音楽的に変化と進化を遂げた、HOWL BE QUIETが出した“今”の答え
INTERVIEW

音楽的に変化と進化を遂げた、HOWL BE QUIETが出した“今”の答え


記者:村上順一

撮影:

掲載:17年05月23日

読了時間:約17分

生楽器も取り入れ

HOWL BE QUIET

――レコーディングで演奏するのに苦労した曲はありますか?

橋本佳紀 実は何を弾いたのかもあまり覚えていなくて…。今回はレコーディングスタジオでフレーズを作っていたんです。デモが来た時点である程度のイメージはあるんですけど、フレーズを全部決め打ちにはしていなくて。レコーディングスタジオに着いてから、1回まず弾いてみた後で「ここはもう少しこうしよう」って、リアルタイムでフレーズを作っていったという感じでしたね。レコーディングというより、それをこれからのツアーに向けて、どうしようかと考えることの方が大変かも。そういった作り方をしてたので、今弾けと言われたら多分出来ないんですよ(笑)。

――黒木さん、レコーディングはどうでしたか?

黒木健志 全体はもうほぼ出来ていたので、楽曲の世界観が僕のイメージから大幅に超えるという事はなかったです。はっしーのベースや亨のドラムで、各パートのプレイアビリティとして、ドラマーが作るフレーズやベーシストが作るフレーズをもっと入れてもらいたいという所があったので、そこはいつものバンドの流れ的にやっていましたね。楽しかった曲は「にたものどうし」ですね。全員で歌ったりホイッスルを吹いたりと。

竹縄航太 そういえば、「ファーストレディー」のホイッスルは誰のが採用されたんだろうね?

黒木健志 僕ですよ。

――採用というと?

竹縄航太 「ファーストレディー」のイントロでホイッスルを入れるという大事な役目があったんです。僕が満を持してホイッスルの音をやったんですけど、「何か違う」となりまして。

――駄目だったんですか?

竹縄航太 ホイッスルに「何か違う」とかあるの? と思うじゃないですか?どうせ誰がやってもそんな変わらないだろうと思ってて。それで次にはっしーが吹いて「はっしーの方が上手いかも」ってなったんです。

――ホイッスルにそこまで上手いとかあるんですか?

竹縄航太 自分もびっくりしたんですけど、あるんですよ。それで亨、クロと吹いて、最終的に4人とも吹いて、後はプロデューサーに任せようとなったんです。結果は今知りました…。悔しいですよ。

黒木健志 ホイッスルもやったし、皆で歌ったし、カズーというブブゼラ的な楽器もやったりしました。僕らのライブの雰囲気は「ファーストレディー」と「にたものどうし」に特に出ていると思います。

竹縄航太 はっしーが上手かったよね。

橋本佳紀 ちっちゃい頃に一回は使った事があるだろうな、という楽器だったので。リコーダーとか鍵盤ハーモニカみたいなのとか。

竹縄航太 そういった生楽器も取り入れてみたりして、けっこうエンジョイしながらやっていました。

――その雰囲気が作品に出ていると感じます。竹縄さんがレコーディングで苦労した点は?

竹縄航太 一番苦労したのは、「にたものどうし」です。本当は曲の尺がもう少し短くて、その尺用のピアノを弾いていたんですけど、もう1小節歌いたくなって、その場で尺を伸ばしたんですけど、そこのピアノを弾く時に「ここの尺を伸ばすんだったらもっとオリジナリティのあるピアノじゃなければ駄目だ」となったんです。そこをメイクするのが凄く大変でした。「この感じ良いな」と思っても実際に手が追い付かなかったりして、やきもきしながらやりました。

――岩野さんはいかがでした?

岩野亨 2つあって、「ギブアンドテイク」と「にたものどうし」はそれぞれ別の意味で大変でした。「ギブアンドテイク」は、ドラムを叩いた時に如何にしてバンドとしての良さを出すかという所です。やり過ぎてもやらな過ぎても駄目だし、その絶妙なパワーバランスがあって、一番バンドっぽい曲でもあるんです。バンドのドラマーとして大変だったという感じの曲なんです。

 「にたものどうし」は打ち込みのサウンドを「どう生で表現するのか」という事に悩みました。デモの段階でクオリティが高くて、それはそれで完成されていたんです。「人」ではないドラムに対して自分が叩いた時に、全く別のものになっちゃいそうだなという不安もあったんです。

――コンビューターや打ち込みで作ったサウンドと比べるとグルーヴは変わりますよね。

岩野亨 そうですね。だから自分だったらこれをどう表現するのがHOWL BE QUIETとして一番良いのかと思いました。すごく練習して叩いた記憶があります。

――「ギブアンドテイク」のサビの<Hurray Hurray>という部分のアルファベット表記に新鮮味がありますね。割とカタカナで「フレー」と書いてしまいそうですが。「Wake We Up」でも「今」を「イマ」とカタカナにしてみたりと、表記的な遊び心があり、そういった所をけっこう考えていると感じたんです。

