小袋成彬(おぶくろ・なりあき)が4月25日にアルバム『分離派の夏』でソロでメジャーデビューすることが17日、発表された。その前日となる16日には、関係者を集めてのコンベンションライブが都内で開かれ、アルバムに収録された数曲をステージで披露した。宇多田ヒカルが新人アーティストを初プロデュースする。そんな逸材の歌声を、記者も生で体感した。

 小袋の経歴を簡単に紹介すると、R&BユニットのN.O.R.K.のボーカルで、水曜日のカンパネラや柴咲コウなどのプロデュースを担当、2016年は宇多田ヒカルのアルバム『Fantome』に収録の「ともだち with 小袋成彬」にゲストボーカルとして参加しており、その名前を知っている人もいるだろう。その彼がソロとしてメジャーデビューすることとなった。

小袋成彬 1stアルバム「分離派の夏」ティザー映像

 デビューアルバム『分離派の夏』は小袋の才能に惚れ込み、宇多田が自身初のプロデュースを買って出た。宇多田は「この人の声を世に送り出す手助けをしなきゃいけない―――そんな使命感を感じさせてくれるアーティストをずっと待っていました」とその期待に応えるのが彼だと語っている。

 この日のコンベンションライブでは、内面から溢れ出る感情を洗練された文芸的な言葉に乗せ、伸びやかなファルセットを織り交ぜながらの歌唱。繊細さの中に力強さが同居する不思議な感覚を記者は得た。

 そして、サウンドにもこだわりが随所に感じられた。小袋を含めギター、キーボードの3人というミニマルな編成。音数は決して多くはない、しっかりと隙間のあるアレンジは、時に優しく、時に登り詰めるようなダイナミクスとエネルギーに満ちていた。必要最低限の音で表現していく。小袋成彬というフィルターを通して、描かれる世界観は唯一無二。歌とサウンドで包み込まれるような感覚を終始、味合わせた。

 昨年取材した東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦氏が若いミュージシャンに対し「今音楽をやってる若い人たちは本当に凄い人たち多いですよ。人類の進化を感じます。未来は明るいです」と話していたが、それを実感した30分間だった。“次世代に突入した”そんなインパクトを残したパフォーマンスだった。【村上順一】

 ※「Fantome」の「o」はサーカムフレックス付きが正式表記。

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