まるで沖縄にいるかのような感覚にさえなったBEGINの両国公演(撮影・浜野カズシ)

まるで沖縄にいるかのような感覚にさえなったBEGINの両国公演(撮影・浜野カズシ)

 BEGINが先月20日、東京・両国国技館で、全国ツアー『BEGIN 25周年記念コンサート「Sugar Cane Cable Network」ツアー 2015-2016』のファイナル公演をおこなった。昨年3月21日に出身地・石垣島でのイベント『BEGIN25周年記念音楽公園~石垣島で会いましょう~』でスタートしたBEGINの25周年。ツアーは昨年10月4日・埼玉を皮切りに、全国24カ所を巡ってきた。そして、ファイナルは両国国技館。7000人の観客が駆け付け、沖縄の雰囲気のもとにBEGINの人柄が表れたステージングを心の底から楽しんだ。

フェスと化した両国国技館

BEGINツアーファイナル会場の外のもよう

BEGINツアーファイナル会場の外のもよう

 この季節特有の三寒四温の日々だが、この日はいくらかほのぼのとした陽気だった。会場は、コンサートでは珍しい両国国技館。枡席に、家族や友達連れがあり、座りながら酒を嗜む光景は、夏フェスのようだった。比嘉栄昇(Vo&G)が冒頭で語っていた通りのアットホームな空気。このほんわかとした雰囲気は、近所が集まって酒盛りをする、彼らの故郷・石垣島、沖縄を想像させた。

 ライトに照らされる場内。時折、浮かび上がる相撲の番付表はやはり異色だ。ステージはちょうど土俵の上に設置しているようで奥行きがあった。この広いステージに、ところ狭しと楽器が置いてある。この光景をみてもこれから訪れるライブは様々な音色が飛び交うのであろうと予想させるのであった。

 そうこうしている間に開演の時間がやってきた。それまで流れていたボサノバやレゲエなどのBGMは鳴りを潜め、一段下がったステージのエプロンサイドに島袋優(G&Co)、比嘉、上地等(P&Co)の順で登場する。ゆっくりとした足取りからは気取らない姿が垣間見えた。そして、音、歌声が響き渡る。南国のそよ風が吹か込むように爽やかな時の流れが場内を巡る。白いソフトハットの島袋、アコーディオンの上地が揺れ、そして奏でる。国技館でファイナル公演は「昔美しゃ今美しゃ」で幕を開けた。

祝い酒で饒舌に

泡盛で乾杯するBEGIN(撮影・浜野カズシ)

泡盛で乾杯するBEGIN(撮影・浜野カズシ)

 1曲目を終えて、比嘉が挨拶する。「ようこそ両国国技館へ。皆さんのおかけで25周年を締め括ることができます。去年3月に石垣島でやって。ここに立っているのがおそれ多い。敷居が高くて、きょうの楽屋は行事部屋だった」と萎縮も声は弾んでいた。そして、上地も続く。「明日から26歳になる。その締めにこんなところにできて幸せ」、島袋も「小さい石垣島で生まれ育って、格式高い両国国技館でやれることが嬉しい」と、この地で迎える最終公演のステージを噛みしめているようだった。

 節目のツアー最終公演、積もる話はある。比嘉はさらに続ける。「(いつもと違う場所で)どうしていいか、分からなくなることもあるかと思う。どういうコンサートになるかは僕たちも分かりません。フェスみたいなものです。25周年をひとつにまとめるは無理だけど、きょうは皆さんとの同窓会です。お子さまもいるけど、泣きたいときに泣いて」と呼びかけた。

 続けて「石垣島の先輩に言われました。酒はお祝いの時に飲むものだ」と述べて、アルコール度数45度の泡盛のボトルを手に、「これはガチですから」(島袋)、「今後のコンサートに支障をきたすからね」(上地)という言葉のなかで、泡盛をコップに注ぎ込み水で割った。

 3人はそのコップを掲げると、「皆さん、まずは乾杯です。皆さんも25周年、乾杯!」と比嘉の音頭で場内全員が乾杯した。3人は一息に飲み干した。矢継ぎ早に互いのコップに泡盛をつぎあう。比嘉は「最高だな、歌いますよ、もちろん」と上機嫌。足取り軽く本ステージへと向かった。

弾むトーク

 酒も手伝って饒舌だった。開演1時間でようやく6曲目が終えるという調子だった。楽曲を演奏する前には、楽曲を作った背景などを丁寧に語る。その想いに挟み込むように、島袋と上地が昨夜呑みに行ったことや、同じ晩でも比嘉はホテルでこの場で食べるスナックをピック型に切っていたこと、それぞれの幼少時代などの想い出話が語られた。そのトークの合間に比嘉と島袋がそれぞれ、酒を補充する。比嘉も「沢山の人の前で飲むと酔うね」という具合、気分の良く時は流れた。

 そうしたなかでも聴かせる時はしっかりと聴かせる。「この歌のおかげで扉が開けました」と語って披露したのは「恋しくて」。吐息交じりの深みのある比嘉の歌声、島袋の繊細で滑らかなギターサウンド、そして、上地の優しいキーボードの音色が響き渡る。穏やかな雰囲気にファンも酔いしれた。

 石垣島の情景を歌った「朝焼けの情景」や、被災地・南三陸町のうた祭りでも披露した「I Shall Be Released」では雲仙岳火砕流、阪神淡路大震災、東日本大震災で学んだことなどを語った。7曲目からはドラムとベースも加わり、バンド編成で届けられた。まずは、桐谷健太が扮する浦島太郎の“浦ちゃん”が歌っていることで話題を集めている「海の声」を島袋が三線をもって披露した。ちなみに、この楽曲は着うたで1位を獲得しているが、彼らにとっては初の配信1位だったようだ。

 そして、上地が最近始めたというゴルフを引き合いに「ゴルフと恋愛は似ている。練習場では決まるのに、コースに出ると右に左にそれる。真剣になればなるほどブレる。それを歌にのせました」と「憧れのアンダー」を歌い上げた。

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