「ゲットダウン」のジャパンアンバサダーとしてドラマの魅力を語ったUSA

「ゲットダウン」のジャパンアンバサダーとしてドラマの魅力を語ったEXILE USA

 EXILE USAが、8月12日から配信されているNetflixオリジナルドラマ『ゲットダウン』のジャパンアンバサダーに就任した。『ゲットダウン』は1970年代のブロンクスを舞台に、ヒップホップ・カルチャーが生まれた瞬間を克明に映したドラマ。挿入歌など作中の音楽にはNASなど人気のアーティストが関わり、ウィル・スミスの息子であるジェイデン・スミスなどの注目若手俳優も多数出演している。さらに個性的な70年代ファッションが楽しめることから、音楽やファッションの業界から熱い視線が集まっている。今回はUSAに、『ゲットダウン』の魅力と、自身の若いころの“ゲットダウン”体験などを聞いた。

――『ゲットダウン』をご覧になって、どんな印象を持たれましたか?

 僕はヒップホップやダンスが大好きで、その大好きなものが生まれる瞬間をドラマという形で見せてくれた作品なので、とても興奮しました。当時の若者が実際にどういう生活を送っていて、どういう気持ちからああいう表現をしたいと思うようになったのかがリアルに描かれています。それも、当時ブロンクスで実際に活躍していたDJやダンサーなどのアーティストたちや、そこで暮らしていた人たちの経験や、雰囲気をすごく細かいところまでリサーチした上で作られたとのこと。その時代に戻って経験したいと思っても絶対に叶わないけど、こうしてドラマという形でも見ることが出来て幸せだと思いました。

――保険金目当ての放火が多かったとか、青少年の3分の1が中途退学だったとか、当時のブロンクスの社会情勢も描かれていましたね。

 衝撃的でした。「戦争でも起きているのか?」と思うほどの街の荒れ方で、廃墟がたくさんあったりして。そんな場所からヒップホップを生み出したんだ! と思うと感動もしたし。ドラマの最初に「この廃墟の中に宝が埋まっている」というセリフがあるのですが、いろんな逆境を乗り越えて自分を表現していくことの大事さを改めて感じて、僕が若かったころの気持ちをたくさん思い出しました。

――DJシャオリン・ファンタスティックが、光を見つけているのにアンダーグラウンドの世界からなかなか抜け出せない、そういう“もがき”もリアルでしたね。

 単純に食っていくこと、生きて行くことって大変なことなんですよね。僕らみたいに好きなことで食っているのは、本当に稀で幸せなことなんです。実際に僕がダンスを始めたころも「ダンスで食って行くなんて、バカじゃないの?」って、散々罵られました。学校の先生や親も「おまえ、頭は大丈夫か?」って、そういう空気でした。誰も信じてくれなくて、それでもダンスが好きで仕方がない…シャオリンやエゼキエルたちの気持ちが、すごくわかりますね。

――ヒップホップやソウルといった音楽的な部分では、どんな魅力がありますか?

 当時活躍していたDJが監修して、NASがその回ごとに流れる曲のリリックを書いているのはシビれます。流れる音楽は、僕が生まれたくらいの70年代の曲ばかりだけど、今聴いてもすごくかっこいいですよね。時代を経ても、聴いたら踊りたくなるパワーはすごいです。ヒップホップのビートは、もともとあったソウル、ファンク、R&Bの間奏部分(ブレイク)を繋げて作ったものなのですが、そういうすでにあるものを壊して創造するパワーはすごいと感じました。僕自身、もっともっと自分を壊して表現して行かなきゃと、刺激をもらいました。

――お気に入りのシーンはありますか?

 エゼキエルたちが、シャオに連れられて初めてゲットダウンのパーティーに行った後に、廃墟の屋上で語り合うシーンはキュンときましたね。「あっちはアフリカ・バンバータのシマ、こっちはグランドマスター・フラッシュのシマ、向こうにはDJクール・ハークのシマだ」と、実在のヒップホップを生み出した重鎮たちの名前が挙がり、そこでのし上がっていくことを決意する。このシーンを見ると、僕自身も同時期にニューヨークへ行ったMATSUとMAKIDAIと「絶対に有名になってやる!」と、いつも語り合っていたことを思い出します。

道が開けた感覚がありました

――実際にニューヨークへ、武者修行に行かれたことがあるんですね。

 はい。高校を卒業してすぐの夏、3カ月くらいバイトして30万円くらい貯めてそのお金で行きました。とにかく現地の空気を感じて、現地のダンスイベントやクラブで踊りまくりたくて。それが、ダンスが上手くなるために必要なことだと信じていたんです。

――ブロンクスへも?