竹縄航太 考えている曲もあるんですけど、「ギブアンドテイク」のサビの部分に関しては全く考えてなかったですね。自然と始めからこれでした。「Hurray」は確か海軍か何かの応援の意味があって、「Hurray」という単語だけで“応援する”という感じの意味なんです。それを正しい意で使いたかったというのはあります。

――それは納得しました。「Wake We Up」の歌詞の「今」を<イマ>というカタカナにしたのは?

竹縄航太 時間軸の事をカタカナにしたかったんです。もの凄く深い意味があるというよりも、この曲は時間軸上の話をしているので、今の自分と昔の自分、もう少し先に居る自分だったり、どの自分も同じ自分だけど、その時々によって考え方も立ち位置も違うじゃないですか? 自分ではあるけど、どれもが違う自分であるという捉え方をするなと思ったんです。それを全部含めて「僕ら」という表現をあの曲ではしていたんです。その中で、過去と未来と今という時間軸をしっかり際立てたかったからカタカナという表現、見慣れた言葉ではないものにしたかったんです。

スカートに男が飲み込まれている

――11曲目の「208」というのは部屋番号ですよね?

竹縄航太 そうです。『Mr. HOLIC』というアルバムは自分の身の周りで起きた事しか書けなかったので、それが全部そのまま楽曲になったという感じなんです。

――ノンフィクションですか?

竹縄航太 ノンフィクションですね。

――そうなんですね…。

橋本佳紀 ヤバいですか?(笑)

――お若いのに人生経験が豊富過ぎて。

竹縄航太 いやいや、全然です。

――この曲を形にした時に、タイトルを「208」にした意図は?

竹縄航太 凄いシンプルで、単純にこの部屋で過去に起きた事なんです。寂しさや怒りといった感情をその時に言葉に残しておいた方が良いなと思って、全部ケータイのメモに残しておいたんです。それから時間が経って、いざこの『Mr. HOLIC』の曲を書こうと思った時に、「あの時のあの感情は歌にしたい」と凄く思ったんです。それで出来たのがこの「208」という曲なんです。

――ジャケットのイメージはどういったものなのでしょうか?女性が逆さまになっていますが。

竹縄航太 これ実はスカートに男が飲み込まれている図なんですけど、自分ってどういう人かなという話をした時に、「竹は歌詞を見る限り、中毒とか依存だよね」という事で『Mr. HOLIC』というタイトルがついたんですけど、その延長線上というか、「この依存の仕方とかは完全に女の子に飲み込まれている感じだよね」みたいな。その感じをアートディレクターの方が表現してくれたんです。

――飲み込まれているのは竹縄さんなんですね。ちなみに現在依存している事と言いますか、ハマっている事はありますか?

橋本佳紀 料理です。最近はローストビーフを作る事にハマってます。

――結構本格的ですね。メンバーに振る舞ったりします?

岩野亨 現場にパンを作って持ってきてくれたりします。

橋本佳紀 給食係なんです(笑)。

黒木健志 僕はお酒係ですね。お酒を飲むのが好きです。

――皆さんもお酒は飲まれますか?

橋本佳紀 割と飲みます。

竹縄航太 僕らポップな音楽性の割には飲む方なので、けっこうビックリされるんですよ。イメージと違ったみたいな(笑)。

――確かに、お酒はあまり飲まないイメージはありますね。竹縄さんのハマっている事は?

竹縄航太 僕は、動画サイトで浮気現場に突入するという動画を観て1人で笑っています。

岩野亨 ヤバいなそれ(笑)。

竹縄航太 面白いんですよ。慌てふためいて「本当に違うんだって!」とか言い訳をする様が。

――岩野さんはいかがですか?

岩野亨 僕は、休日はアニメや漫画を見てダラダラして過ごしています。

――今時の若者な感じですね。

岩野亨 ありがとうございます。今時なんです(笑)。

――それでは最後に読者へのコメントをお願いします。

竹縄航太 『Mr. HOLIC』は僕らにとって3年半ぶりのアルバムという事で、まずは音楽的に変化と進化を遂げられたと思っています。イチ歌い手としてもパーソナルな部分であり、本当に自分の中では聴いてくれる人とサシで飲むような感覚というか、お酒を飲みながら話すような感覚で今回色んな言葉を綴れたなと思っています。一緒に僕らと飲んでいるような感覚で、自然体で聴いてくれたらなと思います。

(取材=村上順一)

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