巨大なパワーを感じさせたLittle Glee Monsterの日本武道館公演(撮影・三吉ツカサ=Showcase)

 女子高生6人からなる、歌うま少女「リトグリ」こと、Little Glee Monsterが8日に、東京・日本武道館で、自身初のワンマンライブ『LIVE in 武道館 ~はじまりのうた~』をおこなった。

 10代で武道館のステージへ――。初の日本武道館公演となったこの日、その大きな夢を実現した彼女らは、かれん、MAYU、芹奈、manaka、麻珠、アサヒの6人からなるボーカルグループ。2013年に結成し「奇跡の歌声」と銘打った高精度のハーモニーで頭角を現し、2016年にはディズニー映画『ジャングル・ブック』の日本版主題歌『君のようになりたい』を担当、様々な音楽イベントやテレビの音楽番組にも登場し話題を呼ぶなど、急激な成長を遂げている。

 このステージの2日前の6日にはセカンドアルバム『Joyful Monster』をリリースしたばかりの彼女らは、合わせてその楽曲を引っ提げてこの夢の日を迎えた。10代の青少年から、幼児そしてその親までと幅広いファン層を持つ。寒空に加えてあいにくの雨に見舞われたこの日だったが、早くから若い年齢層、カップル、そして親子連れと様々なファンが会場に駆けつけ、グループ同様に夢の実現の瞬間を目に焼き付けようと意気込み、スタート前から会場を熱気に包んでいた。

「Say!」「Yeah!」いきなり観衆とコーラスで一体に

撮影・三吉ツカサ(Showcase)

 この日のライブで日本武道館に設けられたステージは、360度すべての方向に開けていた。フロアの観客席に向けては一方向だったが、通常のステージでよく設けられている背面の壁はなく、スタンド席は全方向からステージを眺めることができる。そして彼女らのイメージカラーとなるピンク、緑、青、紫、赤、黄色の6色の橋が、それぞれステージから背面の2階席に向かって伸びている。会場には、1万3000人のファンが駆けつけていたという。

 スタート時間を10分ほど過ぎただろうか、何の前触れもなしに会場が突然暗転、「ワーッ」という観衆の声の中、天井からつるされた細長いスクリーンの上に、音階表記の白い五線が映し出される。そして雨降りのイメージ。その結果五線には、水滴で音符が描かれた。続いてステージの橋の先一つ一つにスポットライトが当たり、そのスポットライトの動きとともに、伴奏のない歌声が響き渡った。ピンクから紫、そして青へ。一つ一つの動きに歓声が上がり、彼女らのステージへの登場をあおっていく。最初は一人ずつだった歌声はやがて6人のコーラスとなり、ステージスタートの興奮を絶頂にまで高める。

 嵐のような歓声と拍手の中、ステージは「SAY!!!!」でスタートした。「武道館! みんなに会いたかったよ! みんな声を出して!」芹奈の叫びが、彼女らと観衆の猛烈な掛け合いを生み出す。「Say!」「Yeah!」この時点で彼女らも、そして観衆も満面の笑みで手にしたタオルを振り回しながら、コーラスを厚く、そして熱くしていた。ブレイクとともにソロを響かせる芹奈。「君がいるから、この世界は輝く」その一節に、この表情の意味が込められている、そう思わせるほどに輝く笑顔を見せていた6人だった。

堂々としたパフォーマンスのソウルスターぶり

撮影・三吉ツカサ(Showcase)

 「放課後ハイファイブ」より、80年代のディスコサウンドを彷彿させるナンバーが続いた前半。16ビートを基調としたノリのいいリズムの上で、はっきりした輪郭を持つ分厚いハーモニーが形成され、時にメンバーそれぞれの声の特長を生かした、ソウルフルでエモーショナルなソロが飛び出し、さらに観衆の興奮をあおっていく。その様はアレサ・フランクリン? それともホイットニー・ヒューストンだろうか? とても高校生とは思えない堂々のパフォーマンスで観衆を魅了、一曲終わるごとに観衆は、大きな歓声と拍手を送るしかないといった感じだ。

