批判もされたり。だったら深い事を言えば良いのかといえば、それは先ほどの通り届かない。

 そこでアーティストって、ひねくれていくと思うんです。キャッチーに振った時のディスに耐えられなくなっていく。「俺はそうじゃないし」という思いがあるので。「ビジネスだから」と開き直れたら良いんですけど、僕はセールスで結果を出せていないから、それも出来ませんでした。結果が出せていれば、どれだけ自分を隠してポップスに振り切っても全然納得できますから。

——そこは皆さん悩むところみたいですね。

 でも開き直れないから「お前ってこうだな」という意見に反応してしまうんです。でも、言い訳しても仕方がない。だから、とにかく良い作品を作るというところで、「世の中に届けるという事と、自分のやりたい事のバランスをどう取っていくのか」というところがアーティストの難しいところだと思います。

 先ほどの歌詞の時期は凄く難しい時期の事について書いています。デビューして5、6年位の時は本当に苦しかったです。それでも自分をごまかして出していく作品が、清水翔太の全てとして作り上げられていく。それが自分とのズレがどんどん激しくなっていくのは辛かったです。

——<生きる意味なんてあるのかって わからなくなるほど 打ちのめされる夜もあったね>という歌詞が個人的には印象深かったです。

 人それぞれ何かしらゴールがあって、瞬間瞬間のゴールもある。デビューする前の僕なら「デビューしてアーティストになりたい」「武道館でライブしたい」「ドームでライブをしたい」、色々な夢や目標がゴールになっています。

 その最後のゴールを決めるのが人生。そこに向かう為のゴールをクリアしていくしかないんです。途中で何度も転んだりとか、嫌だなと思う事もあるけど、靴紐を結び直して、目の前の目標を走り抜けて、最後の瞬間に「諦めないで良かったな」と思えたら良いなと思っています。「生きる意味」というのは自分で決めないといけない。

——確かに人に決めてもらうことは出来ませんよね。

 大きい目標だけでは無理だと僕は思います。何でもそうですけど、ゴールを少しずつ刻んでいけば、ずっと最初の自分でいられる。なので、僕はそうした方が良いと思っています。トラックを作ることも気づけば出来る様になっていました。「いつかは自分のアレンジで曲を発表したい」というところで、気付いたらこうなっていたんです。そこに対する努力もした覚えはなくて、「自分の頭で鳴っている曲を作れる様になろう」、「アレンジャーに渡していても、それを整理するだけ位のクオリティまで上げよう」と考えていたら出来る様になっていました。


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