相川七瀬らの舞台歌唱から見る女性ロッカー

『「SOUVENIR」スーベニア~騒音の歌姫~』で歌声を披露した相川七瀬

 【取材雑感】今月19日、都内で舞台『「SOUVENIR」スーベニア~騒音の歌姫~』が開幕した。この作品では、毎公演にゲストとしてシンガーが登場、公演の序章に「ストーリーソングス・テラー」として「見上げてごらん夜の星を」と自身の思い出の曲を披露するという趣向が設けられた。

 ゴスペラーズ、ジェロ、Chage、木根尚登らが登場者のリストに名を連ねている中、第一回に登場したのは、ミュージシャンの相川七瀬。女性ロックボーカリストとしては、国内では絶大な人気を誇る相川だが、この日の会見では、初の舞台出演ということでとにかく緊張している旨をコメント。しかし、ステージでは堂々とした振る舞いで「見上げてごらん夜の星を」、そして思い出の曲として自身の代表曲「恋心」を、情感たっぷりに歌っていた。

 ところで、今でこそボーカリスト、ロックアーティストというポジションで女性も徐々にその活動範囲を広げてはいるが、舞台での歌唱となるとまだそれほど多くの例はないだろう。これまでロックの女性アーティストが舞台などに出演した例といえば、ハードロックバンドSHOW-YAのボーカリスト寺田恵子が参加した『Rock'nJamMusical』や、SCANDALのHARUNAが出演を果たした『銀河英雄伝説』の舞台あたりだろうか。

 HARUNAの舞台出演も、ロックというカテゴリのアーティストが認知する範囲を広げたという意味で大きな功績ともいえるが、特に女性のロックボーカリストとしての歌が、舞台の中で際立ってフィーチャーされていたという意味では、寺田のこの実績は目にとまるところでもある。「この舞台を親子世代が見に来て、子供が興味を持ち、彼女がSHOW-YAのボーカリストであることを聞いて、若い世代の子が彼女とSHOW-YAに興味を持った、そんなことがあったそうです」と関係者がそう語っていたように、寺田の舞台登場は新しい形で若い世代のロックファンに影響を与えたようだ。

 その意味で、今回、相川が舞台の冒頭という重要なポジションで、自身の曲を合わせて歌ったということは、大きな意味を持つ第一歩とも考えられる。また、前述の寺田の出演例と比較すると、今回は一般の舞台作品。ロックミュージシャンの歌を特にフィーチャーするという場面を作る敷居の高さは、まだおそらく難しい部類に入るのではないだろうか? その意味で女性のロックボーカリストが世の中での存在意義を高める更なる一歩を踏んでくれた、とも考えられる。

 寺田と相川はミュージシャンとしてのつながりも強く、相川はSHOW-YAがプロデュースしているロックイベント『NAONのYAON』にも常連として度々登場するなど、ミュージシャンとしての志には親近感があるのではないか、とも思われる。女性ロックボーカリストとしては「女王」的な絶対的知名度を誇る寺田。そのポストにも、相川は有力候補といえる。相川が更なるステップを踏む、または寺田、相川に続いて新しい女性の才能が、新しく大きな舞台に立つことを願わずにはいられない。(文・桂 伸也)

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