 ひと時も絶えることなく発せられる、Little Glee Monsterの声。合わせてプロ意識すら感じられる見事なダンスで、時にはセクシーな雰囲気まで演出、観衆の手拍子も曲を重ねるたびに大きくなっていく。彼女らの声が発せられる、その根源とはいったい何なのだろう?これだけの激しいパフォーマンスを繰り広げながら、親しい友達と久々に会ったかのように、観衆と顔を突き合わせて終始笑顔を見せる彼女ら。その表情は、逆に「声を出さない理由なんてあるの?」「歌を歌わずにいるなんて、考えられない!」などと人々に訴えかけているようでもあった。

 そのステージに狂喜乱舞といった観衆だったが、一番この日のライブを心から楽しんでいたのは、実は彼女ら自身だった。サポートするミュージシャンの音も、まるで彼女らの音に触発されるように、音を鋭くしていく。ファンキーなリズムの上で、ブルージーなギターと、ゴージャスなホーンセクションが、時々に現れるメロディを研ぎ澄ます。前半の終わりには、そのメンバーと彼女ら一人一人との軽い掛け合いが披露され、一つの大きな見せ場を形成していた。

「奇跡の歌」の中に見える、等身大の姿

撮影・三吉ツカサ(Showcase)

 「みんな! 私たちの声、届いている?」、改めてかれんが観衆に呼びかけ、観衆は大きくうなずくように歓声で返す。前半で見せたこの勢いは、若さあふれる彼女らだからこそ披露できる大きな見せ場の一つといえよう。その興奮を一時冷ますかのように続いたのは、Little Glee Monsterのメンバーだけで披露する、アカペラのメドレー。「ジョイフル・スペシャルメドレー」と銘打ちプレーされたその曲は、ベートーベン作曲の交響曲第九番「歓喜の歌」のメロディをアレンジしたゴスペルソング「Joyful Joyful」で厳かに始まり、やがて平原綾香の「Jupiter」から、クリスマス・キャロルで有名な「荒野の果てに」のメロディを挟んで、Dreams Come Trueの「うれしい!たのしい!大好き! 」、さらにファレル・ウィリアムスの「Happy」、いきものがかりの「じょいふる」、GReeeeNの「愛唄」と続く。

 広大な武道館の中、彼女らの声だけが響き渡る。曲によっては転調へのカウンターメロディを入れるなど、至難の業ともいえる歌を、何のガイド音もないこの場所で、一点の曇りもなく歌い上げる。そこには「奇跡の歌」という彼女らグループとしてのキャッチフレーズを彷彿させるひと時が現れた。

 後半はバラードを主体としたセットへ。大人びた雰囲気を見せた前半とは対照的に、青春期の恋愛を感傷的に表現した「小さな恋が、終わった」など、改めて彼女らがまだ今から様々なことを吸収していく若者であることを感じさせる等身大の姿を表現した曲が続く。さらにコーラスグループとしては先輩格となるゴスペラーズの「永遠に」を挟みながら、ステージは「全力REAL LIFE」からクライマックスに向けて再び活気を増していった。

思いあふれ、涙するLittle Glee Monster

撮影・三吉ツカサ(Showcase)

 「皆さん、2017年一発目のライブ、まだまだいけますか?今更ながらあけおめ!」ステージもいよいよ佳境を迎えたころ、manakaが少しおどけながら観衆に向かって叫んだ。続いてメンバー一人一人が叫ぶ。「あけおめ!」「ことよろ!」その声に、観衆は笑いながらも大きく答える。その時見せた彼女らの表情は、単におどけたかったのではない、観衆一人一人の存在を近く感じたかったのだろう。さらに距離を近づけるかの如く、ステージから観衆の一番近いところをメンバー皆で「Girls be Free!」を歌いながら歩き回る。

 そして、Little Glee Monsterの名を一躍表舞台に立たせたナンバー「好きだ。」へ。会場の一人ひとりのはじけるような思いを表すかのように花吹雪の特効が宙を舞うと、この日一番の大きな歓声が会場を包んだ。これでもかといわんばかりの大きな手拍子の音とともに、曲のサビをコーラスする観衆。「今日はありがとう! みんなのことが大好きだ!」思い余って、MAYUが叫ぶ。続いて芹奈も、うずくまりながら必死で声を張り上げる。

