歌唱力が評価されている菅田将暉

 俳優の菅田将暉(23)の歌唱力が今注目を集めている。携帯電話会社のCMで流れている楽曲「見たこともない景色」で熱唱される正体不明の歌声は菅田将暉のものと発表されて話題を集めたが、その歌唱力はクレジット無表記のこのCMソングで注目された事でも証明された。ある種“真っ向勝負”で受け入れられたとも言える。

 1月7日に埼玉・さいたまスーパーアリーナでおこなわれたGReeeeNの10周年記念ライブに、グリーンボーイズとしてオープニングアクトを務めたのも記憶に新しい。CM「au BLUE CHALLENGE」の三太郎CMシリーズ「応援」篇で流れている楽曲「見たこともない景色」で熱唱される正体不明の歌声は、菅田将暉のものと発表され、その歌唱力を高く評価する声が挙がっている。「一体誰が歌っているのか」と、ネットなどでは話題になっていた。

 しかし、なぜ菅田将暉の歌唱は話題を集めたのか。それはひとえに彼が“歌が上手い”という意外性だけではないだろう。そこには菅田将暉自身の中から滲み出る個性とピュアな姿勢が生み出したもの、歌を通じて人を惹きつける魅力があるからだろう。今、それこそが世間に広く求められている要素と感じられる。コンテンツに溢れ、“既出感”や“飽和感”を感じる事が少なくない今、菅田将暉が歌唱は現代に一石を投じたのではないだろうか。

 菅田将暉の歌からは、確固たる意思と芯の強さが窺える。それは、俳優業での彼のアクションにも強く表れている。歌詞にある<自分だけは裏切れない♪>というフレーズは、菅田将暉と何ともピシャリと合うものだ。

 そして、CM楽曲「見たこともない景色」では、RADWIMPS・野田洋次郎、BUMP OF CHICKEN・藤原基央など、ネットユーザーから近しいボーカルスタイルの面々の名が挙げられると共に、菅田将暉の歌唱は高く評価された。

 菅田将暉の歌は、「RADっぽい」からウケたのだろうか。それとも「バンプっぽい」から受け入れやすかったのだろうか。その要素は確かにあるかもしれないが、大きな比重は占めていない。もちろん「俳優・菅田将暉」という若きイケメンが歌っているから評価されたという訳ではないそれは、クレジット無表記のCMソングで注目された事で証明されている。ある種の“真っ向勝負”で受け入れられたのだ。

 菅田将暉は、高校生役から不良役、女装もこなすなど、“ある色”に偏った役柄ばかりではなく、様々な役柄に挑んでは、多種多様な役柄を演じ「役に入り切る」役者として多方面から評価を得ている。その見事な立ち回りが出来る理由を探ってみると、楽曲「見たこともない景色」の歌唱から感じる事が出来る、彼の「ピュアで真っすぐな姿勢」がその芯にあるのではないかと考えられる。

グリーンボーイズとしてGReeeeNのライブイベントに出演

 その芯にあるものが彼のアクションにもたらす影響は、役者業であれば、役柄に対してある種の「テンプレート」に当て込む事はせず、一から役の存在理由と意味をまっさらの自分が汲み取り、役に臨んでいるのではないだろうか、という点だ。「この役柄は〜っぽいから、〜風に」という手法ではなく、ゼロから菅田将暉が考えた役柄を生み出している様に思える。

 各種のジャンルが存在する音楽であったら、例えば、ヘヴィメタルには暗黒感漂う“メタルっぽい”歌い方がある。ヴィジュアル・ロックであったら様式美の“V系っぽいボーカルスタイル”というのが確かにある。

 菅田将暉は、「見たこともない景色」を歌う際、何かを参考にしたのだろうか。ロック調の楽曲だから、“ロックっぽい”歌い方をしたのか、それとも、メロディから相性の良さそうなアーティストを模索して、RADWIMPSやBUMP OF CHICKENの歌い方を参考にしたのか。それとも「応援ソングだから、サビはシャウト気味に」というディレクションがあったのだろうか。

 実際に歌唱を聴くと、いずれも全く違うのではないだろうかと感じる事が出来る。彼のひたむきな発声のボーカルには「モデル」がいない様に聴こえる。誰かの歌を参考にした訳ではないという事は、彼の歌唱から真っすぐ伝わって来る。

 恐らく、菅田将暉は、楽曲と、歌詞と、曲の意図を読み取り、自分自身のスタイルで真っすぐボーカルをとったのであろう。それは、先述した「役者としての菅田将暉のスタイル」から感じられる事と共通している。そこから生み出されるものが何かといったら、人の心に届く「説得力」ではないだろうか。

 最初から何かを参考して挑んで形にする事と、ゼロから挑んで生み出して形にする事では雲泥の差がある様に思える。菅田将暉の歌唱に関しては後者であり、自らの「見たこともない景色」を作り上げ、そのひたむきな姿勢が歌として表れ、聴衆の心を打ったように思える。そして、そんなピュアで真っすぐな姿勢は、大勢の人々の背中を真っすぐ押したのではないだろうか。

 GReeeeNの「キセキ」のヒットまでを描いた映画『キセキ―あの日のソビト―』に出演した菅田将暉、横浜流星、成田凌、杉野遥亮によるGReeeeNの前身となるグループ「グリーンボーイズ」として、1月7日にさいたまスーパーアリーナでおこなわれたGReeeeNのデビュー10周年記念したライブ『あっ、リーナ、ども。はじめまして。「クリビツテンギョウ!? ル~デル~デ♪」』にオープニングアクトとして出演。GReeeeNのカバーで「キセキ」と「声」を1万6千人の観客の前で披露。その時の歌声もまっすぐでピュア、伝えようとする姿勢に溢れていた。

 映画『何者』や『ファンタ』の菅田将暉CM、『しゃべくり007』(日本テレビ系)のバラエティ番組など、各方面で菅田将暉はその歌唱を披露している。すっかりお茶の間では彼の歌声が認識されているようだ。楽曲「見たこともない景色」でその歌唱に対する評価を得て、俳優らしい鮮やかな立ち回りでその歌声を世間に知らしめ、これからボーカリストとしてどう飛躍するかという注目株だろう。

 菅田将暉は、GReeeeNの「キセキ」のヒットまでを描いた映画『キセキ―あの日のソビト―』の中から、GReeeeN役の菅田将暉、横浜流星、成田凌、杉野遥亮の4人のグループ「グリーンボーイズ」として、GReeeeNの10年前のデビュー日と同日である1月24日に、シングル「グリーンボーイズ」でデビューする。(文・平吉賢治)

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