TBS系で放送中のドラマ『コウノドリ』。綾野剛演じる、産婦人科医でありながら天才ピアニストの顔を持つ主人公・鴻鳥サクラを中心に、産科医療現場の実態を描くヒューマンドラマで、これまでに第6話が放送され、視聴率自己最高の13.6%(第4話)を記録するなど好調だ。その劇中を彩る主題歌「奇蹟」は女性シンガーのUruが歌っている。YouTube上で公開されているMVには「泣ける」「切ないのに癒される」とのコメントが寄せられ、にわかに話題だ。ところで、Uruというシンガー、一体なにものなのか。

 ドラマ『コウノドリ』で描かれるのは、困難にぶつかりながらも命を繋ごうと医者や家族が懸命に立ち向かう姿。時に悲しい現実にも向き合わなくてはならないが、それらの過程で改めて命の尊さを知る。

 ドラマに使用される楽曲は前シリーズに引き続き、ピアニストの清塚信也が手掛けた、インストゥルメンタル「Baby, God Bless You」や「For Tomorrow」など。繊細なピアノの一音一音が心を震わし、メロディの静と動は命の息吹を感じさせ、涙をそそる

 そして、今回、主題歌に起用されているのは、Uruの「奇蹟」。劇中では、壮絶な、あるいは困難を乗り越え、不安を抱えながらも希望に溢れるラストシーンでこの曲が流れる。その歌声は、耳元で囁くような優しさがあり繊細。しかし、サビ部では扇を広げるような広がりを見せる。それはまるで、それまで暗かった視界が一機に開け、光が差し込むようだ。

 YouTube上に公開されている同曲のミュージックビデオは、再生数62万件超を記録。寄せられたネットユーザーのコメントをみると「今年初めて鳥肌立った」、「素敵な声ですよね」「泣けます」とのドラマを介してUruを知った声や、「Uruさんが有名になり嬉しいです」「YouTubeで惚れた歌声を地上波で毎週聴けることが幸せです」などデビュー以前から応援するファンの声が双方共に寄せられており、放送前からファンからの根強い支持があったことが伺える。

 ドラマの反響を受けYouTubeでの再生数が伸びるなか、11月4日にスタートした配信では、開始初日にレコチョク・デイリーランキング1位、Mora・デイリーランキング2位、iTunes総合4位にランクイン、レコチョク・ウィークリーランキングでは1位を獲得している。

 数字的には人気であることがうかがえるが、そもそもUruはどういうシンガーなのか。

2013年に、YouTubeチャンネルを立ちあげ、中島みゆきの「糸」やスキマスイッチの「奏」など、数々の名曲カバー動画をアップしてきた。現在のYouTubeチャンネル登録者数は18万7千件超に達する。

 歌唱や演奏だけでなく、アレンジ、プログラミング、動画撮影、編集など1人でこなすというマルチな才能を持ち、その独特の優しく包み込むような歌声が話題となって、2016年にシングル「星の中の君」でメジャーデビュー。これまでに4枚のシングルを発表。8日には5枚目となるシングル「奇蹟」をドラマ『コウノドリ』主題歌としてリリースした。

 主だったメディアの露出がなく、本名や所在地、年齢などは明らかにされていないため“謎だらけのシンガー”とも言われているが、デビュー曲「星の中の君」は映画『夏美のホタル』(有村架純ほか)主題歌に起用。「フリージア」は『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』第2期エンディングテーマに、「しあわせの詩」は日本テレビ系ドラマ『フランケンシュタインの恋』(綾野剛、二階堂ふみほか)挿入歌に起用されるなど、業界内の評価は高い。

 そんな彼女が歌う、今回のドラマ主題歌「奇蹟」は、デビュー当時からあった曲で、ドラマのために歌詞を書き下ろした。

彼女に話を聞いたところ、「曲や音楽は、自分の置かれている状況で受け止め方が絶対変わってくると思うので。あまり“こういう曲です”というのを主張しすぎないようにする。でも、なるべく聴いた後にふっと力が抜けるような感じで書けたらいい」という思いのもとに書き上げたそうだ。

また、彼女はドラマに重ねてこうも答えた。

「全体としては親子の間に限らず、恋人や友人、家族にもたぶん通じるものがあるのではないかと感じています。『大事にしたい』とか、そういう人間ならではの深い思いが曲になったシングルではないかと思います」

 ドラマに寄り添うように書き上げた歌詞。言葉の意味を限定させないように心掛けたことが物語にさらなる相乗効果を生み、ドラマに日常を重ねる視聴者の心を包み込んでいる。懸命に鼓動を鳴らす小さな命。感情を震わせる物語を彩るこれらの音楽は人の心を打ち、涙や感動を誘っている。【木村陽仁】

作品情報

「奇蹟」
Uru
発売日:11月8日

配信リンク
https://smar.lnk.to/GhWgDIA

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