2年の活動休止経て新たな道のスタートを切ったfringe tritone

2年の活動休止経て新たな道のスタートを切ったfringe tritone

 PERSONZのギタリスト本田毅が率いるロックバンド・fringe tritone(フリンジ・トライトーン)が3月から3カ月連続でのマンスリーワンマン企画を実施。その第1回となるステージ「fringe tritone LIVE 2016『New Translation for Tritone 1st angle』」が3月20日に、東京・下北沢Club251でおこなわれた。

 fringe tritoneは、毅の実弟でありべーシストである本田聡、かつて対バンしたことで知り合ったボーカル・ギターの齋藤洋、ドラムの齋藤篤生が、2002年におこなったセッションで意気投合したことをきっかけに結成された。2013年に毅の体調不良やその他の理由により一時的に活動を休止していたが、今年1月に2年ぶりのライブを実施、そして活動再開を告げるべく今回のステージを踏むこととなった。

 PERSONZや氷室京介のサポートなど、数々の大舞台でも活躍している毅が、「自分のバンドをやりたい」という願望により結成したのがこのfringe tritone。個性的なサウンドで大きな評価を得ているそのギターサウンドがどう生かされているのかも注目点であるが、そのサウンドも含め、どのようなバンドサウンドが作られているのか、非常に興味深いところである。

 今回このレポートにより、そのサウンドやfringe tritoneが目指しているものなどを、そのステージから考察してみたい。

「待ってた?俺たちも待ってたよ!」いよいよ迎えたこの日、思いが弾ける

fringe tritone

fringe tritone

 定刻を少し過ぎたころ、ステージはリズミカルなSEからメンバーが登場するところからスタートした。オープニングナンバーはドラムイントロから始まる「サーチライト」。洋が歌うメロディラインに、鮮やかな色彩感のある毅のギターリフと、聡のメロウなベースラインが絡み、清々しい空間を会場に作り出す。しかし、一転して次の「spiral」に入ると、ワイルドでダークなギターリフと、激しいビートが会場を荒々しく揺らしていく。その落差に、観衆はぐっと気持ちを掴まれていた。

 自分の意志をそのまま打ち出したような、芯の通った真っ直ぐな洋のボーカル、堅実なリズムを生み出す篤生のドラムと聡のベース、そしてfringe tritoneというバンド独自のサウンド感覚を生み出す毅のギター。そんな彼らのコンビネーションで作り上げられた、魔法のようなサウンドを求め、観衆はサビになれば腕を上に伸ばし、そのリズムとメロディを感じながら、熱い空気を生み出していた。洋が観衆の表情を見て語る。「いきなり楽しそうな顔で困っちゃったぜ。待ってた?俺たちも待ってたよ!」その言葉どおり、この日を迎えることを今か今かと待ちわびたメンバー、スタッフ、そしてファンの面々の表情。その思いが弾けるような光景が、このステージの序盤にはあった。

独自のハーモニーから引き出される多彩な音空間

fringe tritone

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 この日を待っていた観衆への思いに答えるかのように、この日は以前から彼らのステージでプレーされていた定番曲とともに、新曲を織り交ぜてプレーされた。バンド名の「tritone」とは、音楽用語の「3全音音程」のことを指す。非常に不協和で不安定な印象を聴くものに与える響きだが、次につなげる音の選び方で、非常に強い進行感を作り出すとともに解決感を生み出す。fringe tritoneのサウンドは巨視的にも、また微視的にもまさにそのイメージを織り込んでいる。

 あるときは曲の冒頭から、またあるときはバッキングの一部分に飛び出してくる、毅のギターから引き出される独自のハーモニー。それが次に引き出されるコードにつながることで、大きな安定感を覚えるとともに、単純なコード進行からは感じられないほどの多彩な音空間を作り出す。そしてストレートな洋のボーカルにさまざまな意味を与え、歌詞で響かせる思いに深みを与える。一方で堅実にリズムを刻みながら、どっしりとした8ビートやファンキーな16ビートとさまざまなビートで絶妙のアクセントを見せる、篤生と聡のリズムセクションも見逃せない。

 「今回のライブを決めるに当たってみんなで話したのは、これからもっとやっていくにあたってライブをやることが難しくないようにやってみたい、ということでした」と洋が語る。その言葉からは、いかにfringe tritoneというバンドが、活動の中で自分たちの進化に対し、多くの壁にぶち当たっていたこと、そして改めてバンドの原点に立ち返り、フレッシュな気持ちで活動を再開しようとしているかという、現在の彼らの意志を物語っているようにも見えた。

「これからもよろしく!」新たな道を歩み始めたバンド

fringe tritone

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 中盤には聡の手による新曲「moonshine」が披露された。スローなビートに乗った、メロウなメロディ。たぎるようなビートを叩き込んでいた前半から一転、ゆったりとしたリズムの中で、観衆は漂うようにそのビートに浸っていた。さらにスケールの広さ、大きさを表すかのような「風の行方」、エキゾチックな雰囲気をかもし出す「ルカ」、そしてストレートでポップさすら感じさせる「Standing」と、じっくりと聴かせるサウンドの中で、毅の生み出すハーモニー感覚はさらに映え、観衆の気持ちをさらに掴んでいた。

 そしていよいよステージはクライマックスに。疾走感間抜群の8ビートナンバー「閃光」から、会場は再び大きな盛り上がりを見せた。ステージの上で飛び跳ねる毅に合わせて、観衆は体を上下しながら、腕を伸ばし、彼らを指し示す。まさしくここはfringe tritoneの独壇場、といわんばかりにバンドの音にされるがままの観衆。「下北ァッ!」ときに洋は叫び、なおも観衆をあおる。そしていよいよ迎えたラスト。「本当にベタですけど…頑張っていくので。これからもよろしく!」洋のメッセージに続いて流れたミディアムテンポのバラードナンバー「TRIANGLE」で、深い余韻を残し彼らはステージを降りた。

 なおも足らないとばかりに鳴り響いたアンコールより再び登場した4人。そして、観衆との掛け合いが猛烈な熱気を呼んだ「フェイクブラボー」より、「HIGH GAIN LOOP SLIDER」、そして爽やかな青空を表すような清々しいナンバー「everblue」がプレーされ、この日のステージに幕が下ろされた。

 2年ぶりの鬱憤を晴らす、というよりは新たに見えた道を堅実に歩き始めた、そんな光景に見えたこの日のfringe tritoneのステージ。独自のスタイルを貫き、留まるところを知らないあふれるイマジネーションで、自身の道を切り開いていくことは想像に難くない。改めて注目していきたいバンドであることは間違いないだろう。(取材・桂 伸也)

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