 1カ月くらい行っていたのですが、向こうですごくよくしてくれたブライアンという友だちが出来て。そいつに、ブロンクスにも連れて行ってもらいましたよ。行ったのが1995年なので、『ゲットダウン』の時代ほどではないにしても、犯罪率がまだすごく高くて、イエローキャブ(タクシー)も行かないほど危ない地域で。たとえばファストフード店が防弾ガラスで囲われていて、レジカウンターなんかなくて、30センチくらいの小窓からお金と商品の受け渡しをするという。現地の若者に囲まれてしまって、ちょっと危なかったこともありました。

――そうした貴重な体験の中で、もっとも得たものは?

 最初の一週間は毎日クラブには行くんですけど、僕よりでかい外国人とかもたくさんいて。現地の人のパワーに圧倒され、すごく怖くて一度も踊れませんでした。見た目で負けないように、ドレッドヘアにして日焼けマシーンで真っ黒にしてから行ったんですけど、外国人とは体つきがまったく違うし。満員のクラブで突っ立っているしか出来なくて、足を踏まれたり胸ぐら掴まれたりして「もう帰りてえ〜」って思うくらいまで追い込まれました。

 辛いバイトを頑張ってお金を貯めてここまで来て、目の前には大好きなヒップホップがかかっているフロアがあって。それなのに「俺は何をやっているんだ?」って。それで、最後に死んでもいいから思い切って踊って、楽しんでから帰ろうと思って。意を決して踊ったら、周りの空気が明らかに変わったんです。怖そうな人たちが、言葉は分からなかったけど「良いじゃねえか!」みたいな表情をしてくれて。その瞬間に、パッと目の前に道が開けた感覚がありました。自分から楽しむために動くことが大切なんですね。ダンスに限らず、楽しむということは世界共通なんだなと。

――エゼキエルたちの師匠として、DJグランドマスター・フラッシュは、EXILEにとってのHIROさんのような存在だと思いますが、ゲットダウン・ブラザーズのメンバーをEXILEのメンバーに例えていただけますか? たとえばエゼキエルのような天才的なタイプは?

 EXILEには、いないかな(笑)。

――では、破天荒だけど努力家のDJシャオリン・ファンタジー。

 MAKIDAIはDJもやっているので、通じるんじゃないかな。

――兄弟のいちばん下の弟で、は、ムードメーカーのブーブーはどうでしょう?

 それはMATSUでしょう。

――ウィル・スミスの息子ジェイデン・スミスが演じた、グラフィティー・ライターのディジーは?

 絵がうまいやつはいないですね。

――では高速ラップを思いついたりする、ひらめきタイプのララ。

 それは、僕でしょう(笑)。でも、これだけ色々なキャラクターが揃っているのも『ゲットダウン』の魅力です。こうして考えるとある種、漫画のような楽しさもありますよね。

――最後に、これから『ゲットダウン』を見る人や、ちょっと気になっているという人に、メッセージをお願いします。

 ヒップホップという一つの音楽ジャンルが生まれる瞬間のパワーもそうですが、何よりも登場人物たちが、逆境を乗り越えて自分を表現していく姿が胸を打ちます。今何かを頑張っている人なら、絶対にパワーや勇気をもらえると思います。ぜひ楽しんでほしいです。

(取材・撮影/榑林史章)

 ◆EXILE USA 初代J Soul Brothers、EXILEのパフォーマーとして活動しEXILEムーヴメントを牽引した後、2015年12月にEXILEのパフォーマーを引退。10月15日に千葉・幕張海浜公園特設エリアで開催されるダンスイベント『DANCE EARTH FESTIVAL’16』に出演する。

 『ゲットダウン』
 Netflixでオンラインストリーミング

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