 ラストナンバーの前に、manakaが語った。メンバーの中で一番後にグループに加入した彼女は、不安にさいなまれていた加入当時から、この日までの道のりを振り返り、改めてメンバー、スタッフ、そしてファンからの支えを感じ深くその礼を告げた。そして最後の曲「はじまりのうた」へ。明日への期待をあおるような、アクティブな4ツ打ちのバスドラのリズムが、会場にいる全員の気持ちを高ぶらせる。この日を迎えた喜びに改めて満たされ、MAYUは涙を拭きながら歌い続ける。そして芹奈、続いてかれんも…この時だけは、思いあふれて涙を見せた彼女ら。

 いよいよ迎えようとしたエンディング直前、ひと時のブレイクが。そして、芹奈にピンスポットが当てられるが、なかなか歌いだすことができない。しんと静まった会場の中。「がんばれ!」「芹奈!」やがて彼女を後押しする観衆の声が上がった。その声を受け、意を決したように芹奈は歌い始めた、自らの思いを響かせるように。そんな彼女の歌に共感し、観衆は声を上げて後サビに加わり、極上のハーモニーを形成した。そして盛大な歓声の中、ステージは終わりの時を迎えた。やり切った、そんな喜びの表情にあふれた彼女らは、改めて観衆に礼を告げ、ステージを去った。

広がる未来、若さの持つ大きな可能性

撮影・三吉ツカサ(Showcase)

 止まらないアンコールの声に、2度も応えて再びステージに現れた6人。そして「今日は心に残る一日になりましたか?この一曲でさらに心に残る日になるよう、心を込めて歌います」というmanakaのラストメッセージとともに、最後のナンバー「青春フォトグラフ」へ。「最後に、みんなの歌を聴かせて!」歌いながらも、芹奈が観衆の歌をせがむ。そして、Little Glee Monsterと観衆が織りなす壮大なコーラスを響かせて、ライブはようやく終わりの時を迎えた。最後に6人は、マイクを通さず生声を張り上げ「ありがとうございました!」と感謝の言葉を観衆に贈る。そして観衆への気持ちを改めて、アカペラで「好きだ!」のサビのメロディに乗せて伝えていた。

 この日、一つの大きな夢を叶えたLittle Glee Monster。「武道館に立つまではそれが目標だったけど、ここに立ったら新しい景色が見えた」、manakaはそう語った。その新しい景色とは、さらに広がる新たな目標、そして伸びていく道のりであることはいうまでもない。「(2020年の)東京オリンピックで歌いたい」「世界でも通用するようになりたい」胸の内で交錯する様々な願いを巡らせながら「絶対にみんなの手を離さない、そんな歌を歌っていきたい」と改めて自分たちの歌への思いを明かした。

 夢というイメージがよく似合うほどに、まだ若い彼女ら。この日終始観衆を沸かせたその歌への思いは、その夢が夢では終わらないのでは、と思わせるほどに大きなスケールを持ったものだった。そして、改めて若さというものが大きな可能性を持ったもの、そう感じずにはいられない、巨大なパワーを感じさせたものだった。彼女らがこの日歌ったのは、まさしく「はじまりのうた」。さらに続くLittle Glee Monsterの果てしない道のりの序章に過ぎない。(取材・桂 伸也)

セットリスト

Little Glee Monster『LIVE in 武道館 ~はじまりのうた~』
2017年1月8日 @日本武道館

01. SAY!!!!
02. 放課後ハイファイブ
03. My Best Friend
04. 私らしく生きてみたい
05. JOY
06. 春夏秋冬
07. HARMONY
08. Catch me if you can
09. Feel Me
10. NO!NO!!NO!!!
11. アカペラメドレー
12. オレンジ
13. 小さな恋が、終わった
14. 永遠に
15. 人生は一度きり
16. 全力REAL LIFE
17. Hop Step Jump!
18. Girls be Free!
19. 好きだ。
20. はじまりのうた

encore
EN01. 君のようになりたい
EN02. Happy Gate
EN03. 空は見ている

2nd encore
EN04. 青春フォトグラフ

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